保育園の卒園式の日。
教室を出ようとしたら「ハルヒ君のお母さん。」と、担任の先生に呼び止められた。

先生から寄せ書きと、「そうそう、ハルヒ君には特別に」と、折り紙でつくった金メダルを渡された。

金メダルの真ん中には『甘え上手なハンサムボーイのハルヒ君へ』とメッセージが書かれていて、保健の先生からだった。

ハルヒは、大きな怪我や熱を出した事は無かったはず。保健の先生から連絡をもらった覚えもない。

『なせ?』接点が見当たらない。



    

​甘え上手なハンサムボーイ


僕の名前はハルヒ。
ひまわり保育園のねんちょうさん。

保育園にはいつもママが自転車で連れてってくれるの。後ろの座席には、脇を抱えてもらって座らせてもらってたけど、ママが腰を痛めてからは、ママが自転車を傾けてくれるから、僕が頑張ってよじ登って座ってるの。

保育園は、月よう日から土よう日まで朝の8時から夜の7時まで、僕は、他の子よりたくさん預けられてる。

お迎えは、いつも遅くて、最後から2番目。
お家に帰っても、ママに話しかける隙がない。

ーーー僕の初恋は、保健の先生。
すごく優しくて、僕が泣いてるときに、他の子を他の先生に預けて、僕の所に駆けつけて、僕だけをあやしてくれた。

大した怪我もしてないのに、「ここが痛いの」って言えは、絆創膏を貼ってくれた。

先生の気をひくために、お熱があるフリをしたの。
ないってわかってて、それでも、僕のお芝居にのってくれた。
他の子と同じ様に冷えピタを貼られそうになって逃げた。
冷えピタって、ネトッてしてて冷たくて貼られると、おでこが痛くなるから嫌い。
そしたら、先生は、冷えピタにアンパンマンの顔を書いてくれた。
他の子とは違う。特別感に騙されておでこに貼られた。
でも、嬉しかったから、その日はお風呂に入るまで貼ってたの。

ーーーママなんて、ハルちゃんが怪我したって言ったら、傷見せてって言うから、絆創膏を少し剥がして見せてあげたら、大した事ないって、絆創膏貼る必要ないって。

ママなんか、ハルちゃんの事なんてどうでもいいと思ってるんだ。

ママは、ハルちゃんのこと嫌いなんだ。

ーーー『ウソ。そんなわけない。』ママは、ハルちゃんのこと大好き。
うまく甘えられないのはハルちゃん。
ママは、いつも頑張ってて、だからハルちゃんは、ワガママ言わないように頑張ってるの。

それでママは、そんなハルちゃんに甘えてるの。

保健の先生は、それを察してくれてたの。

だから卒園式の日に、頑張ったハルちゃんだけに金メダルをくれたの。






↓おまかせ広告です。

押してくださるとうれしいです。

押すだけでは購入にならないので安心してくださいね。ペコリハムスター気づき

この作品(話・番組・動画)はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。