Person centeredの意味 | hanaco今度はAUSナースになる

hanaco今度はAUSナースになる

ナース(日本)→フローリスト(UK)→ナース(オーストラリア)
紆余曲折の末、2018年9月よりQLDの田舎町でナースになり2022年10月からNSWシドニーへ。
ナースになる過程や仕事に関すること以外にもグルメや旅行も好きなので、そんなことも書いてます。

実習が終わってもまだ悩んでいる
ことがありまして、
ある患者さんのことです。


前回の日記でも書きましたが、
とても良くしてくれた女性患者さん
の1人で60歳。
私が実習1週目で入院してきて
3週目に一旦リハビリ病院に転院
したのですが、
悪化して4週目の最後に戻って
きました。


彼女は大腸癌に始まり肝臓や
あちこちに転移している、
いわゆるターミナルの方で、
入院の2週間前には化学療法を
やっていたそうです。


本来ならうちにいるべき人では
なかったのですが、
急激に左脚に痛みを感じ受診した
ところ糖尿病性の壊疽もあり、
左脚の膝下から切断となり
入院してきました。


リカバリーから直接うちに入院した
んだったか忘れましたが、
私が担当した時はまだ切断した事実
を受け入れられていなくて
足を見る勇気がないと泣いていました。


そのうちに徐々に慣れてきて
リハビリも開始して、
同室患者さんたちとも楽しそうに
過ごしていました。


私が将来的には緩和ケアとかで
働きたいなーと話したら、
最期を迎えることの考え方を
2人で良く話したりしていました。


「私はdignity(尊厳)を持って死にたい」


私も個人的に緩和ケアのポリシー
に賛成しているし、
何ならいずれ尊厳死だって認めて
欲しいと思っている人間なので、
彼女の考えを聞くのは本当に勉強
になりました。


さて、患者さんの希望はシドニーに
住む娘さんから近いリハビリ病院に
転院することでしたが、
なかなかベッドが空かないのか
仕方なくウロンゴンから近い
規模の小さなリハビリ病院へ
転院して待つことになりました。


それまでアンプタ部位も感染もなく
綺麗になってきていたし、
痛みもコントロールついてきていた
ので心配はしていませんでした。


しかし2度目に会った時は、
彼女自体は元気ではありましたが
傷を見たらビックリ!
真っ黒に壊疽化していましたガーン


うわーこれは結構すごいぞガーン


デブリする為に戻ってきたのかと
思いきや、
また本人が医師と話した後に泣いて
いて聞いてみたら、
膝上からの切断になるかもしれない
と言われたとのこと。


結局一度はデブリ目的でオペ室に
入ったのですが、
開けてみてもデブリどころの話では
ないと判断され中止になりました。


それでも本人は膝上アンプタの
決断がつかず数日待つことに。


その間、創部を放置するわけにも
いかないので見てみましたが、
もう衝撃的DASH!


なんて表現すれば良いのか
分かりませんが、
切断して何にも縫わずにオープン
なのですが、
骨とかも全部真っ黒で、
まるで腐った木の折れた部分みたい。


なんでこんなことに…チーン


さすがにこれじゃあ切らなきゃ
どうしようもないわなーと、
私もついに納得しました。


そして彼女も踏ん切りがついて
膝上切断になりました。


その後は痛みが強すぎて
バンバン鎮痛剤を要求し、
痛くて動けずADLも低下。
私の最後の日にも鬱状態で
泣いてばかり。


「私、死ぬのよ?これ以上切るかも
   って言われて、これ以上はもう
   無理だって言ったの。
   これ以上切ったら私は本当に
   動けなくなる。
   こんな所で死にたくない。   
   娘の近くで死にたいの。」


って泣くんですタラー


私もかわいそう過ぎて別のナースに
相談してみましたが、
シドニーの病院の緩和ケアに移れる
可能性はないって言われました。


それが何でかは分かりません。


もちろん感染して敗血症になり
死期を早めてしまうかもしれない。
そのリスクも踏まえて本人と
話し合わなきゃいけないんじゃ
ないの??


本人は娘さんの自宅で訪問看護を
受けてもいいって言ってるのに、
なんで移らせてあげられないのか?


そもそも初めからどうして
切ってしまったのか?
糖尿病だしターミナルだし
ケモもやってて循環が良くないのは
分かっていて、
でも生命に関わるから切ったんだ
よね、きっと?


学校の講義でもしつこいくらい
「Person centered」だの
「患者さんの決定権」だのと
習いましたが、
全くできてないじゃんもやもやもやもやもやもや


本人が誰が担当医で誰が執刀医かも
分かっていなくて、
シドニーの娘さんが状況が分からず
誰と話をしたら良いのか、
なんて学生の私に聞いてくる始末。


医師がベッドサイドに来るのは
朝の大勢でのラウンドだけ。


本人の話なんて聞こうとせず、
傷をどうするかってチームで
話して帰っていく。


私は実習最後の日に彼女がまだ
痛みに苦しんで、
不安に苛まれて、
自分の希望が通らない状況で
苦しんでいたのを忘れられません。


9月に娘さんの結婚式があるそうで、
どんな形でも出席したいって
話していました。


すっごく難しいと思うけど、
実現できたら良いな流れ星