「13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海」
著者 田中孝幸さん
東洋経済新報社 2022年
こちらの本を選んだきっかけは
中田敦彦のYouTube大学で紹介されていたためです。
この本は、先生役の「カイゾク」と生徒役の兄「大樹」と妹「杏」の会話形式で進んでいきます。
13歳からのという題名どおりとても読みやすくどんどん進んでいけます。
しかし、内容は薄いわけではなく、普段ニュースを見ているだけでは知らなかった事実を学ぶことができました。
現在の国の経済力を地理的な要素、歴史から説明しています。
なぜ戦争が起こり続けているのか、
なぜアメリカは経済大国なのか、
日本って世界から見でどのような位置にあるのか。
素朴な疑問に答えてくれる本です。
一番興味深かった部分は
5日目 絶対に豊かにならない国々
international structure of poverty
この章では、アフリカが今もなぜ貧しいのか、について書かれています。
昔からアフリカの貧困については、報道されていますし、学校でも習います。
私の理解は、昔、ヨーロッパに植民地支配されており、独立してからもその名残が続いている、という認識でした。
その名残について、分かりやすく説明されていました。
原因はいくつかありますが、
その一つがお金が欧米などに大量に流れているためです。
アフリカのリーダーが不当に手にしたお金をタックスヘイブンと呼ばれる税を逃れるための銀行に置き、こっそり取引をし、もともとどういうお金だったかわからないようにします。
そして、ヨーロッパやアメリカの有力者が、アフリカの政治家のお金の持ち出しや浄化に協力し、自分の国にお金が流れるようにしています。
この仕組み、知りませんでした。
また、そもそもアフリカのリーダーは不当にお金を得ているのか、という疑問もわきますが、その理由も植民地支配の名残なのです。
アフリカ大陸は、定規で線を引いたように国境線が引かれています。
これは、植民地時代にヨーロッパの国々が、民族や部族のまとまりと関係なく国境線を決めたためです。
そのため、色々な民族や部族をまとまりもなく国民として抱えることになったアフリカの国々は、自分の国に愛着のないリーダーが増えるのです。
この本には、もちろん日本についても書いてあります。
この本の一番の魅力は、現代の世界のしくみについて、
そもそもなぜだろう、といった素朴な疑問を
わかりやすい解説でクリアにしてくれるところだと思います。