​イケメン先生付き合って下さい。3

 イケメン先生は、音楽の先生から『ハルちゃん』と呼ばれてる。

 ある時、音楽の授業が押して「次の授業は、ハルちゃんでしょ? なら大丈夫!」ぽろっと出た先生の言葉を生徒達は聞き逃さなかった。

『ハルちゃんだって!』早速、噂になった。

 休み時間、廊下でイケメン先生にあったので「先生、音楽の先生が先生の事を『ハルちゃん』って呼んでたよ。」と、声をかけてみた。

「あー。それな」他の生徒からも同じ事を言われてるようだった。「参ったなぁ」と、少し照れくさそうにしていた。

 先生は、「内緒な!」そう言うと、人差し指をマスク越しの口元に当てた。

 その仕草にドキッとして、見惚れてしまった。
こくりと頷いたけど、多分、ぎこちなかったと思う。

 マスク越しの笑顔も素敵。

「先生の事『ハルちゃん先生』って呼んでも良いですか?」
「ダメです!」
「えー。どうしてですか?」
「中学の指導要領の一つに、目上の人には敬語を使う、みたいな決まりがあるんだよ」
「えー」残念。ハルちゃんって呼びたかった。

 音楽の先生は、どうして『ハルちゃん』て、近しい呼び方をするのか聞いてみた。

 音楽の先生は、イケメン先生の恩師で、学生の頃、みんなから『ハルちゃん』と呼ばれてたそうだ。

 昔はカワイイ系だったんだと、想像がついた。

『内緒な!』ーーあの言葉は、2人だけの秘密・・・・という意味では無いけれど、こんなにドキドキしたのはじめてかもしれない。



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