氷室冴子の文庫・単行本未収録作品を集めた新刊です！
久しぶりにコバルトなど探してみると、なんと本屋でのスペースのの少ないご時世で、5軒めでやっと見つけました。 京極夏彦ばりの分厚い一冊でびっくりしました。懐かしいヒンクの背表紙。
表題作の『月の輝く夜に』は、薄墨がかったようなしっとりした雰囲気のなか、 平安貴族のせつない思いを交錯させた作品でした。 あることをきっかけに、するするとほどけていく皆の心の動きは、まるでミステリのよう。 ただ、どうして晃子が愛されるかもしれないという万に一つの願いをだれも想定しないのか。それが悲しく思えました。
未完の『碧の迷宮』にも通じるものがあり、ますますそちらも読みたかったなあと思うばかりです。
表紙（今市子）も、とても美しゅうございます。
『クララ白書』の番外編『お姉さまたちの日々』も、その時代に戻れたようで初読みながら懐かしく感じました。
読めてよかった！