さて。






江差追分や姥神大神宮渡御祭について、 ゼロだった知識がプラス0.5くらいになりました。 ほんの1時間、 展示室を見たところでそのすべてを知ることは到底できない。 それでもゼロ、 ではなくなりました。 喜びです。








江差追分会館・江差山車会館を後にし、 国道228号線をひたすら鴎島(かもめじま)の方へと進む。








途中、 左手には先ほどにしんそばをいただいたあの横山家の住宅が。 裏側から見る形だ。 この古さ、 よく維持できていますよね・・









ワンコイン とげなしバラ子のお部屋で気軽に花ライフ-20131114








歩くこと約10分。 鴎島はこちら という矢印を発見。 それに従い、 右折する。


左手に幕末の軍艦開陽丸が見えてきた。









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内部は見学できる。 が、 時間の都合上ここはほんとに、 割愛。 もちろん船の中に入って見学して、 見聞広めたいさ。 でも、 やっぱり当初からしたかったこと、 鴎島を一周歩くということがまだ頭にあるのさ。

ほら、 鴎島はもうすぐそこ、 写真では開陽丸の右奥、 目の前だもの。






しかし。




ふと時計を見た。 江差駅発、 直近の列車は13:07。 1時間後に迫っている。 もちろん、 もう1本次の列車にすれば、 16:16発だから滞在時間は一気に3時間も増える。




しかーし!




ここで天秤かけミニバトル(というほどでもない。)が脳裏で勃発、 しばし立ち止まる。




鴎島を前に、 何と何とを天秤にかけたか。











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一つは、 16:16発の列車まで、 鴎島をゆっくりと歩くことを含め、 江差での時間をたっぷり堪能すること。 


島が徒歩で一周できるって、 それだけでもどこかワクワクしてくるし、 島の先端から見える大海は、 今、 島に行く手前で見ているそれと どれくらい見え方が違うのだろう、 どんなにスケールが大きいことだろう・・・ この好奇心というか、 果てしない海を目の前にしたいという欲望がどうしても尽きない。






その一方で、 


江差線は無人駅の多い路線。 まわりはただただ森、 という駅も少なくない。 函館に戻るまでにどこかの駅で (まだ決めていない!) 途中下車をし、 その駅や周りに何があるのかを知りたいし、 ただただそこに佇みたい という欲望もある。 






ただ、 一人旅ゆえ無人駅周辺などでは暗くなってからの行動は避けたいとの前提があり、 列車はもっと後の時間帯も運行されてはいるのだが、 私の場合両方は無理なのだ。 






こんな時は、 いつもあるジレンマが発生する。 今回の場合、 江差に宿をとっていれば滞在時間も増えて、 こんな天秤かけバトルは勃発しなかったな~ というジレンマだ。


北海道を旅する時、 ホテルはいつも都市部の、 しかも駅から近い所で連泊をし、 そこを拠点に日帰りで列車の旅をする。 このスタイルが多い。 荷物の移動がない分、 身も心も軽やかになれ、 旅に集中できるから ―これが一番の理由だ。 が、 その土地その土地で宿泊すれば、 宿泊するからこそのよさもある。  だから時々こういうジレンマが発生する。 っま、 それでも一カ所拠点パターンが自分には合っているかな・・ 








もとい。













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バトルの結果、 軍配は後者に上がった。 鴎島一周をあきらめ、 その分江差線の途中下車を味わう方だ。 鴎島を前にして、 確かにすぐそこなのだが、 すぐそこに見える分大体イメージがつかめてしまったのと、 江差追分&姥神大神宮渡御祭という江差の文化を少しでも勉強できたことで、 江差 OK! と心の中でサインが出た感がある。 自然の中に身を委ねることより、 江差ではその土地の文化を知りたいという知的好奇心の方が勝った。 こんなことは、 過去約20回の北海道旅では初めてかもしれない。 遅ればせながら、 少し自分が変わった、 と思えた。








と。








決断したら後は急げ。 なんせ、 13:07の列車まで時間があるようでないと見積もったから。


果たしてここから駅までバスは出ているのか。 事前の下調べではこの辺にもバス停あるはずだが見当たらない。 また、 バス停があったとしてちょうどいいダイヤはあるのか。 


アナログ人間のため、 スマホは持っていない。 ガラパゴス携帯の上、 携帯でネットはしない。 だからすぐには調べられない。 近くの売店で聞いてみたが、 なんかよ~わからんな・・・という反応。






仕方ない。 分からないなら歩いて行こう。 朝、 江差駅からいにしえ街道まで歩いた時は確か25分くらいだった。 今いる場所はそのいにしえ街道からかなり離れている。 ふむ・・・超ギリギリ。 とたんに歩幅が広がり、 歩くスピードがアップする。 時間に追われる旅は嫌いだが、 バスの時刻が分からない以上、 少しの差で間に合う便がある可能性もあり、 今できること、 それが 早歩き だった。 走ったらすぐ息切れして、 休んだりしたら却って遅くなっちゃうでしょ。






早歩きでしばらく行くと、 一人のおばさまがご自宅の前で掃き掃除をされていた。 よしっ! あの方に聞いてみよう。






私:


すみません。 ちょっとお尋ねいたします。 ここから江差駅に戻りたいんですが、 この辺にバス停はありませんでしょうか。




おばさま:


あー、 それでしたらあそこです。 そこに佐々木病院が見えますでしょ? そこを更に進むとバス停があります。 ただ、 本数が少ないから・・ どうかしらねぇ・・・




私:


分かりました。 行ってみます。 ありがとうございました!




おばさま:


はいはい、 いえいえどうぞ。








よしっ! これでバス停の場所が分かったぞ。 後は13:07の列車に間に合う便があるかどうかだ。


半分だけ希望を持ち、 教えてもらったバス停へといざ突進。






バス停到着。 まるで永年離れていた恋人に会えたかのような勢いで時刻表を凝視。






・・・・・ 行ったばっかりだ。 しかも5分前に!  くそ―、 くそ―、 くそー。 でもできる限りの早歩きでここまで来た。 後悔はない。








さて、 13:07まで30分ない。 歩けるか? やっぱり16:16の列車にするか。 再びここで天秤かけバトル勃発。 しかし迷っている時間はない。 朝、 このすぐ上の所まで25分くらいで来られた。 ただ、 その時は下りだった。 今度は上り坂。 非常に微妙。 しかし、 迷っている時間はない。 






よっしゃ! 一か八か、 歩くで! 乗り遅れたら、 次の列車までの3時間、 駅周辺には何もないから、 またこの辺まで戻って来ないといけない。 無駄足感炸裂だが、 わからない。 まずは歩こう。






というわけで、 ここからギアを一気に上げ、 上げつつも息を切らさない程度、 体力が持続可能なスピードに調整しながらひたすら早歩き。 坂を一気に上る。 のんびりと、 これから出会う景色・文化に期待を膨らませ下ってきた朝方とは打って変わって、 同じ道をただただ時計とにらめっこで駅へと上る。 すべては途中下車のためだ。 旅が終わって振り返った時にも、 あの時めっちゃ必死やったよな・・・ と思えることもエピソードの一つだものね なんて思いながら。








そして・・・・












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江差駅に到着した。 13:02。 すごい。 まだ5分あるやん。 おトイレに行く時間はないけど、 幸い今は行きたくない。




よかった。 乗れた。 乗客はすでに結構いたが、 座ることもできた。 ホッ。 


一人だけ、 はぁはぁ 息を切らしているぞ。 汗をかいているぞ。 あれ? なぜだろう。




そうこうしているうちに、 列車はあっという間に発車した。 


とにかく、 一息つこう。 さらば江差。 ありがとう江差。






ところで・・・ どこで途中下車するか。 まだ決めていない。 








あ~ 長くなりました。 こんな長文、 誰も読んでへんよね。










p.s.


全く話は違うが、 映画 『もったいない!
』 と 『ある精肉店のはなし
』      観ねば。