久しぶりに帰省した彼は、白くてもこもこのボアジャケットを羽織っていた。
もこもこの裏地は、黒のサテン生地でリバーシブルになっている。
左胸にKANGOLの刺繍が入っている。ブランドもの？
珍しくセンスの良い服を着ている。
しかも似合ってる。
彼は、iPhoneカバーや、ちょっとしたポーチなど、しろくまのイラストが入ったものを使っている。
「しろくま好きなの？」
「うん。なんかかわいいから好き」
「しろくまってさ、毛が白くみえるけど実は透明でストローみたいに空洞になってるんだって、それで、皮膚は黒いの。寒さ対策なんだって」
「へーそうなんだ」
興味あるのか無いのかわからない返事だったけど、きっとめっちゃ『へぇ〜』って思ってる。
白は清潔感があるが膨張色だし、もこもこだから太ってみえる。着る人を選ぶ服だ。
彼は細身なので違和感なく着こなしている。
ーー『しろくま』を連想させられる。
キツめのクールな目元が中和されてやわらかい雰囲気になっている。
白くてふわもこで、甘くて冷たくて、カラフルなフルーツがキラキラしてる『しろくまアイス』みたい。
「その服買ったの？」
「誕プレでもらった。いい感じでしょ？」
「うん。凄く似合ってる」
そのプレゼントをくれた人は、彼の事をよく見ていて、彼の事をたくさん考えてくれてる人の様です。
