母体の神秘、生命の奇跡
と、言ったような表現はありふれている。
正直、母となることが決まってからも、そんな表現に自分を当てはめることを「気恥ずかしい」とどこかで感じていた。
しかし、ずぼらな私の体の中に、新しい命が宿ってから、トツキトオカ前後でしっかりと陣痛は始まった。誰にも教わっていないのに、何も教えていないのに、すでに我が子は、出るのにちょうどいいタイミングを図っていたのだ。
前日から生理痛のような痛みが規則的に始まり、明らかに強く・短くなってきたのは真夜中。数分おきに陣痛が来るたびに、ぎゅうぎゅうと締め付けられているであろう胎児は、それでも手足をばたつかせ、腹を蹴り、何かを訴えている。
まだ寝ていなかった夫と病院へ向かい、救急外来の門をたたいた時にはすでに、立ち止まらないと耐えられないくらいの痛みになっていた。
「いよいよだね」
「陣痛の合間は全然平気なんだけど」
なんて余裕をかましていられたのはまだ序の口だった。午前1時。
「初産婦さんとは思えないくらい順調に子宮口が開いてますよ、今8センチ」
と、言われた記憶があるのがその日の午前10時ごろ。痛い、けどまだ耐えられる。このまま、もしかしたら、昼過ぎには産まれているかしら?ああ、数時間後にワープしたい。と考える余裕があった。
それからの数時間、陣痛の度に大声を上げていた。
「あああああーーー!!!」というテレビドラマばりの発声や、
「いってええええええーーーー!!!」と、心の赴くままに吠えてみたり、
助産師さんやドクターが様子を見に来るたび「コレほんといたいっすねーーーー!!!すみませんーーーー!!!!」などと謎に同意を求めたり謝ったりしていた記憶がある。
結局、夜になっても産まれず、ずっと付き添って腰をさすったりテニスボールでお尻を抑えてくれていた夫とともに、汗だく、ぐったり。
不思議なことに、超絶痛い陣痛の合間に、フッと気が遠くなって眠れるのだ。
陣痛の合間に、いろんな夢を見た。
一つ覚えているのは、紺色のワンピースを着た小学校高学年くらいの女の子が、じっとこちらを見てはにかんでいる夢。
性別は、女の子8割・男の子2割といった感じで最終診察の時にもはっきりしていなかったのだけど、この時に、産まれてくる赤ちゃんは女の子で、将来、はにかんだように笑う子に育つんだな、とわかった。
結局、微弱陣痛のため促進剤を使い、陣痛開始後22時間ほどで出産。
産まれた直後、「次は…無痛分娩にするわ」としみじみと夫に語った記憶がある。
嗚呼、なんて情けない母親。
3700g超で産まれてきてくれた女の子は、お母さんがヘロヘロになっている間も、ずっと健康的な心拍を保っていた。そればかりか、カンガルーケアの間、ずりずりと母親の腹の上を移動し、乳房を探り当てて吸い出した。恐ろしいほどの生命力。
この時、このブログのタイトルが思い浮かんだ。
ポンコツな母親なのに、なんてしっかりした子が産まれてきてくれたんだ。
きっと一生、私はこの子にかなわない。