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さて、今日は久々にご相談事例のお話です。
2年ほど前、まだ無料相談で活動していたときに、『息子が、お稲荷様に祟られているといわれている。一度みてほしい』という内容で、高速を飛ばして私の住む街までお越しになった親子がいらっしゃいました。
息子のA君は中学1年生。
同伴されたのは、母のB美さん。
カフェの一角で「こんにちは」と挨拶を交わしますが、A君は私をじろりと一瞥しただけで、あとは、ムスッとした表情でテーブルに視線を落としたままでした
中学1年とのことですが、少し大人びた面立ちで両耳には小さなピアス。
こちらを向かないものの、私に思い切り敵対心を放っているのがビシビシ伝わってきました
このA君。
一目見たときから、少し不思議な感覚がします。
彼を見ていると、なぜか、ずーっと私の頭の中にも、いろんな数字がグルグルと螺旋を描くように渦巻いている映像が浮かびます
しかし、おかあさんのB美さんに視線を移すと、その映像がピタリと消えます
(なんかプログラマーみたいやなぁ。A君のこの独特の感覚は、もしかしてギフテッドかな)
私のところには、スピ系でいうスターシードのような特殊な事情を抱えている小学生~高校生の子ども達もよくやって来ます。
そのスターシード系とはまた違う感覚ですが、独特の数字の動き方や本人の様子から、ギフテッドかもしれないという予感がありました。
まず、私からA君に声をかけます。
「A君、間違ってたらごめん。もしかしてやけど、A君っていつも頭の中に数字がグルグル回ってたりする?」
そう聞くと、A君が少し驚いたような表情をして顔を上げ、私をじっと見ました。
B美ママも、表情を強ばらせてA君と私を交互にみます。
しばらくの沈黙のあとで、A君が鋭い目付きで睨みながらも「……数字が回ってたら、アンタも祟りがどうこうって言うのか」と答えてくれました。
「いや、パッと見た感じで祟りもないけどね。それよりも、それだけの膨大な数字が頭の中で転回していても平然としてるから、ギフテッドみたいな特性があるのかなぁと思って聞いただけ」
「ギフテッド……?」
A君も、B美ママも不思議そうな顔でこちらをみます。
そして、B美ママが口を開きました。
「実は、Aは小さいときから人の話をほとんど聞かなくて……。保育園の頃から、ブツブツと誰にも分からないような数式みたいなものを口走ったりもするんです。それで同学年の子とも上手く関われなくて、精神科でも診てもらったんですけど」
「自閉症やADHDの診断は出ましたか?」
「いえ。その可能性はあるといえばあるだろう……ぐらいの曖昧なお返事しか、(主治医の)先生からは頂けなくて。個性的な子ですね、で片付けられてしまったんです」
「そうだったんですね」
ギフテッドというのは、ある分野において突出した才能や高い知能を持つ人のことです。
診断する医師・組織によっては、ギフテッドも大きくみてADHD・自閉症のような発達障害に分類されるとの見解をもつ方もいらっしゃいますが、
私自身はADHD・自閉症とギフテッドには不等な点もあると考えて、分けてみています
「ところで、知能検査で数値が高いとかはいわれたりしませんでしたか?」
「あ、それはあります」
「私のみている感じでは、A君はギフテッドの特徴があるような気がします」
そこから、ギフテッドについて簡単に説明しました。
「ギフテッドかどうかの診断をしてくれる機関もありますので、A君とB美さんが必要だと思われましたら伺われてみてください」
「そのギフテッド……は、投薬(治療)とか必要ですか?」
「いえ。本人がのびのびと、自分の能力を活かせる場を見出してあげることが大事かなと私は思います。病気ではないので」
そう伝える間、A君がじっと私を見ています。
「A君。A君にとって、その数字はもしかして言葉(=言語)と同じ感覚じゃないかな? 私が話すときと、お母さんが話すときでは頭の中の数字の動き方が少し違う気がする」
「話す言葉……を、数字にして聞いてる。文字の響きとか、(話す人の)声の高さとか、間の取り方とか」
「ほう。それって、どういう感じなの?」
「誰かの出す言葉が、そのままじゃ理解出来ない……気がする。だから、数列に直してから言葉として聞く」
おそらく、彼にしか分からない感覚
B美ママも初めて聞く話のようで、「え? そうなの?」と困惑した表情でした
「数列にした方が理解しやすいってことは、A君は数学は得意なん?」
「高校生の(数学の問題)も解ける」
「えー、めっちゃすごい! 私は数学アカンから、羨ましい」
A君の瞳から、鋭さが少しずつ和らいでいました。
威嚇も緊張も、ゆっくりと、とけ始めている。
それでも、彼はまだ私には大きな壁を作ったままです。
この壁を越えていかねば、A君には私の言葉は届かない気がしました
「A君は、それだけ頭の中で毎瞬、何千個もの数字がグルグルしていても疲れない?」
小さく頷くA君。
「みんなも、同じかと思ってた」
「言葉を数列に置き換えて理解することが?」
「ん。でも、誰も……(同じことをする人は)いない」
「そうやね。私も、相手の心の中が分かるけど、これも同じようにする人は近くにはいなかったよ。大多数の人とは違うけれど、A君は、言葉をその数列に置き換えることをしないと不安なんだよね」
「ん……」
「じゃあ、それはそれで良いじゃん」
「良い……のか?」
「まったく問題なし。でもね、A君のそばにいる人達には、そういう特性があるってことを知っていてもらおうよ。お母さんも、きっと理解してくれるよ」
「それは、もちろん!」
B美ママが、両手で拳を作って力強く頷きます(*´ω`*)
「周りに、そのことを理解してくれる人がいるなら大丈夫。そして、そのA君の能力を無理に押し隠そうとしたりしなくていい。A君は、周りの人に合わせようと何度も、言葉だけを聞けるように頑張ったこともあったね」
「……あった」
「でも、それじゃ不安だったね。A君には、言葉を数列に直すひと手間が必要なんだね」
「ん」
「それは、A君の大きな強みだよ。大事にしても良いものだよ。その感性があるからこそ、新しい発明が出来る気がするよ」
そう伝えると、A君が初めてふっと目元を和らげました
人とは違う特性を持つ子達は、生きづらさを感じるものの、それがどんな風に苦しいのか、また、どんなことに困っているのか、どんなときに心細さが強くなるのか……などを言葉にして表現することが難しかったりします。
なので、本人がどんな想いを抱えてるのかをできるだけ明瞭に言語化して代弁し、本人や親御さんと一緒に確認し合うお手伝いをしていきます
「オレは人と違う。みんなと合わない……合わせられない。だから、学校も不登校。小学校からずっと」
「そうなんだね。学校には行けないのか、行かないのか?」
「行かない」
「うん、はっきりしてるね。B美さんは、学校に行っていないことについて何か思うところはあります?」
「行かない、って本人がはっきり言ったのは今が初めてで……。理由を聞いても何も言わなかったんです。だから、私はずっと、人付き合いが苦手で行けないのかと思っていて」
「A君自身は一生懸命にみんなの輪に入ろうとしてました。だよね、A君?」
「ん」
「でも、周りの子のほうが(A君を)上手く受け入れられなくて。きっと、A君は周りの子達を困らせないようにと自分から人付き合いも絶ってるんじゃないかな。あとは、人と自分が違うっていう現状を見せつけられるのも辛いから、人から離れて1人で過ごしてる部分もある……かな」
まじまじと私の顔を見ていたA君に、唐突に「キモっ」と言われました
「なにが、キモイん?」
「なんで、そこまで分かる?」
「A君が私に対して心を開いてくれてるから♡」
「キモッ!」←声出して笑ってました
「ひひひひっ」←私も爆笑
「まあ、A君が自分で決めて学校に行ってないならそれで良いんだ。でも、卒業するために必要な学習とか……そこらはまた学校の担任の先生達とも話し合いをしていかないとね」
「めんどっ(くさい)」
「いや、頑張んなさいよ」
けらけら笑うA君と、ビックリして目を見開いているB美ママ。
「Aが声出して笑うの……保育園以来です」
「あら、久々に出たのかその笑顔は。笑うとイケメンっぷりが上がるねぇ」
「うるせっ」←まだ笑ってる
「それで、A君はさ、今は何を1番学びたい? 学校には行かなくても学びたいことはあるんじゃない?」
「ゲームとか、ロボットとか作りたい」
「へえ! じゃあ、プログラミングっていうか……そういうのを学べる教室とか大人の講師とかを探して、いっぱい学ぼうよ」
「オレ、学校行ってないけど……」
「学ぶ場所は必ずしも学校じゃなくていい。A君が安心して学べる環境を見つけたらいいよ。大事なのは学校に行くことじゃなくて、A君が落ち着ける場所でしっかり学びを深めていくことだと、私は思うよ」
スターシードやギフテッドなどの特性を持つ子ども達は、学校という環境に馴染めずに不登校になることもあります。
だけど、学校に行けないから、勉強する気がないわけでない。
学びたい意欲はしっかりと湧いているけれど、その意欲を向ける先が見当たらずにモヤモヤとした状態で過ごしています。
その膨れ上がったモヤモヤを持て余し、いつしか自分をひどく責めてしまって自己肯定感が著しく低くなっていったりすることも。
だから、本人に登校に対しての意志(行けない・行かない)をまず確認して、それぞれの希望に沿った提案をして、親御さんも混じえてみんなで解決案を考えていく。
そして、ギフテッドの子は大人びた言動をしますが、まだ大人ではない。
突出した才能や高い知能があろうとも、情緒は年相応です。
鋭敏な感性のせいで上手く甘えられない子もいるので、子ども達一人ひとりがどんなふうに関われば素直に甘えられるかも見極めていく。
A君は、こちらがちょっと冗談を交えると、素直に等身大の彼の姿を見せてくれていました
そこから学習や生活環境について少し話をしたあとで、いよいよ本題(今から!?)に入ります
「あ、そういえばA君がお稲荷様に祟られてるかも……っていうのは、どういうお話だったんでしょう?」
「それが、この子が人と上手く関われないのも、変な数式を口走るのも全部お稲荷様が祟ってるからだって、義母が霊能者に言われたんです。それで私もその霊能者のところに義母と行ったら同じように言われちゃって。お稲荷様を退治する用のお神酒とお塩を持ってるから5万で譲ってあげるって」
「退治!!!?( ゚∀゚)・∵ブハッ」
思わぬ言葉に、吹き出して笑ってしまいました
「はな、何で笑ってんの?」
「いや、ごめん。だって、お稲荷様は祟ってるっていうんだよね? それなら、まず祟りを鎮めるために、祟ってるお稲荷様のいる神社でご祈祷を受けるなりして謝罪するのが普通じゃない? なんで、真っ先に神様を退治する思考になるの!?と思って」
話の筋が通らなすぎて、呆れを通り越して笑いが込み上げてきます。
「しかも、塩とお神酒で退治って……ナメクジか!! っていうか、5万の塩とお酒って、どこの(名産品)!? なんでもテキトーに言い過ぎ!」
私がカラカラと笑っていると、A君とB美ママもつられて笑いだしました
ひとしきり笑って、A君を見ながら尋ねます。
「ところで、A君って神社よく行く? あんまり興味無いんじゃない?」
「じんじゃ??」
キョトンとするA君の脇腹を肘で小突きながら、B美ママが「ほら、お正月の初詣に行くところ」と伝えます。
「あ、ベビーカステラ食べるとこか!」
「ベビーカステラって、ちょっとアンタ!!」
「神社って、ベビーカステラ食べる前にお参りするとこですけどー!」
A君の発言に大爆笑するB美ママと私
どうやら、A君は神社参拝にそこまで思い入れはないようでした
そして、お二人のご自宅周辺の状況にも少しだけ意識を飛ばしてみます。
「ちょっと視てみたんですけど、そもそもご自宅の周辺に稲荷神社自体がないです……よね? 牛がみえるので、おそらく天満宮か水天宮などはあるかもしれませんが」
「えっ……」
「はな、何でそんなん分かるん?」
「確実かどうかは分からんよ。だから、こうしてお2人に聞きながら情景をみてるの。多分だけど……ご自宅から一番近い稲荷神社でも、バスとか電車に乗って行かないといけないんじゃないかな」
「そうです、うちから車で30分ほど走ったところに最寄りの稲荷神社があります。小さいお稲荷様なんですけど」
「その稲荷神社にA君は行ったことある?」
「あるわけねー」
「だよねー。じゃあ、A君に祟るお稲荷様はまずいないです」
「え? そうなの?」
B美ママが、半信半疑の表情で尋ねます。
「はい。たとえば、ご自宅の近くにある氏神神社や、A君の産土神社がお稲荷様であるならば、A君のことを知っているお稲荷様はいますが。……おそらく、A君の産土様は女の神様じゃないかな?水に関係するような」
(後日、確認してもらったらA君の産土神社と思われる神社の御祭神は豊玉姫という海神系の姫神様でした)
不思議そうな顔のお2人に、私の考えを伝えていきます。
「まず、祟られるという状況になるには、そのお稲荷様が祀られている神社や祠に故意的に何らかの悪事を働いたということが必須条件になります。でも、それがないのであれば、お稲荷様のほうも祟る必要は全くないですよね?」
「ああ、たしかに」
「あと、産土神社や氏神神社以外の神様って、自分の神社に実際にやって来た人の子しか基本的には知らないんです」
「え?」
「想像して欲しいのですが、B美さんに大好きなアイドルがいたとしますよね」
「? ええ」
「B美さんは、そのアイドルのことを知っています。でも、そのアイドルはB美さんというファンの存在は知らないんです。たとえば、B美さんとアイドル本人が身内や親戚・親しい友人知人という間柄であれば面識はもちろんあるでしょうけど。でも、赤の他人であれば、B美さんの方からファンレターを出すとか、現代だとSNSで熱心にアプローチするとか、ライブで最前列に並ぶとかしてアイドルの目に映ったり印象に強く残るようなことをしなければ気付かれないままです 」
「あっ!」
「なるほど」
「それは、ご神仏との間でも同じです。過去世で関わりがあったとか、氏子だとか、産土として守っているとか……そういう関わりが一切ない人の子であれば、ご神仏の場合は、実際にその神社仏閣に足を運ぶことがなければ知らないままである……というか関与しないことがほとんどです。そして、関与してない人の子に対して理由もなく一方的に祟りを与えるというのも、ご神仏は絶対にしないです」
2人の顔に、ほっと安堵の色が浮かんでいました。
「つまり、A君を祟るお稲荷さんはこの世に存在してないんです。なので、その点については不安になる必要はまったくないです」
「はなの説明、なかなかロジカルやな」
「だって、その状況の実態が見えないと不安ばっかり大きくなってしまうじゃん。その不安があるせいで、判断が歪んでしまって変な詐欺とかに引っ掛かりやすくなる。だから、冷静に理解してもらえるように論理的に解明していくよ」
「ふうん」
「A君さ、最初に私と会った時ずっと警戒してたよね? 私も、その霊能者みたいに祟りがうんぬんって言って、お母さんをまた不安にさせたりしないか――そんなことを警戒して、ずっと睨んでたんじゃない?」
「うわ、キモっ!」
「キモくて結構。A君って、お母さんが本当に大事なんやね。めっちゃ優しいやん」
「うるせーな」←顔真っ赤
「ひひひっ」
私自身も、変な宗教団体の勧誘で「足が不自由なのはご先祖の祟り~」だの「ご神仏の祟り~」だの言われることがあります。
そんなときは、心の中で
「うるせえな。ぶっ飛ばすぞ。外野は黙っとけ」と静かにキレます♡
(実際に、「アホ抜かせ」と低い声出ちゃったこともあります)
ご相談を受けていると「他の霊能者に、"○○(ご先祖、悪霊、ご神仏など)に祟られてるから✕✕を買いなさい"としつこく言われて困ってる」……という詐欺まがいの案件も少なからずあります
祟り、というものは実際に体感では分からないことのほうが多くあります。
また、祟られていることが視覚化されてみえることもありません。
だからこそ、不安が不安を呼んで、心が小さなパニックを起こして、正常な判断が出来ない状態に陥ったりもします。
ただ、祟りという事象はそう易々と起こるものではないのです。
もし、「祟られてる」や「バチが当たってる」と誰かに言われたときには、
「え? それって本当?」
と、冷静に考える余裕を少しでも持っていてください。
たとえば、「祟られている」といわれたならば、
「どこのご神仏・いつの時代のご先祖さまが(祟ってるの)?」
「(祟られるほど)自分が何をしたの?」
と自問自答する。
(もしくは、可能ならば相手に聞き返す)
ご神仏や神霊・先祖霊と通じ合っている宗教(団体も含む)関係者や霊能者は易々と「祟り」という(微妙なニュアンスも含めた)表現を使いません
ましてや、その祟りを解消するために物品を購入させる・寄付をさせる……というのは明らかに趣旨が逸脱してしまっています
こうした詐欺犯罪に巻き込まれないように、何より自衛が大切になってきます。
自衛するためには、一旦、冷静になって自問自答する。
湧き上がる不安は一旦、脇にどけて、まずは冷静に自問自答してみる。
これだけでも、心の片隅に留め置いて頂けましたら幸いです
さて、A君との話に戻って――
彼は、この半年後にも、またB美ママと一緒にご相談にみえました。
そのときに、「はなが神社行ってるって言うから、オレも行ってみた」と嬉しい報告をくれたり
学校の先生達も交えて話し合いをして、学校には行かずに中学在学中はフリースクールに在籍して、コンピュータなどの勉強をしているそうです
来年、卒業したあとは企業に就職するようで、その準備も着々と進めているとのこと
B美ママが
「あれ(1回目の面談)以来、Aは日々イキイキしています。毎日、本当に楽しそうで」
と仰っていて、本当に良かったなと私も思いました。
ちょーーーっと生意気で「クソババア」とか言われることもあるんですが、
そんなときは「おクソガキ♡」と言い返したり(*´艸`*)
彼なりに、親以外の大人(ババア)にも素直に甘えられるようになってきております
心細い想いを抱える子ども達が、本来の笑顔を素直に出して過ごしてくれることが、クソババアの生きがいにも繋がっていきます
それでは、今日も長々と綴ってしまいましたが、ここまでご覧になってくださって本当にありがとうございます
爽やかな緑の匂いと、きらきらの陽射しが目に眩しい季節になってきました
みなさまも、お身体ご自愛なさって日々健やかにお過ごしくださいませ
明日も笑顔溢れる一日でありますように~!ヽ(*'▽'*)ノ
そして、今夜もゆっくり休めますように