◆水やりをもっと簡単に

★従来の水のやり方

 エアプランツは,時々水をやるだけでとても育てやすい品目です。水やりをたまに忘れても,すぐに枯れるという心配はありません。ただ,そのような特性があだとなって,長い間水をやらずに放置してしまい,いつの間にか枯れてしまうことがあります。

 また,水やりは主に霧吹きで植物全体にミストをするのですが,室内に飾っている場合は,洗面所か戸外でせざるを得ません。数が少ない場合は,バケツなどに入れてミストをし,しずくが垂れなくなったら元に戻します。栽培個数が多い場合には,現状では水やりが面倒になると思われます。

 そこで,もっと水やりを工夫して,誰でも簡単にエアプランツを育てるようにできないか考えてみました。あわせて,エアプランツをもっと親しみやすく,観賞価値を高める工夫もしてみました。

 

 

★改善工夫した水のやり方

 霧吹きは,室内では使用しません。水を溜めることができる小鉢に,エアプランツを置き,上からジョロで2週間に1回程度株に水をかけます。株全体の葉に水がかからなくても問題はありません。

 溜まった水はそのままにしておきますが,株付近の湿度が高まって,株のためには好ましいと考えます。しばらく留守にする場合には,小鉢に株元がつかるよう水を十分に溜め,株元から毛管現象で水を吸わせるようにするとよいでしょう。この方法であれば,バケツを持って室内を移動したり,しずくの乾きを待ったりする必要はありません。

 

 

◆魅力をアップさせる飾り方

★小鉢で育てる

 

 

 

 

 

 

 

 

 バークにドリルや彫刻刀などで穴を開け,家や動物,乗り物などのミニチュアと,エアプランツをグルーガン(ホットメルト接着剤を使用)で固定します(上記写真)。ミニチュアやエアプランツの組合せで,よりエアプランツの育て方を楽しめます。ちなみに,ミニチュアやグルーガンは百均でも調達できます。

 なお,バークは長期間使用すると,劣化しやすくなるので,交換する必要があります。

 

 

★ガラス容器で育てる

 

 市販の球状のガラス容器(写真47)や金魚などを育てる水槽を使えば,霧吹きで水やりができます。水槽内に,サボテン,多肉植物,かわいい人形,小石などをいっしょに配置してミニワールドをつくればもっと楽しくなるのではないでしょうか。

 

 

◆エアプランツの特徴

 南アメリカから北アメリカ南部が原産地です。砂漠や霧が発生しやすい森林の樹木や岩に着生しています。根だけでなく,雨や霧で濡れた葉から水を吸収できるのが特徴です。

 葉には,トリコームと呼ばれる小さな毛が密生していて,砂漠に生息していても,夜露をこの毛で受け止められるようになっています。葉の色で,銀葉種と緑葉種に分けられ,日照が少ない地域ほど,光合成を高める必要から,葉の緑が濃くなっていると思われます。

 販売されている苗は,根がないのが普通ですが,根がなくても十分生育できます。生育は非常に遅く,根もなかなか生えてきません。生育を早めるためには,水分と肥料(液肥を施用)を適切に施します。

 

 

◆育て方のポイント

★育てやすい品種

 バークで固定して育てる場合は,親株から子株が増殖して群生しやすい(かたまり状になりやすい)タイプは草姿が乱れやすいので,あまり向いていないと思います。カプトメデューサ,パレアセア,ハリシー,イオナンタなどの品種は育てやすい品種です。

 

カプトメデューサ

 

 

パレアセア

 

 

ハリシー

 

 

イオナンタ

 

★置き場所 

 風通しのよい明るい日陰が望ましいですが,午後から直射日光が当たらない場所であれば,水やりに注意すれば育てることができます。室内では,明るい窓辺で,西日が直接当たらない場所が適しています。銀葉種は夏の直射日光下でも水分を適切に補給すれば育てることは可能です。露地花壇に置いて,雨水だけで4月から12月まで育てましたが,パレアセアは枯れることはありませんでした。ハリシーは,主日直射日光にさらされるような場所では,褐色になってきます。

 

自宅露地

 

自宅露地

 

 冬季は,最低温度10度以上が望ましいと言われていますが,5~6度でも冬越しできないことはありません。パレアセアやハリシーは,自宅露地(建物東側,霜はほとんど降りない場所)では,小石で倒れないようすると育てることができ,越冬も可能です。

 

★水やり

 室外では,直射日光春と秋は,1週間に1回,温度が高く乾燥する夏は1週間に2回,冬は2週間に1回程度水をやります。長く雨が降らないときには,室外では水やりをしないと枯れてしまします。葉が濡れている時は,水はやりません。

水やりを忘れないように,水やりの曜日を日曜日に決めています。

 

★肥料

 小鉢栽培をする場合は,できるだけ大きくしたくないので肥料はできるだけ控えます。2か月に1回程度,3000倍程度の薄い液肥を与えます。低温期は与えません。

★植え替え

 下葉の枯れが多くなったり,草丈が伸びて全体のバランスが悪くなったりした場合には,茎を切り戻してやり直します。

 

*多肉植物,サボテン,その他種々の花について,さらに詳しく知りたい方は,ぜひ私のホームページ「失敗しない,上手な花の育て方」をご覧ください。これを読めば,花博士になれるかもしれません。