パパの涙
娘がひとり暮らしをする日が近づいてきたからだろうか。
最近、食事中、妻と3人で暮らしていた頃の話題になることが多い。
昨夜もそうだった。
娘が鍋料理を小皿に取り分けながら、つぶやいた。
「ママとの楽しかった思い出って、あんまり覚えてないんだよね」
そりゃないぜ。あんなに愛してくれたのに。
口まで出かかった言葉を飲み込んだ。
「パパの様子が急変してしまったことは、よく覚えている」
「どういうこと?」
「昼は普通にしているのに、夜になると、一升瓶を抱えて、遺影の前でずっと泣いていた。毎日、毎日・・・一体、いつまで続くんだろうって。ものすごく心配だった」
あのころ、妻の祭壇がある部屋に布団を敷いて親子で寝ていた。
当時5歳の娘は寝たふりをして、僕の様子をじっと見ていたのだ。
「でも、ママの追悼コンサートでギターを弾いたりするようになって、パパは少しずつ元気を取り戻したよね。本番の数日前には、中洲の橋の上で弾き語りやったり。『度胸試し』とか言ってさ。観客は、はなだけ。大声で歌うから、めちゃくちゃ恥ずかしかったよ」
同級生のセイジと福博であい橋で路上ライブ(2009年10月16日)
「パパをステージに引っ張り上げてくれた三宅さんのおかげだね」
「だね」
僕ら家族の人生、晴れたり曇ったり。
時には嵐に見舞われることもあったが、今は心穏やか。
そして、娘は、もうすぐ巣立つ。
「いろいろ、あったなあ」
「あったね」
そういえば、妻の座右の銘は「なんとかなる」だった。
7月11日、東京で開催。なんとかなる!
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