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日々の小さなこと

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今夜は祝い酒
昨夜は勝ち酒
一昨日は何だったか酒。
何かにつけて毎晩毎夜の
酒の席に浸る

一時のその場しのぎ

吐き尽くす愚痴
楽しかったり悲しかったり
面白かったり盛り上がった気になり…
最後は記憶を飛ばす
結局、涙酒

まとわりついた
全身を包む雑音と気だるさ
を振りほどくべく漂いながら
隠れ家へと続く地下へ階段を降りる

煙草の香りと静寂
カウンターから伸びる淡い光が命のよう

グラスに浮かぶ光が
それまでの雑音を揺らぎながら
忘れさせてくれる

眩しさの中なら命を削って絞りだす
サッチモの渇いた音色が
重々しく心に響いた


hanaco-sake
ふつふつと春を待つ蕾のように
それは心の水面下に漂う
忙がしさに邪魔されながらも
季節を巡り日に日に成長する

ちょっとしたきっかけがあればいい
スキニーな気持ちに足下がぼやける

苛立ちより先に体が反応する
それまで水面下で増殖し続けたそれが
一気に雪崩れ込み
ハンドルを握らせ突き動かせられた

そうそれは買い物心hanaco-SHOSE
突然降りだした気まぐれな雨に追われ
軒先へ駆け込む
見上げた空はまだ青く
雨雲さえないが澱んだ空気が漂う

徐々に強くなる雨の匂いに混じるうっすらとした香りに
清々しさを感じる
perfumeでは出せない自然なあたり
どことなく残る懐かしさに広がる青い風

辺りを見渡すがそれらしいものは見当たらない
軒先の脇の四角いコンクリートの上に植えられた
群生する茂みがあるだけ

そっと近寄り顔を近づけてみる
都市の澱んだ空気をかき消すには物足りないが
気持ちを満たすその香りはいたって優しい


hanaco-ROSE
強い陽射しに照らされて
額から流れる汗が馴染みの店に
足を向かわせる

普段より涼しさを増したカウンターから
『暑いですね、冷たいのにします?』の挨拶に
ホットでお願いしますと言ってしまう

暑さに負けたことを認めたくない
天の邪鬼に涼しさを奪われたよう

不思議そうな顔を浮かべた彼女を横目に
ヒンヤリとした椅子に腰掛け涼しさに酔いしれる

『内緒ですよ』と出されたホットラテに
いつもより沢山の笑顔が浮かぶ


hanaco-CAFE
突然の夕立に駆け込んだ軒先で
ショーウインドからエネルギーを感じ
振り返える

「僕に用事ない?」と
小さな白いだるまが
こちらを見つめている

暖簾をくぐり手にしてみると肌触りが心地よい
奇麗な白さと小ささが可愛らしい

夕立のお土産にはしては
洒落気はないが
雨上がりにはちょうどよい


hanaco-DARUMA
通勤途中の雨にあたり
すれ違う人に迷惑にならないように
傘を開こうと歩道から一歩中へ避けた

足を踏み入れたところが
たまたま神社の参道だったので
拝むように一礼する

見上げた軒先の端に
ツバメの巣
いつからあったのかいつつくったのか
円い皿のような形に茶や緑が混じり
いままで見たことのない巣の色

周りを見渡しても姿は見えず
巣立った後なのだと納得し踵を返す

アマツバメ?

珍しい色と草だけでできた巣に
都会では滅多にお目にかかれない
珍しい鳥の羽ばたきに期待が膨らむ

お目にかかれる日を心より望む
ほとほと都会の雑踏が嫌になり
高速を西へ飛ばした

高層ビルと淀んだ空気が後方へ流れ
連なるテールランプが
苛立つ気持ちに拍車をかける

曲がりくねった道を抜けると
真直ぐに伸びたセンターラインが
空へ続く滑走路のよう

防音壁からさす西日が
ゴールドの世界へ誘う
照らされた暖かみが体を包み込み
穏やかな時間へと変ってゆく

眩しさの先に現れた富士が
それまでの苛立を
うそのように飲み込んでくれる

カーステレオから流れる
Golden Slumbersを口ずさみ
ウインカーレバーを下げた

少しだけ味わえた黄金のまどろみに
君を想う

Golden Slumbers…
かのビートルズが1969年に発表したアルバム
『アビイ・ロード』に収録された
ポール・マッカートニー作の曲であることはあまりにも有名



$hanaco-FUJI