日付が変わってしまったけど、今日の話題は、王室の人種差別問題について。

 

 

王室主催のパーティーで、人種差別的な発言があったということですね。

「あなたはどこから来ましたか?」というのは、

イギリスでは天気の話題の次くらいに一般的な質問で、

私もしょっちゅう聞かれるし、自分からもよく聞く。

それは非白人に対してだけでなく、白人でも外国訛りがあると、

フランス訛りはわかりやすいので、あなたはフランス人ですね、って言ったり、

よくわからなければ、どこからか聞いたりする。

ロンドンはとにかくいろんな国の人がいるので、

まあ、最初に話題になるのはどこから来たか、ということになる。

 

で、ここで聞かれた黒人女性は、ブリクストンと答えたということなので、

まあ、普通ならそれで終わるんですね。

英国生まれの黒人は、いや、この国で生まれてなくても、

この国にいる黒人は、大半がジャマイカ出身で、南ロンドンに住んでいる。

だから、この人は多分ジャマイカ系なんだな、と思って終わる。

年配の人はジャマイカ訛りがあるけど若い人にはなくて、

でも付き合いが長くなってくると、

おばあさんがジャマイカ料理を作ってくれて、とかいう話になって、

ああ、やっぱりジャマイカ系なんだな、と思ったりする。

 

この、アフリカのどこから来たのかとしつこく聞いたという貴族女性は、

悪気があって聞いたというより、単に会話をしようとして聞いたというか、

ほかに話すことが考えられなかったというか、そういう気がする。

 

だから、そういう人には、私はロンドン生まれだけど、ジャマイカ系で、

残念ながら、祖先がアフリカのどの地域から来たのかはわからない、

とはっきりと答えればいいと思う。

 

この貴族女性は、話しかけられた黒人女性が、

奴隷の子孫だと認めざるを得ない状況に追いやったかもしれない。

だからと言って、それは差別と言えるのか。

あなたは黒人だからパーティーには参加できませんというのは差別だけど。

 

若い人は知らないでしょうが、その昔、「ルーツ」というドラマが流行った。

私は見てなかったけど、アメリカの黒人が自らのルーツを辿るという話が

一世を風靡した。ある意味センセーショナルでもあったというか。

だから、以来、多くの黒人が自分のルーツを辿ろうとしていると

勘違いしても無理はないのでは、と思う。

もしかして、歴史をたどれば、カリブ海地方に運ばれた黒人は

主にアフリカのどの地方だったのかわかるかもしれない。

 

真のコスモポリタンを提唱する人たちは、生まれは関係ないと言うと思う。

この黒人女性も多分、祖先がどこから来たかは関係ないと信じている。

 

でもどうなんですかね、私は日本人であり、

それを自覚することは、自分にとってとても重要なことだと思っている。

親しくなった年配の中国人が、食べ物のことで、

うっかり日本人を馬鹿にするような言い方をする時があるけど、

私は全然気にならないので、微笑んで受け流す。

口には出さないけど、That's right, and I'm proud of it!って感じ。

 

今回の出来事は、住む世界が違いすぎることに起因する悲劇だと思う。

お互いの思いというか、思惑がかみ合わない。

パーティーの席で、誰もわざと相手を怒らせようとか、悪意を持って接しない。

現実は自分が内面で思っていることで彩られる。

この人は全然わかってないと思うのか、この人は差別していると思うのか、

相手には関係なく、自分次第ということ。

人間関係のトラブルって、勘違いがほとんどだと思うけど、

この人種差別問題も双方が勘違いした結果だと、私には感じられる。