目を覗き込むと
つま先まで薔薇色の電流が走る。
イケメンだけがくれる
この悩ましくて
甘くて切ない陶酔感と
恍惚感に無我夢中。
美しい美青年の芳香に
あーん
たわわに溢れちゃう…






過度に美しい
テテがいるから
現実世界がさみしくても
全然大丈夫。
テテの美貌の織りなす世界は
わたしを守ってくれる
エデンの園。
現実から夢の世界へ
乗り継ぎます。









若干ウソ。
少し大丈夫じゃない。



うわーん
さみしい。
幸せ紛失。

溢れる愚痴聞いて。


昨日は
19時まで残業して帰宅すると
先輩から着信があった事に気付く。
かけ直すと
良くない報せでした。
先輩のお母様が
足をひねって転倒し
検査で骨折がわかり入院。
本日手術するそうで 
妹さんが今
付き添いに来られているそうです。
大変な事が続いている先輩のお家。
お父様に続き
お母様まで入院なさって
もう
何をどう申し上げれば良いのか
かける言葉も見つかりません。
次のデート予定だった
5日は
わたしの仕事の大きな期日なので
以前からその事を心配してくださって
勤務変更して出勤しなさいと
おっしゃってくださってたのですが
死ぬ気でがんばって1日早く仕上げるから
その日は休みのままにして
あなたと会いたいと 
強情を張っていたのですが
こんな事になったから
オレも病院まわりしなくてはならないし
仕事やっときなさいとの事で
結果会わない事になりました。
悲劇。
ご褒美喪失。









残念ですが
今はわたしと会うどころでは
ありませんので
事情はよく理解できます。


心が置いてけぼりなだけ。
あーん
ネコのように
先輩の腋窩に丸く
納まりたかった。
腕枕で安息日したかった。



手術がうまく行って
また元通りに
歩けるように
なってくださいますように。
そう祈るしかできない。

先輩がどんどん大変になる。
親の衰えは
加速度を上げて
まわりを巻き込みながら
進み続ける。

あーん
どうしたらいいのかしら。
歳を重ねると
責任が増える一方です。
子の両肩にのしかかる
両親の介護。
働きながらお世話をしながら
円滑に日常を送る事の難しさ。


茫然…
回顧。


愛する主人もキャリアを捨て
わたしを伴い故郷へ戻った。

一晩中大きな声で人を呼び
意味不明な理由で怒鳴り
怒り狂い
理不尽に当たり散らされるわたしたち。
理性も母性も脳死していた義母。
家族を寝かさない
易怒性が高いアルツハイマーの義母。
わたしを特に敵視して
赤ちゃんを抱いていても罵倒した。
主人がわたしを
かばえばかばうほど
激しくなる一方だった。
義母の態度を謝ってくれて
よくやってくれてありがとうと
言ってくれる主人の気持ちを思うと
なんでも耐えられた。
ある時は家に入れないほど
荒れ狂うので
対応に困り果て
義理姉や義理妹を呼ぶと
打って変わって態度を変え軟化するので
信じてもらえず
どれだけ病的でひどいかを
切に訴えても
お母さんは苦労してきた人だから…と
嫁をかばってはくれなかった。
身内は頼りにならないため
よくケアマネさんに助けてもらった。
他人が場に交じると
比較的状況が好転した。
出会いたくも知りたくもなかった
黒い感情が生まれた。

なら
苦労をかけてきたあなた達が
連れて帰って
面倒を見たらいいのに


喉まで出そうな日々。

当の本人。
ご自身は
自分のペースで睡眠を取るので
大丈夫なのでしょうが
頻回に起こされ
細切れ睡眠を続けたわたし達には
辛く厳しい毎日だった。
この生活のせいで
健康を損ない
主人はガンになったとわたしは恨んでいる。
離床センサーを取り付ける事は
絶対にオススメしない。
基本的人権を見殺しにするのと同じ。
家庭で
ひとりあるいはふたりで
介護する場合
そこまですると身体も精神も壊す。

(何があっても
老化は自然現象。
歳を重ねて臨終を迎える行程は
自然の理。
たたみの上で死のうが
道に倒れ死のうが
人それぞれの臨終。
過剰に干渉する現代医療に
疑問を感じる。
自然界の動物は
食べなくなり飲めなくなり
枯れ木のようになって
自然界へ還るのに対し
人類は衰えた代謝機能にむち打たせ
栄養投与
薬剤投与を繰り返し
点滴水ぶくれにして
自然界の法則をまるで無視。
投薬できないのであれば
病院にいられないのだから
仕方の無い事かもしれないが
治る医療なら続けるべきだが
精神が滅びているのに
肉体だけ生きて
これが生と言えるのだろうか。)



自然な看取りの一環として
そこまで介入はしてはいけない。
過重負担で
愛しい主人を早期に失ったと感じて
ずっと後悔している。
わたしも乳児をかかえ
小学生と中学生をかかえ
嫁として母として限界だった。
離床センサーが
昼夜構わず家中に鳴り響く
そんな家に暮らした
あの数年間は 
わたしの人生で
最も過酷で苦しい日々でもあった。
わたしかあちらか  
どちらでもいいから…と
死を願う自分がいた。
赤ちゃんの愛する息子を胸に抱いて
義母の怒声を聞かせたくなくて
近所をよく歩いた。
川に差し掛かり
橋から
よく覗き込んだ。
ここから落ちたら楽になれる…
ふと
川底から呼ばれるような気がした。
上の子らふたりが
いなかったら
踏みとどまれなかったかもしれない。
あの子たちのために
踏ん張った。
一度に愛しい3人の子を
連れて行くことは不可能だったから。


義母がある朝
足が全く立たなくなり
救急車を呼んだ。 
病院に3年入院して
最後はお骨の帰宅となった。
病院でも怒鳴り続け
看護師に迷惑をかけ続けた。
申し訳無かった。
義父は優しい夫で
毎日のように
いわれなき罵詈雑言を浴びに通っていた。
深い愛情がそこにあった。


義母を失くした義父は
温和な性格だったが
徘徊が著しくなり
目が離せなくなったのが
また大変だった。
週2でデイサービスに通ってくれて
にこやかな笑顔の好々爺ですので
かわいがっていただけましたし
行っている間だけ
睡眠確保もでき助かった。
夜間頻繁にトイレに行きますが
とにかくコケますし
コケると折れますから目が離せない。 
大腸ガンで腸を切ったせいか
毎日のように間に合わず
失敗し
自分でなんとかしようと外したりもするので
紙パンツも機能せず
廊下からトイレまでひどい有り様になり
連日頻繁にこうなるため
少しでも惨事を防ぎたくて
ますます目が離せなくなっていった。
わたしが仕事から帰ると
夫がわたしを呼ぶ声。
穏やかな夫が
助けを呼ぶ声に
玄関でバッグを放り投げて駆けつけた。
働かねば生きても行けず
反して老親から目は離せず
大切であればあるほど
夫婦の肩に重く食い込んだ。

夫の生命を賭けた介護。
生活と育児と
わたしの精神も体力も
限界ギリギリの介護だった。


全ての介護が終わった秋に
夫は末期ガンで余命8ヶ月だった。
葬儀の後
おやじを残さずに済んで良かったと
言っていた。
旅行したかった夢を
やっと叶えてあげられる。
箱根、草津、熱海と駆け足で回った。
来年の桜は見れるだろうかと
病床でつぶやいたので
意地でも見せたくて
熱海の河津桜が1番早いと知り
早春に連れて行って見せた。
抗がん剤をがんばってくれたので
ソメイヨシノも見れた。
病院の近くに大きな木がある。
あの桜を見るたびに
夫を思い出す。
あの8ヶ月だけ
わたしたちの行楽の思い出は
ぎっしり詰まってる。
温泉好きな夫。
亡くなる2週間前まで
温泉に通った。
酸素ボンベのチューブを伸ばして繋げて
入浴させた。
身体に負担の大きい危険な行為。
酸素濃度は危険域に低下するが
モルヒネを大量に投与して
本人のやりたいことを優先した。
肺機能がガンに蝕まれ
機能低下が著しいため
使用する酸素の濃度は上昇の一途をたどり
1本が2時間しか保たず
何本も車内に積んで移動した。
道路交通法に触れるのかも知れないが
関係無かった。
高速道路で事故して
家族で死ねるならそれでラッキーと
本気で思っていた。
まわりに配慮も遠慮も欠いた思考に
支配されていた。
病んでいたのかも知れない。
飛行機を使う時も
落ちてくれたらと
本気で思っていた。
今でもたまに思う。
幸せな最後だろうなと。
子供たちに
お母さんは好きな事して死んだんだから
幸せな人だと思ってもらえる。




勝手な願い事は叶わないから
今のわたしが残っている。
例えようもない病的さみしさが
永続的に後遺症となった。


ひとつの魂の半分が
失われた世界にあるから
こんなにもさみしいのかしら。


憂き世を慰めてくれる
美男無しには
とても生きられない。
しょうもない
つまらないこの世に
うんざりしてるんですもの。





ああ
なんてうれしいお言葉。
絶対に
またいらしてーよだれハート
飢えた野獣
魂からの咆哮。


イケメンハントだけが
生き甲斐です。
夢見心地に飢えている。
真っ暗な現実とは
正反対の
薔薇色の世界に
どっぷりと浸かったままで
夢見ていたい。




愚痴ごめんなさい。
どうしても出てしまった。
憂鬱な雨のせいです。
雨は天敵。
雨に呪われている。
頭の何処かに潜むあの
離床センサーの音。
白雪姫の7人の小人の
仕事に向かうあの曲。
ハイホー。
ディズニーミュージックで唯一
嫌いな曲です。
心が痛む曲。
やりきれない思いが蘇って
苦しめられる曲。







本日はお休み。
お持ち帰りした仕事がある。
こうなったら
仕事をがんばって
最善の良い結果を目指したい。