夕方、奄美大島の名瀬港から、喜界島へ行くフェリーに乗ります。

 

名瀬港の前まで行ったのですが、フェリー乗り場の入り口がわからず、ちょっと焦りました。

入り口があまりに地味、倉庫に入ってくみたいな階段で…

 

この先にホントに乗り場があるのか??と訝しく思いながら進んだら、無事着きました。

奄美海運。

切符売り場の前のロビーも、武骨。

 

切符を買って、教えてもらったとおりに進むのですが、コンテナが並ぶ中を通り、「これで合ってる??」とまた不安に。

 

でも無事、フェリーの前に着きました。ホッとした。

「フェリーあまみ」。

 

行先別に部屋を案内されました。

わ~、椅子じゃない!お布団が用意されてる!

トラックの運転手っぽいパンチパーマのおっちゃんが、すでに寝ていました。

 

いろいろ不安になったり、ビックリしたり。

そこで気づいたのですが、夜通し航行するフェリーに乗るのって、初めてでした。

 

今まで知っていた船といえば、

1時間も乗れば着く瀬戸内海のフェリー。

ぐるっと回って帰ってくる遊覧船。

すぐそこに見える島へ渡る、渡船。

佐渡や五島や伊豆大島へ行くジェットフォイル…くらい。

 

乗ったのは2時間ほどなんですが、「長距離フェリーって、こういう感じなんだ…」と、雰囲気を感じることができました。

 

 

この船は、徳之島を15時過ぎに出て、奄美大島の古仁屋港に寄って、17:50から18:20まで、名瀬に入港。

その後は、喜界島に寄って21時に出航。そこからは約12時間の航海、明日の朝8時半に鹿児島に到着の予定です。

 

出航。

海から見ても、工場地帯の埠頭みたいな印象の名瀬港。

 

黒い煙をもくもくと吐きながら、港の中を進みます。

 

泊ってたホテルが見えてきた。名瀬港の西岸。

 

名瀬港の東岸は、平地がなくて、山が迫っていました。

 

名瀬港の出口から、名瀬の町を振り返ります。またね~

 

動き出してからも船内を探索しては「シャワー室もあるんだ!」「朝は食堂も営業するんだ!」と、いちいち驚き(うるさい客)。

 

奄美大島の北側進みます。あれはどこかな~、と地図と比べて考えるのですが、なにせリアス海岸。出入りが多くて複雑、よく分かりません。

 

大海原に陽が沈む。

食堂で夕暮れの海を見ながら、さっき名瀬のアーケード街のスーパーで買ったお弁当を食べました。

安上りで、贅沢な時間。

 

だんだん暗くなってきました。

 

あやまる岬や、奄美空港のほうが見えているのかなぁ?と思います。

 

海は静かで、月影を映していました。

広い海原に、ポツンと浮かんでいるんだなあ…と感じます。

(いや、陸地は近いんだけど)

夜行の船旅っていうのも、いいなあ。揺れなければ。

 

食事の時以外はだいたい甲板をウロウロしていたのですが、最後のほうは船室で靴を脱いで、少しゴロゴロ。

それものんびりできて、いいものでした。

 

 

8時半。喜界島に到着。降ります。

 

人が降り、車も続々と降り、そしてクレーンでコンテナの積み下ろし。

観光船では見られない作業です。島の生活の大動脈なんだなー。

 

港には、たくさんの人が出迎えていて、とても賑やかでした。

港の窓口で、予約しておいたレンタカーのキーをもらって、用意してあった車に乗りました(手続きは明日でいいそうです)。

 

暗い島の道を、周囲の様子は全く分からないまま、とりあえず進みます。

島に1台しかないという信号機の所を曲がると、すぐに今夜の宿、喜界第一ホテルに到着しました。

 

このホテル、「田舎のおばあちゃんの家」って雰囲気(特に和室)。

古くても広々として、快適に過ごせました。

 

ホテルの壁に架けられた、島の案内図。

小さな島を旅するとよくあることですが、一時代前にタイムスリップしたような気分になります。

 

なお、平安時代に僧・俊寛が流されたという、有名な「鬼界島」のお話。

ここ喜界島にも「俊寛の墓」があるそうですが、実際に俊寛が流されたのはどの島なのか、よく分かっていないそうです(屋久島の北にある硫黄島が有力らしい)。

 

 

次の朝。朝食前に、ホテルの周囲をぐるっと一周。

 

ホテルから芝生を抜けると、すぐ海。

 

目の前に喜界空港。

 

何の変哲もない島の道。

でも、こうブロック塀が並んでいるのは、昔はサンゴの石垣だった名残かもしれないな~と思ったりします。

 

 

喜界第一ホテルの朝ご飯は、「鶏飯」「和食」「洋食」から選べるようになっていました。大島で鶏飯を食べ続けたので、今回は洋食にして、美味しくいただきました。

 
朝食後はチェックアウト。レンタカーの契約を改めて行い、コインランドリーで洗濯を始めて…といろいろ済ませてから、この小さな島を走り始めました。
 
 
暑いので、歩く場所へは朝のうちに。
まずは、島の西海岸に伸びる「荒木中里遊歩道」へ行ってみました。
 
遊歩道、ところどころで視界が開けます。
海の向こうに、奄美大島。

奄美大島も平ぺったい。

 

樹々が茂る中も抜けていきます。鬱蒼としたトンネル。

ガジュマルやアダンやその他もう、いろいろ。

 

絡み合ってる。

でも、枝はちゃんと払ってあって、整備はされています。

 

樹々の下にあるのは、サンゴの層。

喜界島はサンゴが堆積して出来上がった島。

大陸から分かれた奄美大島とは全く成り立ちが違う。

そのため、ハブもいないそうで、こんな道を歩いていても安心です。

 

トゲトゲあるけど柔らかい葉。

 

アダン。

 

聞きなれない種類のセミの声。

 

このセミです。

あっちこっちで、うるさいほど鳴いていました。

 

チョウチョもよく見ました。

喜界島には、金色のサナギのオオゴマダラとか、アサギマダラも来るようですが…そんな蝶によく似た羽根だったけど、どうだか。

 

ジャングルを抜けました。

 

トベラ。

 

サンゴの海岸です。

 

遊歩道の北から歩き始めたのですが、南までずっと歩きとおすと、また歩いて戻ることになります。

暑くて大変なので、いったん戻り、車で遊歩道の南端へと移動しました。

 

南の端は、小さな漁港。

ターコイズブルーの海が、とってもきれいでした。

 

ウリ浜展望公園。

夕陽の時間はとってもきれいでしょうね~。

 

あたりをちょっとだけ、お散歩します。

奄美大島でも見た、奄美の松(リュウキュウマツ?)。

葉っぱはとても柔らかくて、触っても痛くありません。

 

松ぼっくりは、とってもかわいいサイズ。

 

荒木中里遊歩道の、北のほうと南端を歩いて(真ん中は抜けている)、喜界島の海と森をちょっと感じることができました。

 

(ここで一度、コインランドリーに戻って、洗濯機から乾燥機へと移動させました。)

 

次は、ウフヤグチ鍾乳洞という所へ行ってみます。

島の道。

 

ところどころで、ゴマ畑を見かけました。

白い花がまとまって咲いていると、きれいです。

喜界島はゴマ栽培がさかんです。

 

しばらく走ると、島の中央部にあるウフヤグチ鍾乳洞に到着。

サンゴの島ですから、鍾乳洞もあって当然ですね。

入り口がガジュマルの根っこに覆われそう…

 

大戦中、軍の壕として使われていたということで、その時に石筍は取り除かれてしまっています。

だから鍾乳洞としては凸凹がないし、小さな洞ですが…

ジャングルに覆われてしまいそうな、この入り口が印象的でした。

 

帰り道。高台から、海へと下っていきます。向こうは大島。

 

海沿いには、製糖工場がありました。

 

(再びコインランドリーに戻って、乾燥が済んだ洗濯物をしまいました)

洗濯も済んだので、島の端っこまで行ってみます。

 

喜界島はサンゴが堆積した島なので平ぺったいのですが、何度か隆起を重ね、高台もできています。

その成り立ちがわかるという場所へと、坂を登ってきました。

 

テーバルバンタ。

いい眺め。で、何がどうなってるって?

 

解説を読みます。今見ているのは「サンゴ礁の段丘」。

 

なるほど、2段に分かれています。海沿いは新しく、7500年前の隆起。

台形に盛り上がっている場所は、もっと昔、6万年前に隆起したサンゴ礁。

で、今立っている場所は、さらに古くて8万年前のサンゴ礁。

 

テーバルバンタから見える、島の最高峰・百之台。

やはり段丘でポコッとなっていますが、あそこが最も古くて10万年前のサンゴ礁。

今から、あそこへと車で登っていきます。

 

ほどなく到着。一帯は、海を見下ろす広い公園になっています。

この公園、こんなに暑い時期じゃなかったら、すごく気持ちよさそう。

標高211mということで、ポイント211。

 

喜界島最高地点の碑。

 

海と、サンゴ礁の岸辺と、畑に囲まれて、小さな集落が点々と。

「これが喜界島」っていう感じの眺めです。

 

10万年かけて200mもサンゴ礁が隆起した喜界島は、今も1年に2mmずつ、隆起し続けているそうです。(このペースであと10万年経てば、さらに200m隆起する計算になります)

 

島の最高峰から、東側の海へと下ります。

ず~っと海まで続く道。

 

このあたりは、一面のサトウキビ畑。

 

背丈を超える高さに育っています。

 

サトウキビ畑の中の一本道、シュガーロード♪

 

どんどん下ってきました。

 

あちこち、スプリンクラーで散水中。

 

島の端っこ。港や空港のある所からいちばん離れた場所まで来ました。

海沿いを走って、戻っていきます。

 

海岸沿いに集落が点在し、その背後に「段丘」がず~っと連なっています。

…っていう見方ができるようになりました。

 

この正面の盛り上がりも、段丘。

 

途中の「阿伝」という海沿いの集落で、車を停めました。

ここは、近年では少なくなった伝統的なサンゴの石垣が、まとまって残っているという場所です。

 

ずいぶん高く、積んであります。

車じゃなくて人間が通る幅で、地形に沿って曲がった路地も貴重です。

 

喜界島、あちこちによくクロトンが植えられているな~と思います。

 

多種多様な葉っぱで、とっても大きく育っています。

 

阿伝集落、今住んでいる人は、かなり少ない感じでした。

なので、ガジュマルに覆われて呑み込まれそうな石垣もあります…

 

人がそこそこいる集落は、暮らしていくうちにサンゴの石垣をブロック塀にリフォームしたりして、だんだん変わっていく。

サンゴの石垣がそのまま多く残っている=住む人が一気に減ってしまった、ということなのかもしれません。

この集落には港もなく、畑となる平地もあまりありませんし…。

 

ひっそりとした道を、海岸へと戻ります。

 

阿伝集落の前の海。

ここからサンゴを拾ってきて積んだのかな。

 

再び海岸の道を、サンゴの段丘とサトウキビ畑を見ながら。

 

妙に部分的に、街路樹?が植わっています。

 

阿伝集落でなくても、サンゴの石垣は、あちこちに残っています。

 

サンゴの石垣の上にブロック塀を積んだのも、よくありました。

 

ここもサンゴ+ブロック塀。さらに「石敢當」。

島内では石敢當、時々見ました。(ここはT字路の突き当りじゃないですが…)

 

 

島をだいたい一周しました。

お店などが一番多い港の周辺に戻ってきたら、2時を過ぎてしまった。

お昼を食べるところが見つかりません。

 

島のスーパーでは、お弁当類は売り切れでしたが、パン(大手メーカーから、喜界島のパン屋さんのまで)はあったので、購入。

島内で作った、特産のゴマのお菓子なども。

喜界島で作っているゴマのお菓子、お値段はいろいろ。

いちばん高いのは、「喜界島産のゴマ」のお菓子(食べちゃったのでこの写真にはない)。

もう少しお安いのは「国産ゴマ」とだけ書いてありました。

国産ゴマでも十分に貴重品ですけどね…ゴマの国内自給率は0.1%。

 

そのまま、スーパーの2階のフリースペース、地元の中学生がダベって遊んでる横で、食べました。

喜界島は、高校もあります(中高一貫校)。1学年40人ほどはいるようですから、そこそこ若者もいるんだなーと思います。

 

 

食べ終わって、夕方の飛行機まで、まだ時間があります。

空港のすぐ近く、スギラビーチへ。

サンゴ礁に囲まれた、静かなビーチ。一部は砂浜になっています。

更衣室もシャワーもありますので、水着に着替えて、海へ♪

 

海はとてもきれい。

特に岩場の影には、色とりどりの魚がいっぱい!

潜らず下を向いているだけでも、足元を泳いでいく鮮やかな魚たちが、くっきり見えて、泳ぐというより、ず~っと魚を見ていました。

 

 

海からあがってからは、近くの喫茶店「シリアス」で休憩。

テーブルにシュガーポットが置いてあるのを見て「最近珍しいなあ」と思いました。昔ながらの喫茶店。居心地よかったです。

海で遊んだ身体を、冷房の中、冷たいドリンクで冷やして、ホッとしました。

 

 

夕方、レンタカーを返して、目の前の喜界空港へ。

少し到着が遅れていたこともあり、空港は、出発する人・送迎の人で、ごった返していました。

 

小さな島の小さな空港。今まで使った空港の中でもいちばん規模が小さいかも…。

建物や売店のサイズ感は「地方の駅」って感じがしました。

 

待合室も、こじんまり。

ここでかなり待ちました(手荷物検査通過後にトイレがないのが、ちょっと困った)。

 

ようやく出発です。ATR-72という機体です。

喜界空港からは、1時間ほどで鹿児島空港に到着しました。

 

喜界島、よく知らないけど「奄美大島から近いから行けそう」とプランに入れたのですが、奄美大島とはまた雰囲気の違う、静かなサンゴ礁の離島で、とても良かったです。

 

他の小さな島々にも、行ってみたくなります。

小型機で奄美大島の島々をアイランド・ホッピングとか。