自分をもっと好きになりたいとずっと思っていた。でも、どうしたらよいのかわからなかった。

 

それで、自分を鍛錬するような登山をやってみたり、資格を取ってみたり、自己啓発の本をたくさん読んでみたり、自己啓発セミナーに参加したり、料理教室だとか、ボイストレーニングだとか、水泳も習ったし、球技苦手なのにテニスも習ったな。そんなできないことを習ったり学びに行ったり、いろいろやってみた。

 

自分に何か足すことをやっていたんだね。自己啓発セミナーには、だいぶお金をかけた。いわゆるセミナージプシー状態。気づきはたくさんあって、自分がその時は変化したり、成長したり、できなかったことができるようになったりしたんだけど、また元に戻るというのかな。自分を好きになったかよくわからない出来事が起きるの。

 

螺旋階段のようにきっと一段一段は登っているんだよ。でも繰り返し起きてくる。

 

あるとき、小田桐あさぎさんの『「私、ちゃんとしなきゃ」から、卒業する本』という本に出会い、我慢していることを手放すということを試し始めたんだ。すごい些細なところから、トイレを行きたくなったらすぐ行くというようなレベルのことから。

 

私の職場は午前中と午後に10分、交代で休憩を取れることになっているから、休憩までトイレ我慢するということをやりがちだったのね。ほんとは、トイレは生理現象だがら、別にいつ行ってもよかったから、仕事が区切りが付いたら行くとか。

 

それは我慢しているというほどのことではなかったのだけど、トイレを思い立ったらいつでも行くということをしたら、チョー楽。ものすごい自由さを感じるようになっていったのね。

 

職場では、差し入れのお菓子置き場があって、ちょっとしたお菓子をつまめるようになっているの。そのお菓子も遠慮してなかなかもらいづらいと考える私がいたの。美味しそうなお菓子が差し入れされていたのを気が付いたら、ありがたくさっさともらうようにしたの。そしたら、実はそうしている人は多いことに気が付いた。遠慮せずにもらっていいんだ。そんなことで豊かでご機嫌な気分でいられるようになった。

 

そんなことをしているうちに、自分の中の違和感に気が付くようになった。何かを我慢しているつもりはなかった。ただ、自分の本音に気が付いて、自分の本音に従うようになっていったのね。それは自分を大切にすることだったの。そうしているうちに、自分が自分を嫌って粗末にしていたことに気が付いたんだ。