人が、俺が、走るという事は、自らの思考、の向う方、へ、人体が進む、のではなく、
世界が、俺の、向う方、より、俺の、後景へ、後退、して、ゆく、という事、だ、

人が、俺が、古くなる、より、早く、後景より、後退を、してゆく、ものを、未来、と呼ぶ、
薄褪せた、走馬灯、を、キネトスコープ、を、回す、真冬の、曲馬団より、離れて、

お前は、誰か、言え、お前の、名前など、誰も、知りはしない、そうだろう、

一体誰が、お前の、想像力を、規定した、のか、


誰の様に、考え、誰の様に、知り、誰の様に、見、誰の様に、振舞う、としても、

お前の、名前、など、誰も、興味、は、ない、そう、だろう

だから、さ、湿気った、煙草、を踏み消して、決して、誰の、もの、でも、ない声を、上げろ、
お前は、お前自身、の想像力、だった、お前は、お前自身の、限界を、知らない、

一羽、の、幼鳥、だった、

誰が君達より声を奪ったか
君達は誰の声で喋るのか
人類史の端っくれで
今、誰のものでも無い声を上げよ
君を君たらしめるただ一言を口にせよ
振り返るな、塩の町を

人は敢て摘む蛇苺を 
死と知恵に 
多翼噴泉、 
鉛のオルガンに坐り 
紡錘器を回す 無窮の果てに、そして時間のきりぎしを撃て 
百合の塔より 
懐胎された海を過ぎりつつ 
一瞥を公衆産業展に 
恰も略奪をされた 
花冠棘冠を捨てるかのごと 
幼帝アドルフ・ルートヴィヒ・皇帝の見、覗く花圏に 
虜囚の鉄の、 
巨躯の兜は嫡男を 
甲冑は侍女を 
繊維紙の頁に搦め取るかな 

埃及追放、 
司祭の箱の中を 
薔薇の酸漬が 
糊化をしては、雲と嘴、 
その胸像に掛ける爲のみに生花の選別工場は滑落した手を攫み、 
飼育箱の遠近線を追う 
鉄柵の上澄にしがみ付く 
死の捕囚 
悠然たる鼻梁を向けつつ 
土地は花籬を 
群盲は夷狄を 
透膜文字の書その塔に 
軽き想像の死を連れて来る

 

盲いた燭台が、剥がれた、貌を 柩、の、凪を、静め、
印画紙は、時間の底に、朽葉の様に収められては、酪乳の血を、滲ませる、
街壁に、鉄柵に、そして、昼のなきがらに、
遠近には、皺嗄れた荒寥を、土地に浮べて、

円時計が進み、人は皆、その噂を、畏怖し
狂人は 膠の癒着を、営む、声色を窺いながら、
水銀と鉄、錫と赤銅、その苦き 燕麦、穂を、
錆びた古代から、鋤き、刈入れては、血を啜る様に、呻く、

斬首の夕、それぞれは、自らの磔刑台を曳き、歩き、列なる、
丘墟に、そして塹壕跡に、乾いた命脈が、解れて、砂のゆりかごを、告げて、いる
嬰児が崩れ去る、塩の記録を、現象へ、晒し、
刻銘を、眼の中に眼を見るかのように、検め、

石化した、菫を、かかえては、

そして逃れゆく、石灰の騎馬を、振り返りやがて固まり、ながら、