恵比寿ガーデンプレイス内東京写真美術館で、1月22日まで。まもなく終了。昨年11月より開催されていましたがようやく行ってきました。今年始まったばかりなのに早くも、2023年に私が見に行ったベストの展覧会になる予感がしています。
テーマごとに章立てで、星野道夫さんの言葉とともに大きく引き伸ばされて展示された写真展は、何度か写真集を眺め見たり知ったりしていた写真であっても、受ける印象が大きく変わりました。

私の展覧会の楽しみ方に、正面だけでなく、左右や遠く離れたりして作品を眺めることがあります。混雑しているとままならないのですが、良い作品はどの位置から見ても力強い印象があります。遠くから見ても何か訴えてきます。雄大な自然の写真も、そこに生きる動物の写真も、みなそんな写真ばかり。どうしてそうやって切り取れるのだろう、どうしてその一瞬をとらえることができるのだろうと憧憬の念を感じます。

星野道夫さんはインディアンのワタリガラスの伝説を求めて、インディアンの人々の写真も残しています。私が異文化や少数民族に惹かれるのは、その暮らしや文化は、地球の風土の違いがもたらしたもので、人々の営みは変わらないということを知りたいからかもしれません。人類はひとつ、地球はひとつであると確かめたいのです。単に風土がもたらしたものであれば、文化の違いは優劣などなく、ただ違うだけで、愛おしめばよいのだと確認したいのです。
地球交響曲「ガイアシンフォニー」第3番という映画に 出演予定だった星野道夫さんは熊に襲われて死にました。映画は星野道夫さんを取り巻く人たちを取材し星野道夫さんを浮かび上がらせる手法で撮影されました。
本人が印象的な人でしたから周りの人達もとても印象的です。この展覧会では、ブッシュパイロットのシリア・ハンターさんの写真もありました。 
「人生とは何かを計画している時に起こってしまう別の出来事のこと」
 Life is what happens to you, while you are  making other plans.
映画で紹介されたシリア・ハンターさんの言葉は、この展覧会ではなかったけれども懐かしく思い出しました。

いくつもの計画があったのに、不意にヒグマに襲われて命を落とした星野道夫さんの人生の思いを馳せます。クマに襲われたというよりも、クマに身を捧げたように思われてなりません。