人生たまには変化がないと、
平和ボケから憂いが生まれてしまう。
私は長らく乗っていない自転車を磨き、
タイヤに空気を入れ、
あまり行くことのない隣町に向かう事にした。
電車やバスで行った事はある。
しかし今度は自転車で。
片道3.5km、自転車なら大した距離ではない。
しかしここは坂道の多い地域。
辿り着くまでのしんどさは、
到達時の満足を増幅させるはずだ。
隣町でも目新しい刺激はあるのか?
あった。あった。
大いにあった。
自転車置き場ひとつ取っても、
入口出口、駐車券、
何から何まで仕様が違って戸惑うのだ。
この戸惑いが止まっていた心を動かす。
駅前のショッピングビルには、
他の街で見慣れた店舗が入っている。
しかしここで見ると目新しい。
商品もよそ行きに見える。
店員さんもここは若くて優しそうな人達だ。
ビルに差し込む昼下がりの光が、
心の奥まで明るく照らす。
淀んで憂う心を洗ってくれる。
まだまだこれから楽しいことが起きるかもしれない、
そう思わせてくれる。
この変化が欲しくて私は自転車を走らせたんだと思う。
人間の直感は侮れない。
何か惹かれると思った事は、
実行した方が良い。