お隣さん にご挨拶をしたのはいったい何か月前だろう。
そのほとんどは左手に大きなゴミ袋を携えたジャージ姿の時だだったりする。
いるはずのなかったお宅から出てきた変声期男子 。
あの方はいつの間にかお生まれになり、あそこまでお育ちになったということなのか。
地域コミュニティーの縮小による弊害が叫ばれて久しいが、
紛れもなく私自身もその中に埋もれて見えなくなっているようである 。
なんとか族 の方々が、村一丸となって食べ物を手に入れ、安全を確保し、雨風を凌げる屋根がある喜びを感じている様子が無性に懐かしく思えるのは、生き物としての本能が、幸せというのは何なのかを記憶しているからなのかな。
向こうから歩いてくる女性と、ばちっと目が合った。
こんな些細な思いがけないタイミング、実は奇跡に近いのかも。
ましてそれが小学校の頃のお友達 。
登下校もお昼休みもいつも一緒にいた仲良しさっちゃん だったりしたら、それはそれはすっごい大奇跡というものだ。
風貌が変わりに変わった私 をすぐに認識してくれたさっちゃん。
この一瞬が二人 を驚かせ、笑顔にし、その後何十年もお付き合いをすることとなる。
この思いがけない大奇跡には心から感謝している。
思いがけないことってある。
それは当然良いことばかりではなく、悲しい出来事や辛いお別れが思いがけなくやってくることってある。
しかも立て続けに 。
それはおととしのこと。
兎年を迎えるちょっと前から始まった。
知人のおばあちゃん 。
朝起きてこないので家族が見に行ったら意識のない状態。
救急室に到着して測った体温がなんと34.5度。
そんな聞いたこともないような体温に絶句した。
かなりのご年齢だったため、その後はもう自分の足で歩くことができなくなってしまった。
兎年がやってきて、新年のご挨拶を交わしたすぐ後に。
新年のそれは、いとこ男子 の連絡から始まった。
機械に手が挟まり、肘から下が開放+複雑骨折。
何回かに分けた手術が必要で、どのくらい機能が回復するかは未知とのこと。
未来大き、いとこ男子。
その後の彼の生活が見えてこなかった。
胸の激痛で救急搬送され、大動脈瘤+大動脈解離という一気に召される病が発覚したhanaの家族 。
召される瀬戸際を何日もさまよっていた。
チビhanaをとてもかわいがってくれたランナーおじさん 。
リカちゃん人形が欲しいって言ったのに、スカーレットちゃんを買ってきた ランナーおじさん。
いわゆるヒートショックで急死との知らせ。
人のことを笑わせてばっかりいたのに、なぜゆえ何も言ってくれないの。
まだまだ続いた思いがけない出来事。
ほんの数か月の間に、普段はあまり起こらない出来事が、次はこれね!と言わんばかりに立て続けにやってきた。
ありえない出来事の連続に、仲良しももちゃんはお祓いしてもらったらいいんじゃないか、と心配してくれる。
よからぬことって続くことがある。
電化製品になぞらえると失礼かもしれないけれど、テレビが壊れ、洗濯機が止まり、リビングの電気がつかなくなる、なんてことはよくある話だ。
よからぬことだって続くことがある。
チビhana時代から自然に思うようになっていた心の中の癖がある。
それは今起きた悲しい出来事や辛いお別れ、本当はもっともっとつらい出来事となって起こるはずだった。
それをご先祖の大大大大おじいちゃん や大大大大おばあちゃん 達が守ってくれて、助けてくれて、今の出来事で済んだんだ。
いつしかそう思うようになっていた。
きっとそれは、その出来事の悲しみや辛さを緩和させるための自己防衛だったのだろう。
チビhanaはいつしかそう考えるようになって、今もその癖は心の中に存在している。
おばあちゃん の低体温。
本当はもっとひどい状態になってしまっていたはず。
歩けなくなってはしまったけれど、大大大大おじいちゃんや大大大大おばあちゃんのおかげで美味しいものが食べられる。
大好きな家族にも会えるまでに回復することができている。
開放+複雑骨折のいとこ男子 。
利き手じゃなかったのが不幸中の幸い。
最悪切断だってありうるのに、ちゃんと物を持てるまでになっていて、お仕事復帰もできている。
大動脈瘤+大動脈解離のhana家族 。
すぐに召されてもおかしくなかったのに、今では何事もなかったように生活できている。
亡くなってしまったランナーおじさん 。
本当はもっと苦しまなければならない何かがあったのかもしれない。
あの世に戻る時期が来たのであれば、長く苦しむのはつらすぎる。
穏やかな表情にちょっとだけほっとした。
その想像はたぶん正しくはないのだろう。
心のどこかで、それは自分の心がいいように解釈しているだけ・・・と思っている自覚もある。
それでもいっか
悲しい出来事や辛いお別れが多すぎる時ってある。
そんな時、それをどう受け止めるかは個々に任されているんだもの。
しょうがないからそう思う。
心の中のそんな癖。
結構私、気に入っている。