今日は 一つのお話をしたいと思います。

犬のジョンは いつも お庭の囲いの中に入っていました。鎖でつながれています。
いつも 遠くで 自由に走り回っている同じ犬たちを 毎日
羨ましく 眺めていました。
「僕も みんなみたいに自由に何処にでもいきたい。外の世界はどんなんだろう?
」ジョンは まだ みていない世界を夢見ていました。

ジョンは大きくなり もう囲いは軽々と飛び越えられます。
でも 鎖でつながれていました。

ある時 強く引っ張ると鎖がぬけました。
いつでも 広い世界に飛び出していけるジョンでした。

今まで 長い間 あたためてきた思いが膨らみました。

ジョンは 囲いを軽々と飛び越えました。

外に出て 走って飛び出していくように見えました。

でも ジョンは 外に出たと思うと また 後ろを向いて 元の囲いの中に戻ってしまったのです。

ジョンは 囲いの中で いつものように座り込みました。

あれだけ 自由を夢見ていたのに、いざ 完全な自由を手に入れると こわくなったのです。

鎖はもうないのに 繋がれている方が、安心な気がしました。
ジョンは 見えない鎖で繋がれているのです。

それは うそなのに。

今までと違う道を行くこと。
自由になることは 喜びで 
楽な筈なのに。
鎖で繋がれている方が、楽なように感じて…。
それは 錯覚なのに。
いく日か 立ちました。

ジョンは また 遠くで自由に
走り回っている犬たちを見ました。

ジョンは ずっと ずっと その犬たちの方を眺めていました。
犬たちがいなくなっても。

そして、ジョンは 囲いの中で立ち上がると ピョンと囲いを軽々と飛び越えました。

ちらっと 囲いを振り返ってみたかと思うと ジョンは 外に向かって走り出しました。

ジョンは もう 戻ることは、ありませんでした。

ジョンは 勇気を出して 自由を手に入れたのです。

広い世界は わくわくして 心からそれを楽しみたいと思うジョンがいました。

人間も ジョンと同じ 見えない鎖で繋がれていることがあるかも知れません。

新しいことをする。
新しい体験 新しい世界。
一歩踏み出す 勇気がいつでも必要です。
その先に 体験を通してしかわからない学びがあります。