2020年1月11日の「題名のない音楽会」、ご覧になられたでしょうか。
「高嶋ちさ子と12人のヴァイオリニスト」のコンサートの雰囲気を味わうことができ改めて高嶋ちさ子さんの勢いに圧倒されました。
コンサートの企画・運営からテレビ番組の出演まで幅広く活躍されている高嶋さん。
そんな彼女の活動を拝見し、学ぶことはただ一つ。
それは…
「得意なフィールドで勝負する」
ということです。
「高嶋ちさ子」はおそらく国内で最も名の知れたヴァイオリニストの一人だと思われます。
高嶋さんのほかに「日本人の誰もが知っているヴァイオリニスト」をあげるとすれば、庄司紗矢香さんや五嶋みどりさんといったところでしょうか。
庄司紗矢香
1983年、東京生まれ。5歳でヴァイオリンを始め、97年、ヴィエニャフスキ国際コンクール(17歳までの部門)で日本人として初めて優勝。99年にはヴィオッティ・ヴァルセシア国際コンクール優勝に加え、パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール優勝(史上最年少、日本人初)という驚異的な成績を収めて世界中から注目される。2000年、メータ指揮イスラエル・フィルのサポートを得てドイツ・グラモフォンからCDデビュー。
五嶋みどり
1971年、大阪生まれの女性ヴァイオリニスト。母親の節からヴァイオリンの手ほどきを受け、82年に渡米。メータに認められ、同年ニューヨーク・フィルの大晦日コンサートに抜擢、国際的デビューを飾る。以降、欧米の主要なオーケストラとの共演やリサイタル、室内楽と幅広く活躍。92年に“みどり教育財団”を設立。小学校、病院、施設等をまわり、子供のためのコンサート活動を展開。2004年、南カリフォルニア大学(USC)ソーントン音楽学校の“ハイフェッツ・チェアー”に就任、2007年より弦楽学部長を務める。2006年、学内にコミュニティー・エンゲージメント・センターを開設。後進の指導にも力を入れている。
お二人とも素晴らしい経歴の持ち主ですよね。
演奏家の好みは人によって様々ですが、お二人とも「数十年に一人の名手」だと私は認識しています。
一方、高嶋さんの経歴はというと…
高嶋ちさ子
6歳からヴァイオリンを始め、これまでに徳永二男、江藤俊哉、ショーコ・アキ・アールの各氏に師事。桐朋学園女子高等学校音楽科、同大学を経て、1991年イェール大学音楽学部大学院に入学。同大学院修士課程アーティスト・ディプロマコースを修了。94年マイケル・ティルソン・トーマス率いるマイアミのオーケストラ、ニュー・ワールド・シンフォニーに入団。97年からは本拠地を日本に移し、様々なプロジェクトに携わる。
一般大学出身の方はこの経歴をご覧になって、「大学院でも音楽を学んでいて素晴らしい。とても勤勉な方だ。」と思われるでしょう。
しかし音楽の世界では少し違うのです。
「大学卒業後に大学院へ進む」
または「大学卒業後に留学」
=まだ音楽家として満足に活動できない状態である
という公式が(少なくとも私のなかには)存在します。
ここでいう「音楽家としての活動」とはプロオーケストラとの共演や、紀尾井ホールに代表される一流のクラシックホールでのリサイタルの実現を指します。
つまり、大学卒業後すぐの高嶋さんにっとて「ヴァイオリニスト」として活動することはかなり難しかったと言えるでしょう。
演奏を聞き比べてもお分かりいただけると思いますが、高嶋ちさ子さんのチゴイネルワイゼンと「韓国の天才少女」と称されるSoHyun Ko氏のチゴイネルワイゼン。
アレンジバージョンとオリジナルを比較すること自体ナンセンスで申し訳ありませんがその差は歴然。
実際のところ、今でも高嶋さんが「ヴァイオリニスト」として活動するのは厳しいでしょう…
しかし彼女は現在「日本有数の人気ヴァイオリニスト」としての地位を確立しているのです。
私見にすぎませんが、彼女は「音大卒で最も成功した人物の一人」だと思います。
現在、彼女がこのような成功を収めている理由は
自己分析能力の高さ
だと私は考えます。
ソリストとしての活動やプロオーケストラへの入団といった「正統派ヴァイオリニスト」の道に固執せず、自らの得意分野を仕事にいかそうとする姿勢は見習うべきものです。
また、巧妙なキャラ作りも彼女の強み。
コンサートやテレビ番組での一貫した態度から「高嶋ちさ子=毒舌ヴァイオリニスト」というブランドのようなものを確立してきました。
近年、キャラクターの定まらないフワフワしたタレントが増えるなか高嶋さんのような一貫性のある人物は大変貴重です。
それに加えて「毒舌キャラ」はあまりにピンポイントすぎるためキャラ被りという現象が起きにくいのです。このことも高嶋さんがテレビ業界で引っ張りだこになる一因でしょう。
このように自らの戦うべきフィールドを適切に見定めてきた高嶋ちさ子さんを私は大変尊敬しています。(途中で少し厳しい書き方をしてしまい申し訳ないです…)
「最近なんだかうまくいかないな…」と思ったとき、すぐに自分を見つめ直すことで何かヒントを得られるかも知れません。
「気軽にクラシック音楽を楽しむ」分野の第一人者である高嶋ちさ子さんを今後も応援していこうと思います。2020年も更なる彼女の進化に注目です。

