2013/01/16 | 大森華恵 オフィシャルブログ powered by ameba

2013/01/16

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3ヶ月ぶりに
いわき市久之浜に行って来た。

仮設商店街の「浜風商店街」では
年始の催しがあったり、
成人式に出た女の子が晴れ着姿を見せに来たりと
いつもより賑やかだった。


「今回は
久之浜の皆さんに
挽きたてのコーヒーを淹れて飲んで貰おうと思いまして。」

と伝えると
わー!っと盛り上がる商店街。

よし。とびきり心を込めて豆を挽くぞ。

準備した一式を取り戻す。
ソーサー、ドリッパー、ペーパー、あ、ポットでしょ、そうそうカセットコンロも持参したもんね。
で、これこれ。
根津の みのりカフェで買った美味しい豆ね。


商店街の皆さん、
既にマイマグカップを温めてお待ちかね。

さーー!豆を挽くぞー。
コーヒーミルでー。

コーヒーミルでー。

コーヒーミル。


・・・ミル ワスレタ。


一同ズッコケる。

ミル忘れたらどうしようもないやん!


なんとかしようと、
あたふたとすり鉢借りたらどうか、フードプロセッサーはどうか、

アイスピックの持ち手で砕いてみたりもしたけれど埒明かず・・・。

ここへ来てうっかり野郎の本領発揮。
もうダメかぁ・・・。
と、半ば諦めかけた時、

「うちにミルあるよ?」
という女性が現れた。

マジすか!!!?
地獄で超仏っす!!
鬼女神っす!!
鬼っす!!
いや鬼は違う!!

急いで女性のご自宅へ伺い、
ミルを持って浜風商店街へ。

気を取り直して
ミルで豆を挽くと
コーヒーのいい香りがふわぁっと立ち昇る。

その時の皆さんの表情たるや、

コーヒーのCM依頼が来るレベル。



ふと
震災後に湯本や常磐の避難所に行った事を思い出した。
その時もコーヒー豆を持って行ったなぁ。
子供たちが一生懸命豆を挽いてくれて
体育館にコーヒーの香りが広がった。


あの時の方々は今
どうされているんだろう。


ゆっくりと丁寧にコーヒーを淹れながら、
商店街に集まった方々の会話にも耳を傾ける。


震災直後のこと
津波のこと
避難所での生活
今抱える不安
住まいや仕事のこと
久之浜のこれからのこと。

笑ったり泣いたり真剣に話す人達を見て
「会話することの大切さ」を強く感じた。

心底辛く悲しい体験をした時、
その事を忘れたくて目を背けたくて、きっとわかってもらえないと思って
人は口を閉ざす。

いつかは話してくれる日が来るかもしれないけれど
無理に踏み込んだり興味本位で聞きたがってはいけない。

語り始めたらその時は
ただ
黙って聞く。


久之浜の女性がポツリと
「こうやってみんなと話すこと、
今までなかった。」
とおっしゃった。

その言葉が
なんだかとても嬉しかった。



ミルを忘れてバタバタたものの
コーヒーはとても喜んで貰えた。


また行こう。


次回は何も忘れないように・・・。