疎遠。 | 大森華恵 オフィシャルブログ powered by ameba

疎遠。

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実家に住んでいたころ
町内に変な同級生がいた。
色白でゆで卵みたいな顔して
みんなから「マエソン」とよばれる前田君。

マエソンは
すば抜けて変だった。
ちょっと先を行っているというか
頭の回転が早くて
小学生を俯瞰で見ているような不思議な子だった。
笑いのセンスもなんだか大人っぽくて
次に何を言うのかいつもわくわくした。



小四の時、クラスで五つくらいにグループ分けされた。

マエソンと同じ班!?
笑い過ぎて給食食べれんかもしれん…
前のグループの子、何人か
牛乳吹いとったよなぁ…。


班の名前を決める事になった。
他の班は
流行っていたキャラクターや
ギャグみたいなネーミングだったのに
マエソンが
「よだれ」
にしよう。といったのでよだれに決まり、
次の席替えまで、よだれグループさんと呼ばれた。



マエソンとばっかり遊んでいた。
必殺シャボン という
舌で小さな泡を作り、
シャボン玉のように飛ばす
全然必殺じゃない汚い遊びをずっとやっていたり
ローラースケートとスケボーを禁止にした学校一怖いトミカワ先生の自宅に近寄ったり
怪しいおばさんが店員のスーパーいたざわにお菓子買いに行ったり
CDを沢山持ってるシミー(清水くん)の家に遊びに行って騒いで
もう来ないで欲しいと言われたり。
マエソンは「けけけけ」と笑った。
喧嘩もしたような気がするけど
あんまり覚えてない。

あの頃は
テレビゲームや人形やおもちゃの化粧品じゃなく
マエソンといることが一番楽しかった。



中学生になり
マエソンは
少しずつまともな大人になって
私も女子と遊ぶようになって
高校も別になって
全く会わなくなった。



そんなマエソンと
東京で再会した。
大学生の頃だったと思う。

渋谷のマツキヨの2階で バッタリ。
全然変わっていない風貌で
一目でわかり「マエソン!!!!」
と呼び止めた。
あまりの偶然と嬉しさに飛び付きそうになったが
マエソンは彼女らしきを連れていたので、
テンションを急に下げ
「マエソンを、どうぞよろしくお願いします。」
とマツキヨをあとにした。


連絡先、聞いておけばよかった
と心底後悔した。
今も後悔している。



マエソン、元気かなぁ。
今どこで何しとるんやろ。
結婚しとるかもな。
ゆで卵みたいな子がいるかも。

また
バッタリ会えんかなぁ。

必殺シャボン
やってみたけど
もう出来ん。