人の世と隔離されたある女子大では、何不自由ない一見甘やかで高級な生活が保障され、似たような学生たちが虚ろな目で暮らしている。
彼女たちには関係するものたちだけが知っている共通点があり、世の中の情報と離れた密閉空間の中でリミットまでの時間を過ごしている。
迎えが来るのが先か。飽和状態が弾けるのが先か。それとも何かが見つかるのか。
雨の塔 (集英社文庫)/集英社
『雨の塔』へ娘をお送りだすあるいは迎える側の、一族の話。
太陽の庭 (集英社文庫)/集英社
アンソロジーですが、『雨の塔』のスピンオフが収録されています。
『水流と砂金』。
『雨の塔』の、その前のお話。
文芸あねもね (新潮文庫)/新潮社
どの作品も濃密な空間と華美な甘さで人を締め付けているが、その空間のインパクトとは裏腹に、読み終えると、それは結局装置ではなく人感なのだなと感じた。
蛇足。『太陽の庭』は大袈裟な一族の設定が無理してなくてうまいな、と。やりすぎて趣旨がよくわからなくなってたある作家さんが残念すぎて。