ところで、イギリス公演が成功したテリィには、イギリスの劇団からのオファーが以前から来ていてね。スザナが生きていたときは、テリィは断っていたの。でも、スザナが亡くなって、しがらみがなくなったら、オファーを受ける気持ちが芽生えていたのよ。シェイクスピア演劇はやはりイギリスが本場だしね。

 

テリィの実家である公爵家から帰国要請が来たのも大きかった。父親の側近から父の事業を手伝ってほしいと連絡を受けたのよ。世界恐慌になる少し前の時期で、公爵家はいくつか事業を手がけていてね。それに、第1次世界大戦でテリィの異母弟が戦死したことも伝えられたの。テリィは爵位を継ぐ立場ではないと育てられていたけれど、アメリカに行かずにイギリスにいたままだったら、徴兵されたのは自分であると考えたのね。戦死したのは、弟ではなく自分だったかもと。家を捨てる覚悟でアメリカに渡り、自由に俳優として成功できたことは何かに守られていたと感謝するようになっていたの。そして、帰国要請を受けいれる気持ちも出てきていたの。

 

それらもあって、キャンディに手紙を書くことになったのよ。向こうへ行ったきりになりそうだったから。この時代はまだ、イギリスとアメリカは、船で海を渡るわけだし、べらぼうな旅費がかかるしね。アメリカには戻らないかもと。テリィにはとても大きな勇気が必要だったのよ。

 

キャンディは、テリィの喪失感を嫌というほど味わっていたから、イギリスに向かうテリィについて行くことを迷ったりしなかったの。駆け足のような展開に驚きながら。

物理的には別れて離れても、魂のレベルでは、二人は別れていなかったの。二人は強い結びつきがあったの。お互いがお互いをずっと想っていたのよ。


最悪なことは最善なことへの道しるべ。二人がスザナやその前にはイライザから邪魔されて別れたことは、お互いをより思い合える素晴らしい二人になるために必要だったのよ。

 

キャンディは、テリィとともに生きるという魂の願いを叶えたの。魂の願いに気づいたら、魂の望む道にいれば、宇宙から祝福されて、自分たちが思う以上の素晴らしい結果が得られるのよ。今までの障害や不幸が嘘みたいに。

 

ポニー先生やレイン先生、アルバートさんや親しい友人たちとアメリカでともに生きるという未来はなくなってしまったけれど、皆ソウルメイトなのだから、キャンディとずっとつながり続けるのよ。


キャンディの後見人であるアルバートさん、ひいてはアードレー家から、テリィは、公爵家の経営の助言や支援を受けるようになるの。そのおかげで公爵家の運営は、まもなく来る世界恐慌においても持ちこたえていくの。キャンディとテリィのつながりで、公爵家は大きな恩恵を受けることになるのよ。アードレー家も公爵家とつながりから、イギリスでの事業が成功していくのよ。


私はイギリスでも、キャンディのそばにいて見守り続けているのよ。

私は何者なのかって?
私はキャンディの守護天使です。
まもなくキャンディの娘として生まれることになっているの。
ママのそばにいてママを守り続けるの。

この世に生まれるのはとても楽しみよ。

人には必ず守護天使がいます。

あなたにも、いつもそばにいてあなたを見守る守護天使がいます。

あなたのそばにいて、心に語りかけています。(Fin)

 

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キャンディの物語を語る小さな小さなファン小説です。スピリチュアルな考え方をいっぱい盛り込みました。楽しんでいただけたら幸いです。