NHKの[SONGS]を観た。

 

宇多田ヒカルさん、久しぶりの生歌。おかえり

 

「花束を君に」

朝ドラ”とと姉ちゃん”の主題歌。

彼女が提供したと知ってたんで、あぁヒッキーやわぁと思ったけど、

お盆に帰省した兄が、朝ドラを一緒に観てて主題歌に 「これ誰?」

「宇多田ヒカル」 「へぇー、わからんかった」

と言ってた。

 

思うに、私も彼女が作ったのを知らんかったら、誰が歌っとるんやろって考えたかも。

今までの彼女の歌唱と比べると、柔らかく優しく歌ってる。

 

なんかで読んだんやけど、宇多田さんはこの曲の制作にあたり、

英語の歌詞は使わない、日本語だけにすると決めてたらしい。

それと、朝ドラという性質上、そして今回の内容も踏まえてやと思うんやけど、

”オフコース” と ”チューリップ” の楽曲をたくさん聞いたとも書いてた。

 

そして、日本語の歌詞を伝えるために、聞き手がちゃんと聞き取れるように発音したそう。

綺麗な発音で、綺麗な日本語でしっかりこちらに届いてる。

 

この歌の1番は、毎朝ドラマで聴いてるけど、2番以降は初めて聴いた。

グッとくる歌詞やった。

この歌は彼女のお母様である藤圭子さんに捧げたもの。

でも、愛しい人を亡くした人たちは、亡くなってしまったその人への

自分の思いを代弁してくれた、みんなそう思ってるんやないかと思う。

 

3年前に、亡くした母、藤圭子さんの存在はとてもとても大きかったんやって。

当たり前やけど。

宇多田さんが藤圭子さんの事を語ってたなかで、とても印象的な言葉。

 「私にとってなぜ巨大なのかっていうと、ただ母親だからだと思います。」

 

うん、私も亡くなった母の事を想った。

やっぱり、私の中でも母の存在が大きいのは私の母親やったから。

私が高校生くらいまで、母は結構、着物を着ていた。

お棺に寝かせる時には母が好きやった、薄紫色の着物を選んだ。

薄化粧した母は眠ってるみたいで、

お別れに来てくれた近所のおばちゃん達は、綺麗な顔してるわぁと見つめてくれてた。

 

糸井重里さんが、この歌詞の事を 「気持ちがいいくらい率直な」 と言ってた。

宇多田さんは「まぁ、手紙ですよね、結局」と。

 

宇多田さんの場合と私の場合は同じ母親を亡くしたと言っても、大きな違いがある。

宇多田さんにとって、母の死はどんなに辛くて衝撃的なことやったろう。

自分を置き換えようとしても、その気持ちは想像できない。

あの時は、彼女はもう歌わんかもしれへんなと思った。

 

この歌の歌詞には、ぐっとくるフレーズいくつもある。

 

 「言いたいこと 言いたいこと きっと山ほどあるけど

 神様しか 知らないまま 今日は贈ろう涙色の花束を君に」

 

 「世界中が雨の日も 君の笑顔が僕の太陽だったよ

 今は伝わらなくても 真実には変わりないさ

 抱きしめてよ たった一度 さよならの前に」

 

 「どんな言葉 並べても 君を讃えるには足りないから

 今日は贈ろう 涙色の花束を君に 君に」

 

本当に、素敵な大人の女性になったなぁと感じた。

大地に足をしっかりつけて生きてる人やなぁと思った。

 

でもせつない歌声は変わらない。

せつなさの色合いは変わったんかな。

なんていうか、以前は淋しさ、哀しさ、そして本人も言ってたけど強がってるように感じた。

けど、今回観た彼女は落ち着きが増し、幸せそうな感じ。

 

「花束を君に」

この曲は、初めて耳にした時からスッと入ってきた。

この歌、好きやわ。素直に思った。

今からまた聴こっと。