◆生産者、消費者、分解者
理科の食物連鎖の授業で、「生産者」「消費者」「分解者」という言葉を習ったと思います。
どういうことか、振り返ってみましょう。
生産者とは、主に植物のことです。
植物は、光合成により、水や二酸化炭素から、糖質、脂質、たんぱく質を
作ることができるので、生産者と言われます。
消費者とは、昆虫、魚、鳥、動物などの生物を言います。
これらの生物は、自ら糖質、脂質、たんぱく質を作ることができません。
植物を食べたり、他の生物を食べることによって、
糖質、脂質、たんぱく質を体内に取り込んでいます。
分解者とは、細菌などです。
枯れた植物や生物の死骸に含まれる糖質、脂質、たんぱく質を、
水や二酸化炭素に変える働きがあります。
これら生産者、消費者、分解者によって、地球上の物質は循環しているのです。
これを食物連鎖と言います。
◆不要の物を処理する
これら三者はいづれも重要な役割があり、上下関係はありません。
もし細菌などの分解者がいなかったら、
地球上は、枯れた植物と動物の死骸で充満してしまうことでしょう。
枯れた植物と動物の死骸は、いわば「不要の物」です。
いらない物を処理してくれるものの存在は貴重です。
正月などでゴミ収集車が来なくて、家にゴミがたまった時、
ゴミ収集車のありがたみが分かります。
災害で断水になり、トイレの水が流せなくなった時、トイレの貴重さが知らされます。
◆忘れる力
人生においても、忘れてしまいたい、忘れたほうがいい記憶があります。
あの人からひどいことを言われた
あの人に恥かかされた
あんな言い方をしなくてもいいのに
心を痛める出来事は、今までに数えきれないくらいあったでしょう。
もし、それらをすべて覚えていたら、どうなるでしょうか。
枯れた植物や動物の死骸のように、おぞましい記憶が脳裏に充満するでしょう。
人間の脳は便利なもので、いろんな記憶を、ほどよく忘れるようにできています。
しかし、なかには、心痛める記憶がなかなか忘れられず、
トラウマのように残ってしまうこともあります。
傷つくようなことを言った相手も、悪気はなかったのかもしれません。
また、私も、無意識で他人を傷つけていることもあるに違いありません。
相手の言った傷つく言葉を忘れることは、心の健康上たいへん重要と思われます。
健康になるには、トレーニングにより筋力や持久力をつけることも大切ですが、
「忘れる力」を培うことも必要なのではないでしょうか。