一番、感動した剣道の試合って何ですか?と訊ねられたならば、
「今年の、松岡中女子の県大会最後の試合。」
今なら迷わずにそう答えると思います。
こちらは中体連の記録に公式に掲載されておりますので書いても
大丈夫だと思うのですが、
22_kaki_kendo_joshi.pdf (fukui-jpa.com)
対 春江中戦、リーグ戦第三試合。
結果のスコアは、松岡中の勝数互角、取得本数勝ち。2(6)×2(5)。
お互いに、ここまでリーグ2敗同士で迎えた最終戦。
決勝トーナメントへの望みは絶たれたと同時に、
これまで中学三年間、共に歩んで来た仲間との最後の試合。
翌日の個人戦がない選手にはここが引退試合。
県立武道館、大道場、第一試合場。
さあ、今、何のために戦うのか?
試合に入る直前、選手たちにかけた言葉。
「もう一回やろう。今までやって来た松岡の剣道をもう一回やろう。
観覧席のお父さんお母さん、応援している後輩たちにもう一回、
みんなの剣道を見せて来よう!」
第一試合、大将戦最後の数秒で突き落とされた武生二中戦、
松岡中 0(0)×1(2)武生二中
第二試合、松岡が準備出来ていなかった部分を見事に崩された三方中戦、
松岡中 0(1)×2(3)三方中
どちらを向いても堂々、地区を勝ち抜いて来たチームが集まる県大会、
簡単な時間は一瞬としてなく、突きつけられた敗退の現実。
自分自身も様々な感情で揺さぶられる中、またそれ以上に打ちのめされて
いるであろう選手たち、もう一度、円陣を組むよう促します。
よし、大きな声が出た。
まだ戦える。
今回、改めて見直した試合の経過。
先鋒戦、0(1)×0(1)
次鋒戦、0(0)×1(1)
中堅戦、0(1)×1(2)
副将戦、1(2)×0(0)
大将戦、1(2)×0(1)
前述の通り、松岡の僅差の勝利。
礼をして帰って来る選手たちを迎えながら涙が止まりませんでした。
また選手たちも泣いていました。
「一本、一本を、繋いだ!」
人差し指をみんなの前に立てながら、それ以上言葉が出ませんでした。
顧問の先生方も泣いていました。
ずっと、やって来たこと。
今年は経験者が多いわけではない。
稽古時間も試合の経験も機会も圧倒的に足りない。
じゃあ、全員で考えられるようになろう。
それぞれがそれぞれの役割に注力しよう。5人で粘って粘って繋いで
たった一本を勝てるチームになろう。
GWの県ランキング戦、春江中には0ー4で完敗していました。
再び同じ結果になっていても不思議ではない、素晴らしいチームでした。
この日、同じリーグを戦えた3チーム共に、心からの感謝しかありません。
最後の試合、県大会が終わり、早半月以上。
高校で剣道の継続を宣言している者、勉強の道に進む者、
あるいはその両方、または本来の夢に改めて挑戦する者、それぞれの道へ。
もう二度とは戻らない、あの日、あの瞬間。
「ずっと、覚えていてほしい。」
人差し指の次に絞り出した言葉。
「剣道、面白いぞ。」
この子たちが最初に武道場に来て竹刀の持ち方から教えた時。
それぞれの、一本を取った瞬間、喜び、勝利の日、また敗北、悔しさ、涙も。
それらはきっと彼ら、彼女らのこれからの人生のその先で、いつか小さな灯になるはず。
剣道、面白かった・・・?
少しだけ流行った?「一本繋いだポーズ」(笑)。
この笑顔をお見せ出来ないのが残念!!
hiratapapa