車で津軽半島の沿岸を、反時計回りに一周する予定です。
(津軽線のある内陸部は、またつぎの機会に)
青森から、まずは国道280号線のバイパスを北上。
青森市街地を抜けると、田んぼが広がり、ちょうど田植えをやっていました。
田んぼの向こうに新幹線の高架橋、という広々とした景色。
でもしばらくすると、田んぼはなくなり、山の中のバイパスに入りました。
バイパスの両側は森。海や集落が見えず、ちょっと面白くないけど、早いです。
地図で見ると、外ヶ浜海岸には山が迫り、町はごく狭い場所にあります。
集落をつなぐように、津軽線と国道が走っています。
少し山側に、国道バイパス。
新幹線はもっと内陸(トンネルと思われます)。
いったん、バイパスが途切れた。蟹田の町。
津軽線の蟹田駅がありました。
津軽線は現在、ここから終点の三厩までは大雨災害のため運休中。
(そしてこの運休区間、このまま廃線に…)
蟹田は、漁港として昔から栄えてきた町のようです。
この蟹田駅のそばの港からは、下北半島(脇野沢)まで、むつ湾フェリーもが出ていました。
いつか下北半島への旅を計画したら、蟹田経由のルートも検討したいです。
蟹田駅から先は、沿岸はさらに山が迫って、険しくなりました。
(なので昔の街道や線路は、この先は海沿いは進めず、内陸にと向かいます。)
こちらは、そのまま国道280号で沿岸部を走り続けます。
途中、「国道280号ゆとりの駐車帯」という場所で一休み。
目の前が海。
正面には、北上半島が見えています。
写真手前のオレンジ色の箱には、ハングルが書かれてた。
今やって来た、青森市のほう。
これから進む、津軽半島の先端部。
三方どっちを見ても岸が見えて、陸奥湾って巨大な湖みたいです。
この日は波も静かでした。
ところで、この「駐車帯」とか「ゆとりの駐車帯」という名称、あまり耳慣れないのですが、青森県内の道路あちこちにありました。
「スペースがあるだけ」の所や、トイレがある所、場所によってはお店があるところも。パーキングエリア、ってことですね。
「ゆとりの駐車帯」で休憩して、さらに北上を続けます。
山が迫っているので、バイパスはある程度の規模の集落がある所だけになりました。
バイパスがなく、集落の中を通過する場所。
道の海側に作業小屋があり、反対側に家がある、漁村の風景。
津軽半島の東海岸には、田畑を作る場所は殆ど見当たりません。
昔から漁業で生計を立ててきたのでしょう。
北上を続けてきた道が、半島の先で西向きになります。
しばらく進むと、高野崎に着きました。
青い海と空に、赤白の灯台が映えます。
向こうには、うっすら北海道。函館も見えてる?
下北半島西海岸に白っぽい断崖が続いていましたが、仏が浦かな?
灯台の下、高野岬の先っぽには、柱状節理の断崖と、赤い橋がふたつ。
あの橋まで、行ってみます。
鉄製の橋、けっこう高い位置に架けられていました。
足元がスケスケでちょっと怖いくらい。
柱状節理を横から。
あたりは、一面の岩場。
干潮で岩場が露出しているようです。
海は澄み、透き通って輝いています。
竜飛岬ほどの知名度はありませんが、高野崎、とってもいい所でした。
人工物が少なく、自然のままの海岸が残っている感じが、とてもいいです。
高野崎から西へ、竜飛岬のほうへと進みます。
今別の町に来ると、内陸を走ってきた津軽線や古い街道と、再び合流。
さらには、青森からトンネルばかり通ってきた新幹線が、ここで姿を現します。
山あいに田んぼが広がり、向こうに海が見える、静かな場所。
ここに新幹線が走り、青函トンネルの入り口があります。
青函トンネル入口広場。駐車場があって、なんと神社もあります。
トンネル入口。「道隧函青」と記してあります。
見てたら、なんだかゴ~ッ…と音が聞こえてきました。
「え、まさかまさか?」と思っているうちに、音はだんだん大きくなる。
「なんて運がいいの!?」と思いながら、カメラを構えます。
新幹線が出てくるっ!!
……ちょっと違った。
でも、新幹線より遅い分、撮りやすかったかもしれない。
このあと、なんともう一編成、逆向き(北海道行き)の貨物列車にも遭遇しました。
展望台の上から見た、青函トンネル入り口。
トンネルを出てくると、すぐに次の、このトンネルに吸い込まれていきました。
線路が地上に出ている部分は200~300mくらい?
新幹線に乗ってたら、ほんの一瞬。気づかないかも。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240531/15/hanaic/3d/89/p/o0942069115445657509.png?caw=800)
海底の距離(23.3キロ)よりも、地底を走る距離(青森側13.6+北海道17=30.6キロ)のほうが長い。
これだけの海峡をくぐるには、それなりに深く長いトンネルになる訳ですね。
次に向かったのは、三厩駅。
先ほど通った蟹田駅から運休中となっている津軽線の、終着駅です。
三厩も、終点になるくらいですから、それなりに歴史ある町だと思うのですが。
駅はあまり民家もないような場所に、ポツンと。
駅舎の横に停まっているのは、代行バス(発車は数時間後)。
列車が来ることのない駅舎ですが、きれいに整備されていました。
この時刻表を見ると、廃線となってしまうのも仕方ないか…。
でも残念。
ここに列車で来たかったなあ…。
草の伸びた線路が、ちょっと物悲しい。
北の終着点。
駅舎の中には、太宰治の「津軽」の一節。
太宰治の「津軽」、帰ってきてから読んでみたら、今回の旅で周った印象とあわせて、とても興味深かったです。
三厩駅から、またひたすら北上(内陸のバイパス、あじさいロードという道でした)。
ついに竜飛岬に到達しました!
竜飛岬はさすがに観光地。大きな駐車場に、売店もあります。
店先にはタコの足(たこのあす)。
竜飛岬灯台。
灯台の先から見た、北海道・松前半島。
この海の下に、青函トンネル。
断崖が海に落ち込んでいきます。
ここは本州の極地である。この部落を過ぎて路はない。あとは海にころげ落ちるばかりだ。路が全く絶えているのである。ここは本州の袋小路だ。
(太宰治「津軽」より)
岬の向こうには、さっきいた高野崎が見えました。
竜飛岬灯台から、少し丘を降ります。ここは、有名な「階段国道」。
駐車場に車を置いて、歩いて「国道」を降りていってみます。
何の変哲のない階段。
茂みを抜け、海に向かって国道は下り続けます。
階段国道、ここまで。
なぜここが国道になったか、諸説あるそうなんですが…結局今は、観光地として機能しているからいいのかな。
漁師さんが網の手入をしてて、民家の間の狭い通路を通って…
降り切ったところは、竜飛漁港でした。
ポコポコとした岩があります。
竜飛岬のすぐ下なんですが、ここは全然観光地じゃない。
再び、階段国道を上まで登って、車に戻りました。
駐車場の前にあった「津軽海峡冬景色」の碑。
碑にあったボタンを押したら、いきなり大音響の前奏に続き
「ごらんあれが竜飛岬 北のはずれと~♪」
ビックリしました。
竜飛岬、この歌のおかげですごく有名になりましたね。
竜飛岬から車で少しだけ戻ると、青函トンネル本州方基地竜飛。
ここに、青函トンネル記念館があります。
ここで、ケーブルカーで地下に降りて、青函トンネルの坑道へと降りることができるそうなのです。
ところが機械の不調とか。残念ですが、見学はあきらめました。
津軽半島の山の中、そこらじゅうで咲き誇っていた花。
たぶん、ヤマウツギだと思います。
竜飛岬を後にして、今度は津軽半島の西海岸を南下します。
しばらくは海岸には道はなく(岬がそれだけ険しい)、山の中のワインディングロード。
山の上に、「鳥瞰台」という展望台がありました。
竜飛岬より高い位置から見る、青函海峡。
北海道とはここでお別れかな?
今から山を降りたら、きっと見えなくなるでしょう。
南に目を移すと、小さな半島が海に伸びています。
権現崎というそうです。
権現崎のつけ根に小泊という町があり、それが本州の日本海側、最北の集落。
(小説「津軽」にも出てきます)
その権現崎の向こうに、岩木山。
その手前に浜が広がっているのが見えます。
今から向かう十三湖は、あのあたり。
山を降りてきました。
道沿いにあった、七ツ滝。
山を降りてからは、岩木山を望みつつ、海沿いを走ります。
今降りてきた、ワインディングロードが見えます。
権現崎・小泊を過ぎて。岩木山は、海に浮かぶよう。
運転していたのであまり写真は撮れませんでしたが、ず~っと絶景路線でした!
十三湖に到着しました。
お昼も過ぎたので、まずはお昼ごはんにします。
しじみの殻をはりつけて牛柄みたいな、しじみソフトクリーム……は食べておりません。
食べたのは、しじみラーメン、佃煮つき。
しじみラーメン、期待通りの味で美味しかったのですが、しじみがものすごい量、入ってました。身をはずすのがたいへん!!
外した殻が山盛りになりました。
しじみラーメンのあとは、しじみの故郷・十三湖をお散歩します。
湖の中に浮かぶ平坦な島・中の島に、木製の橋が架かっていましたので、渡ります。
ヨシが茂る、湖の岸辺。(護岸工事がしてあった所も)
十三湖大橋の先に、岩木山。
やがて、十三湖が冷え冷えと白く目前に展開する。浅い真珠貝に水を盛ったような、気品はあるがはかない感じの湖である。波一つない。船も浮かんでいない。ひっそりしていて、そうして、なかなかひろい。人に捨てられた孤独の水たまりである。流れる雲も飛ぶ鳥の影も、この湖の面には写らぬというような感じだ。
(太宰治「津軽」より)
十三湖の中の島には、遺跡があるそうです。縄文時代?と思ったら、奈良時代と。
その後中世には、たいへん栄えた港だったそうです。
そんな歴史ある町ですから、街道沿いには、古くからの集落が続きました。
このあたりの家の庭によく植わっていた、葉の色が鮮やかな木。
何の木なんだろう?
十三湖から少し車で走ると、高山稲荷神社。
けっこう参拝客が来ています。
このあたりも、十三湖と同じ、海沿いの低湿地。
そこに池があって、千本鳥居が並んでいます。
どの鳥居も新しくて、全く同じ形。
寄進者の名前が裏に書かれて、ずら~っと並んでます。
インスタ映えねらいっぽい…?
低湿地は、鳥居のなくなった先にも続きます。
このあたり、発電用の風車もたくさん建っています。
それだけ風が強い場所。
高山稲荷からまた少し走って、ベンセ湿原に来ました。低湿地つづき。
ちょうどニッコウキスゲが咲いていると聞いて、来てみたのです。
いっぱい咲いていました♪ 岩木山をバックに。
様々な鳥の声も響きます。
気持ちいいお散歩でした。
これは、クサレダマ。
ショウブ。(カキツバタじゃないんだそうです…わからない)
足元には、ワラビ。
いくつもいくつもあります。
地図で見るとこんな感じ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240602/16/hanaic/7b/08/p/o0678086315446522479.png?caw=800)
無数の沼。
ベンセ湿原をあとに、田植え直後の田んぼと風車の中を。
岩木山は、このあたりの風景の主役。
かなり大きく見えるようになりました。
亀が岡石器時代遺跡に来ました。
この、遮光器土偶(愛称・しゃこちゃん)が出てきた場所です。
時代は、縄文時代の終わりごろ。
周囲は、県道と田んぼの風景。
でも土偶の作られたころは田んぼはないので、沼や湿原のひろがる風景だったのでしょうね。
しじみ取って暮らしてたのかなー。
五能線の、木造駅にやってきました。
巨大な、しゃこちゃん!
古い旅館(閉館)や小さな商店がある、ごく静かな駅前なのですが。
なんだかもう、ものすごい駅舎。
へらで刻んだ模様の立体感なんかも、忠実に(たぶん)再現されていました。
木造(きづくり)駅ホーム。もくぞうの駅ではありません。
この日最後に行ったのは、木造駅からもう少し南に行った溜め池(津軽冨士見湖)。
駐車場から、桜並木の中を行くと
鶴の舞橋。
青森県産のひばで造られていて、長さは300m。
100mずつの3つの太鼓橋がつながっています。そんなに古いものではありません。
橋の向こうに岩木山が見えるこのアングルが、いい感じです。
順次架け替え工事をしているところで、架け替え終わった所はこのとおり。
ここから、津軽自動車道~東北自動車道~青森自動車道と乗り継いで、青森市に帰りました。
青森港で車を返して、アスパムの10階にある郷土料理のお店「西むら」へ。
残照の青森港がまだ見えていました!
ちょうど朝、クイーンエリザベスが着岸した、クルーズターミナル。
でももう、出航したようです。
頼んだのは、料理長おススメ、津軽定食1850円。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240602/17/hanaic/e6/d1/j/o4624346815446552729.jpg?caw=800)
見ただけでは、何だかわからない物も…。以下、お店の説明から。
①ホタテ貝焼味噌
大きなほたて貝にぶつ切りしたほたてがたっぷりのった郷土料理です。味の決め手は地元産の味噌とカツオでとった香り高いダシ汁です。青森郷土料理の代表格です。
②じゃっぱ汁
11月頃から前沖に入ってくる磯だらを刺身、焼き物、あえもの等にし、残った頭や中骨等を材料とします。
③にしんの切込み
旬の新鮮なにしんを細切りにし、米麹で熟成させました。プリっとしたにしんの歯ごたえと、唐辛子のピリッとした辛味がよくマッチします。
④がっくら漬け
昔、なたで大根を切る際、〝ガクッ〟と割れる所からネーミングされたと言われる。大根と塩と麹で漬け込みます。各家庭でおふくろの味が継承される郷土料理の一つ。
全体的に、塩と麹の味が強いのが特徴的でした。