インターハイ福井県予選を見て参りました。
内容、勝敗は、新聞、又は剣道雑誌に譲るとしまして、とても、
印象に残った瞬間。
団体戦。
その選手は、試合の終了が告げられた最後の時、
両手で握った竹刀を一度、
激しく自分の面に打ち付けたのでした。
大将戦。
残念ながら、その選手に周って来るまでに、試合の勝敗はすでに決しており。
もしかすると、剣道の作法には則らないその一動作が、
僕の心を強く打ったのでした。
インターハイへの挑戦が終わった瞬間。
自分達の三年間が終わった瞬間。
それを静かに見届けてなお、その選手は力の限り戦おうとしていた。
自分たちの剣道で、最後まで勝とうとしていた。
きっと、チームのために。
きっと、その背景にあった全てのことのために。
25年前、同じく県立武道館で最後の試合を終えた僕は、
何の感慨もなく、ただぼんやりとそこにいただけでした。
悔しさもなく、涙もなく。
ただ過ぎ去るに任せてしまった、何とも言えない寂しさのようなものの正体は、
おそらく、今日激しく一度、自分の面を竹刀で打ったあの選手のように、
そうすることが出来なかった自分への、ひとつの後悔なのだと思います。
だから、娘には教えたい。
一生懸命頑張ることは、決して恥ずかしいことじゃない。
人生のほんの短いその時間に。
それしかないぐらいに打ち込むことが、あっていい。
燃やせ。
燃焼しろ。
仲間と背中を叩き合って喜べるぐらいに、一緒に涙を流せるぐらいに。
インターハイ、福井県予選会場。
また来年も、娘を連れてこの場所に来たいと思います。