岩場の上に這うように根を広げていた笹や葛が、逆巻く濁流によって地表から剥がされ捲れ上がったようです。

凄まじい水圧によってロール状にされたこの壁、人間の力で撤去すると言っても簡単なことではないでしょう。

今はむき出しで痛々しい有様ですが、ほっておけば来年の春には緑の垣根となって多くの生き物の住処となるだろうと…私はそう願っておりますが…

 

重機でも入れて無理やり撤去しようと考える人もひょっとしたらいるかもしれません。

 

まぁ、どうなるかしばらく様子を見ようと考えております。

 

ところで、この樹の根ロールの途切れたところに

水に浸かってしまったピラカンサの大きな株がありまして、たわわに実っていた実は黒ずみ傷んで、枝も枯れかかっておりました。

この株は、この辺りで一番大きな【森のレストラン】だったのですけれど・・・

 

一方、この株の少し上流側、まさに樹の根ロールの奥にあったこちらの木は

半分くらいの高さまで水に浸かったようでしたが倒されることも無く、なんとか枯れずに立っておりました。

 

小鳥たちにとっては貴重な食料です。

このピラカンサは今の時期はまだ未熟で毒があり、小鳥たちはそんなに食べないそうです。

ところが2月ごろになると熟して美味しくなり、毒も消え冬を越す小鳥たちの栄養源となるそうですわ。

 

天然の防波堤・樹の根ロールのおかげでなんとかもちこたえてくれました。

森の小鳥たちにとって充分な食料が残ったとは言えませんが、根こそぎ倒れたもののおかげで、救われたものがあったのだということを、深く深く胸に刻んで帰ってきました。

 

 

自然は常に、人知の向こう側にあります。