親切(=与える)で慢性炎症を抑えよう | 健康は みんなのもの ~皮膚科医のブログ~

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◆車を長持ちさせるコツ

自動車を買って思うことは、少しでも長持ちさせたいということでしょう。
車の寿命はどれくらいでしょうか。

昔は、10年、走行距離10万kmが目安でした。
近年は性能がアップし、20年、20万kmも普通になってきました。


車屋さんに、長持ちさせる秘訣を尋ねたところ、

「こまめなオイル交換です」との返答でした。
オイルの値段もまちまちですが、安いオイルでいいから、

こまめに交換した方が良いそうです。

オイルはエンジンを冷やすためのものです。
オイルが古いと、十分にエンジンを冷やすことができません。
エンジンの熱が高いと、早くエンジンを痛めてしまいます。



◆怖い慢性炎症

人体にも同じことが言えます。
老化の大きな原因の一つは慢性炎症です。

炎症とはなんでしょうか。
風邪をひいたときはのどが、ケガをしたときはその部分が、熱を持って炎症を起こします。
これらの炎症は急性の炎症ですから、風邪やケガが治れば炎症は収まります。

血液データでは、「CRP」の値が炎症を表しています。
急性炎症では、CRPがドーンと高くなるものの、数日で正常の値に戻ります。

慢性炎症では、CRPが少しだけ高いという状態が、何か月も何年も続きます。

例えれば、古いオイルで十分にエンジンが冷やせない状態が長年続いているようなものです。
車ならエンジンがダメになってしまいますが、人体なら血管が傷んでしまいます。
結果、皮膚の老化、内臓の老化、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞へとつながります。

健康診断や人間ドックの結果で、「CRP」を見てみましょう。
少しだけ高いだけと安心してはいけません。
いつの結果も「CRPが少し高い」なら、慢性炎症かもしれません。


◆親切は慢性炎症を抑える

慢性炎症の原因は、生活習慣病の原因とイコールです。
タバコ、運動不足、過食、甘いもの、肉、揚げ物、外食などです。

慢性炎症を抑えるには、食事の習慣や運動の習慣が大事ですが、

「親切の習慣」も大切です。
「親切」によって、慢性炎症が抑えられることが、近年分かってきました。

オイル交換の習慣は、車を長持ちさせるコツですが、

親切の習慣は、体を長持ちさせるコツなのです。

ここで質問です。
親切とは何でしょうか。?

①求めること
②奪うこと
③与えること


答えはおのずと知れた「③与えること」です。

では、幸福になるにはどうすればいいのでしょうか。

①幸福を求める
②人の幸福を奪う
③人に幸福を与える


幸福になる秘訣は、「人に与える」=「親切」ではないでしょうか。

参考文献
1)デイビッド・ハミルトン:『親切は脳に効く』,サンマーク出版,2018