「日本語練習帳」というベストセラーの著者である大野晋先生の著書を多数読んだことがあります。私は良いと思った本の著者の著書をかたっぱしから読むということをしていたので、大野晋先生の出版されている論文の著書も読みました。難しくてなかなか理解に苦しんだけれど、印象に残ったことがたくさんあります。

 

大野晋先生は、南インドの古代語と日本語の古語の関連についての研究をされました。大野晋先生の、古代インドのタミル語、トラビダ語と日本の古語との関連について発表したのを聞いた、スリランカの学者夫妻が共同研究のために日本へ訪れたというエピソードが記載されている著書があります。

スリランカは、日本の平安時代にあった通い婚の風習が20世紀初頭まで在った地域で、大野晋先生の発表された言葉は、方言として残っていた言葉であったらしい。大野晋先生は、スリランカの夫妻と研究でともに過ごすうちに、スリランカの一部地域で、1月15日に砂糖と小豆で煮た小豆粥を食べる風習があることを知ります。

大野晋先生は東京の下町出身で、大野先生の子供の頃にやはり1月15日に砂糖で甘くした小豆粥を食べる風習があったとか。古い言葉だけではなくて、古い風習なども、文化のつながりを伝えてくれるのですね。

 

日本で、1月15日は、元旦の大正月に対して、小正月と言われていました。成人式の日として国の祭日だった時期があり、正月の準備で働き詰めの女性が休む、女正月ともいわれていました。どんと焼きなどの風習を行う日でもありました。私の家では、風習というほどのことではなく、寒い季節の休日に温かいおやつを楽しむくらいことだったのですが、母がよくぜんざいを作ってくれた日でした。

 

そんなわけで、1月15日は古代のインド、スリランカに思いを馳せる日です。

 

1月15日はハッピーマンデーとして、連休を作るために第2月曜日を成人の日にするようになって、祭日ではなくなってしまいました。この日が祭日のままだったら、伝搬してきた文化のつながりにゆっくり思いを馳せるのに、平日の月曜ではすっかり忘れていたわ。でも、思い出したし懐かしいから、明日は小豆を買ってきて、お餅を入れたぜんざいをつくろう、などとつらつら考えながら眠りにつきます。