普段より剣道にたずさわっておられる皆様。

皆様にとって、「忘れられない一本」、おありでしょうか。

僕には先日のスポ少大会福井県予選で見せた娘の技が、どうやら

それになりそうです。

 

舞台は交流の部、決勝トーナメント二回戦、お相手は県内屈指の強豪道場さん。

 

娘は先鋒。

実は、予選を勝ち抜いた時点から、多分、先生方も、保護者も、そして子どもたちも、

そのことを意識していたと思います。

 

「次、もし一回戦勝てれば、その強豪道場さんと試合が出来る・・・!」

 

多分、福井県内の大会、試合で個人・団体に関わらず、貼り出された(もしくは

パンフレットでも)組み合わせ表を見て、自分のチームの名前の次に確認してしまうのは、

おそらく皆さんその強豪道場さんの名前ではないでしょうか。

 

そして、試合が進み聞こえて来るのは、「え。どこに(どこの子)負けたの?

強豪道場さん?ああ、それは仕方がないよね。」

 

負けて納得(笑)。


実際に娘も二度、これまで個人戦ですが、同じような経験をさせて頂いております。
昨年のジュニア大会と今年の武生大会。調べなくてもすぐに出て来ます(笑)。

そのように、県内外で非常に尊敬されている(また僕も尊敬させて頂いている)、

強豪道場さんなのです。

 

 

さあ、試合の時間が近づいて来ました。

いつもするように、娘の前に片膝をつきます。

 

「相手、分かってるな。ここは、チームの剣道をしよう。後ろにA君もT君もおる。

先輩たちにつなごう。声出して、とにかく前に前に!絶対に気持ちで負けるな!!」

 

コクッ!と娘。

 

この、いつものように「〇〇を狙っていけ!!勝てるぞ!」と言えないツラさ(笑)。

そして、引き分けを狙え、と言って簡単にそれをさせてもらえるお相手でもない。

僕も分かっています。娘も分かっています。たとえ負けても、後ろに繋がる負けがある。

 

そして、僕がこの先、きっと忘れない一本。


決まらなかったんです(笑)。

 

でも、開始40秒、お相手の左側から鍔ぜりでくるっと回り込んで離れ際に

放った、彼女なり渾身の、引きゴテ。


「やあああああ~!!!」


・・・出来るじゃん(笑)!ちょっと泣きそうになりました。

まだ出来ないからやめろ、と言ってあったんです。

そんな、ぴょん!ってかわいらしいの打っても絶対旗上がらんぞ、って。

「もっと世界大会の正代選手とか、全日本女子の高橋選手みたいな

魂を打ち込むようなコテやないと!この動画見ろ!!」

「出来んわ!!」

 

そんな会話を瞬時に思い出し。

 

僕の心を正に、バシッと打った一本でした。

試合は・・・、立ち向かって立ち向かって、枯れるほど声を出して、・・・引き分け!

 

繋いだ。後は、任せた・・・!!


 

きっと、他の人には、決まりもしない、惜しくもなんともない一本の引きゴテ。

 

でも、娘の気持ちと意地と、プライドがしっかりと竹刀に乗った一振り。

僕はずっとずっと、忘れないと思います。