こんにちは!親子問題カウンセラー 竹島雅美です。
きょうのお題は「子どもを苦しめるダブルバインドとは」です。

ダブルバインドという言葉は、心理学の世界ではよく聞くことばです。

日本語にすると、二重の拘束、ということになります。
どういうことか、私の例でご説明いたします。


私は子どもの頃、ピアノを習っていました。
初めは自分からやりたいと思って、始めたことでした。

習い事を始めると、ともすれば親のほうが過剰に期待したり、投資した分元を取ろうとします。

やがて母親は、中学から音大付属の学校に入れようと画策し、私も受験に乗り気で合格しました。

しかし中学2年生の後半くらいから、普通高校で違うことを勉強したいと思うようになりました。でも、母親はそれを却下。

大学進学のときに、再度ふつうの大学に行きたいと言って、ごねました。すると母親は、「音大か、家事手伝いか、どちらかを選べ」と脅してきました。私は仕方なく、音大を受験し、卒業しました。

あとから私が、音大進学は希望していなかったのに、と母親に言ったところ、「あんたは音大に行くと自分で決めたのよ」。


ダブルバインドのみごとな例ですね。

1. 大学は星の数ほどあるのに、音大か家事手伝い、の二択を迫った (第一の拘束)
2. 希望しない二択からの選択を、私の自己責任だとかたずける (第二の拘束)

自分の意図する選択肢しか与えず、あたかも子どもに選ばせているかのように見せかける、卑怯な手法といってもいい。

これをされた私がどういう気持ちになったか。

母親へのこれまでの鬱屈した思いが、憎しみとなった瞬間でした。 
高校、大学というのは、学びの最終段階ですからね、二度とこの時間は戻らない。
そこを好き勝手にコントロールし、自己責任だろと白を切る。

この憎しみは、その先何十年も続くことになりました。

私とまったく同じような経験をした女性の記事を読んだことがあります。

母親のいうまま音大進学まで私と同じでしたが、その後就職しても人間関係がうまくいかず、けっきょく引きこもりになりました。
そして、「おまえのせいだ」と母親に怒鳴り散らす毎日を送っているとのことでした。

私は憎しみをバネにして、自立することができました。しかし、自分の人生を生きられず破滅してしまう人もいるのです。

満たされないまま親になると、無意識ですが自分の子どもに対して寛容さがなくなります。

それは、子どもさんの様子にも反映してくるのです。