『 きみといっしょに…… =ミンホ編= 』
「ミノ~」
リビングで長い手足を邪魔そうにしながらソファの上でゲームをしているミノに声を掛けた。
「キュヒョン先輩とまた争ってるの?」
一生懸命な横顔はかっこいいのに……。
だけどゲームなんだよ……。
とはいえミノの場合運動神経もいいからすごいんだけど。
「もうちょい!
よし♪勝ってる。」
いいスコアが出たらしいミノは嬉しそうな笑顔のまま僕を見た。
「何か用事?」
「んー。買い物についてきてもらおうかなって。」
「遠く?」
「ううん。そこのスーパー。シリアル買うだけ。」
「いいよ。」
人なつっこい笑顔が快諾してくれる。
僕は「じゃあ準備してくる」と一旦部屋に戻る。
きっとミノはあのまんま。
いつものお気に入りのジャージだろうから。
「お待たせ~。」
「僕は何も買うものないし……手ぶらでいいかな。
なんか欲しくなったらヒョン貸してね。」
僕は「いいよ」ってかえして、玄関に向かった。
今日はいいお天気だから……とお気に入りの明るい色の靴を選んだ。
■
「シリアルってどこだっけ。」
呟きながら店の中の棚を物色するミノは、
遅れて歩く僕から見てもかっこいい。
なんてことないジャージを着ているのに……。
モデルもしてたっていってたけど、手足の長さとか、身長とか、顔と体のバランスもすごくいい。
ちょっとうらやましいけど、でも僕のメンバーなんだよっておもうと自慢なんだ。
わざと遅れて歩けばほら、みんなが振り返るのがおもしろい。
ぼさぼさの髪で目深にかぶったキャップ。
よく見なきゃわかんないだろうけど、
思わず振り返るでしょ、って。
僕はといえば普段は眼鏡を掛けてキャップをかぶれば
あんまり目立たないから大丈夫。
こんな近くで買い物したって平気なくらい。
「ヒョン!遅いよ早くおいでよ。」
低くって甘えた声が僕をせかす。
僕はちょっとだけ走ってそばに立つ。
少ししか変わらないはずの身長。
だけどちょっと上にある目が僕をやさしく見下ろしてくるからなんだか照れくさいんだ。
こんなかっこいいヤツの横っていうのもちょっと恥ずかしい……。
「こっちもおもしろいね。
いろんなのがあるなぁ……
こっちのドライフルーツ入っているのも美味しそうだよ。」
箱の写真を指さしながらあれこれ分析しているけど
僕はいつもので十分。
手をのばすと横からその手を商品にとどくまえにミノの手が邪魔をする。
「また同じの……たまには変えようよ。」
「いいよ……これで。」
「んー。せっかくだからこっち!ほら。ね。」
笑顔でなんだか押し切られる。
だけどまぁいいか……って思う僕はミノの笑顔に弱い。
レジまでの途中、傍らのカリスマ様は人の視線を集めつつ何やら物色している。
不意に足をとめたのは……
ポテトチップ?
しかも子供向けのコーナーにあったもの。
よく見れば……
サッカー?
カードがついているとかいうものらしい。
ふと見上げれば、
ミノの端正な横顔が無邪気な子供のそれに変わっていた。
「ヒョン!お金貸して。」
「いいけど……でもシリアル買うくらいしか持ってないよ。」
「えっといくらかな……。
すみません!」
よく通る声で店員を呼び止めたミノは、その店員にこういった。
「段ボール1ケースでおいくらですか?」
僕は自分の耳を疑った。
今何って言った?
ダンボールで買うの?
えっ
そんなに食べるの………
って。
「ヒョンお金ありますか?」
僕は聞こえた金額と財布の中身を考えてから、
たてに首を振った。
ギリギリだけど……。
■
僕の傍を歩くカリスマ様は
大きな段ボールを抱えて歩いている。
玄関のドアを通るのも大変そうな大きな箱。
結局その箱をひとつ買ったらお金がなくって,シリアルは棚へ。
だから僕は手ぶらなんだよ。
でもね
なんか小学生みたいな顔をして嬉しそうなミノを見たら
僕まで幸せに感じてしまうんだ。
不思議だけど。
だから僕は、まぁいいかな……って思っている。
今日はお天気もいいし
もう一回買い物ついでに散歩するのもいいかなぁって。
おしまい
