First Impression : Unknown Mortal Orchestra-II
アンノウン・モータル・オーケストラ(UMO)はニュージーランド出身のリュベン・ニールソンが率いるUSポートランドで結成されたサイケデリック・ポップ・バンド。
2011年リリースのセルフ・タイトルのデビュー・アルバムは単に二次転用であると考えられているあまたのサイケデリック・バンドをよそに多くの称賛を浴びた。
それ以来約1年半ぶりのアルバム・リリース。マタドール・レコード傘下トゥルー・パンサー・サウンズからジャグジャグウォーに移籍後第一弾となるセカンド・アルバムが本作だ。
前作はファンク、ソウル、ジャズ、ガレージをローファイにコンパイルしブランケットに包まれたかのような温かみを感じるサウンドと臆面もない時代遅れともいえるバイブが印象的だった。
今作もブランケットに包まれたかのようなテクスチャーはあるがローファイに落とし込まずそれらを安易に使用していない。
ニールソンのハイセンスなフィルターを通しての古典的なソウルの芳香は変わらないがビンテージ・ロックの貯蔵庫からの蔵出しが増えた。
M2 "Swim and Sleep (Like a Shark)" はノーザンソウル·ビートとゾンビーズが交差しそのままコリン・ブランストーンのように歌われる。
M5 "The Opposite of Afternoon" 多彩なギター・パターンを持つニールソンだがここでの叙情的なリフは明らかにキンクスのタッチを披露している。まろやかな歌声で奏でられるメロディとギター・フレーズ(複数の旋律)は調和され見事な対位法となっていてる。
M10 "Secret Xtians" 弾むベースラインに華麗に和(な)がれるメロディーが素晴らしいこの曲はビートルズの領土であるかに思えるがビートルズ以前のサーフィン&ホットロッドであろう。アウトロはベンチャーズだ。
そしてアルバム全体を通してジャズ·ファンクが底流に浸透している。これは驚くべきことだ。
ニールソンのまろやかなヴォーカルや穏やかなギターの音質からは想像できぬかもしれぬが、このアルバムのテーマは「孤独」。アルバムの歌詞の多くが「孤独感」を強調している。
UMOの新しいアプローチはありきたりなサイケ·ギターのフェード現象を防ぐどころか可能性を拡大さすことになるに違いない。
もっともニールソンが所持する美しく複雑なギター·ワークとビンテージ・ミュージックの豊富な貯蔵量を兼ね備えなければ他のバンドが真似るのは難しいだろう。
いずれにせよUMOはインディーズ・シーンの唯一無二のナゲットだ。
プロデューサーを務めたケビン・パーカーのテイム・インパラ(Tame Impala)とともにサイケデリック・シーンを牽引して行ってもらいたい。
聴くたびに発見がある中毒性の高いアルバム
Author rating: 8.5/10
★★★★★★★★☆
II/アンノウン・モータル・オーケストラ