◆人はホルモンとともに老いる
ホルモンは、色々な臓器から分泌されており、
わずかな量で絶大な効果を発揮する物質を言います。
ホルモンに似たものにビタミンがあります。
ビタミンもわずかな量で大変な働きをしますが、
ホルモンとの決定的な違いは、体内では作られないため、
食事からとらなければならないことです。(例外もあります)
女性ホルモンのエストロゲンは、主に卵巣で作られているホルモンであり、
若さを保つのに重要な役割をになっています。
閉経とともにエストロゲンの分泌量がピーク時の10分の1程度に減ります。
エストロゲンが減ると一気に老化が進行し、
肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病にもなりやすくなります。
まさに「人はホルモンとともに老いる」と言えましょう。
今回は、女性ホルモンの減少により起こる、
尿や性器にまつわるトラブル「閉経関連尿路生殖器症候群」に
焦点を当ててみましょう。
◆年齢により異なるトラブル
骨盤は、底のない洗面器のような構造をしています。
底は骨盤底筋やコラーゲンの膜がハンモックのように張っており、
内臓を支えています。
女性ホルモンが減少すると、骨盤の底の筋肉やコラーゲンが萎縮し、
種々の不都合が生じてきます。
年齢が進むにつれて、トラブルが変わってきます。
〔55歳前後〕
腹圧性尿失禁・・・せきやくしゃみをしたときに、尿がもれる
〔65歳前後〕
過活動膀胱・・・急におしっこがしたくなり、尿もれや頻尿になる
〔75歳前後〕
骨盤臓器脱・・・膀胱や直腸、子宮が膣から飛び出してくる
◆いつでも、どこでもギューッ
尿トラブルがあると、乗り物に乗るのが怖くなり、
旅行をひかえるようになります。
ひどくなると、人の集まりにも出にくくなります。
その結果、足腰が弱くなり、認知症になりやすくなります。
どうすればよいのでしょうか。
尿トラブルの大きな原因は「骨盤底筋の衰え」です。
骨盤底筋を鍛えましょう。
やり方はいたって簡単です。
息を吐きながら、肛門、膣、尿道をギューッと締めます。
おへそに向かって引き上げるようなイメージでやりましょう。
立っているとき、座っているとき、寝ているとき、
心がけ1つで、いつでもどこでもできます。
人生100年時代と言われる今日、50歳はまだ道半ばです。
健康で長生きしたいですね。
参考文献
1)高橋悟:『尿もれ、頻尿、前立腺の本 名医が教える尿の悩みを根本から治す方法』,日経BP,2022