3、吉備津神社




ようやく辿り着いた、吉備を巡る最後の場所。

温羅族の王様の伝言も無事に伝えられたので、肩の荷もおりてワクワク全開で参道に向かいます口笛


――と、拝殿に向かう階段に差し掛かったとき、頭上から『よう参られた』と凛とした女性の声がしました。

見上げると、階段最上の左側に30代前後のほっそりした体躯の女性と、彼女の足元からそっと身を出すようしてこちらを見ている7歳ほどの女の子の姿がびっくり気づき

2人ともに白い麻服に身を包み、赤瑪瑙の玉を2つ、三つ編みのように編み込んだ麻縄に通したお揃いの首飾りをしています。
そして、小柄だけれど、肌は日に焼けていました。

女性のほうは、この記事の冒頭に貼ったイラストに近い髪型で、顔面に赤色のS状のような線が2本(左右に)塗られていました。



↑ 女の子は、このイラストに近い雰囲気や姿。
顔に赤い線はありません。

この2人に、私は見覚えがありました。
ちょうど四国旅の予定が決まった5月半ば頃から、たまに夢に出てくる2人にそっくりだったのですキョロキョロ

(あれ?  夢の中で見てた人達だ)

階段を上り、その2人と並ぶようにしてご本殿でご挨拶しようとすると、ご本殿内には20代半ばほどの長身の青年が1人立っていました。

こちらも麻服に身を包み、日に焼けた肌で、人懐こそうな柔らかい表情をしていました。

ようこそ、いらっしゃいました

しかも、言葉遣いがとっても丁寧おねがいキラキラ
はい、好感度爆上がりアップ←いらんこと言う笑い泣き

このたびは、ご縁を繋いでくださりありがとうございます。ええと、あなたも吉備津彦さま……ですか?
はい。名はトゥラと(いいます)

え?  本名?を教えてくれた?キョロキョロ?

そして、彼女がわたしのオウマ(オーマ)です
おーま?びっくり
現代(いま)の人の子に分かるように言うと、母親です
へえ

そうして名を呼ばれた女性のほうを見遣ると、彼女がにっこりと笑ってくれました。
凛とした気品のある御方ですが、笑うとえくぼが出来て、愛らしい感じもしますニコニコ

ええと、あなたのお名前をお聞きしても宜しいですか?
そなたの知る名では、阿曽媛(あそひめ)だと分かりやすいか
あそひめ……って、温羅族の王様の奥様の!?驚き!?

ビックリし過ぎて(心の中で)叫ぶと、女性がカラカラと声を出して笑いました。

此度は、よくぞあの人の願いを果たしてくれた。あの人とともに、我も礼を言う
あの人って、温羅族の王様ですか?
そなたに少し話をしよう

そうして教えてくれた(一部は映像をみせてくれた)情報が以下のものです↓↓↓

温羅族(と私が呼んでいた一族)は、渡来の民族だった。


温羅族は、最初は数十人の小さな団体で吉備の地にやってきた。


※初老の王が一人、神官が一人、そして王の末子が2人(双子らしく、ともに3歳ほど)、あとは家臣10数名と、王が治めていた土地の民達。

※私が鬼ノ城で会った神官さんは、このときの初代の神官さんだったそうですびっくり

※温羅族は製鉄や河川技術、穀物の広範囲での栽培技術、気象予報・占卜・造船や航海技術など多岐にわたる知識と能力を持っていた。
→ここは秦氏の特徴と似ている?

※温羅族と吉備の人々は最初こそ相容れなかったが、温羅族の温和な人柄が次第に吉備の人々にも受け入れられ、数年の歳月をかけて共存するようになった。
→共存はしていましたが、それぞれに統治者(=王族)がおり、独立したクニとして存在していた。

温羅族は独自の信仰を持っており、現在の鬼ノ城付近は、彼らにとっての祭祀場所だった。


吉備の人達は、(おそらく縄文の頃から)長きにわたって山の上にある3つの巨岩を土地神(男神・姫神・御子神の親子神)として祀り、信仰していた(=磐座信仰)。


現在、吉備津神社がある場所は、古代には祭祀場(山上の巨岩を遥拝するための里宮のような場所)だった。


※温羅族と吉備の人々は、それぞれに信仰するものが違ったそうですキョロキョロ
しかし、信仰の違いで争うこともなく、それぞれの信仰を大切に出来ていた。

やがて製鉄と豊富な水源、大勢の民人が豊かに暮らす【吉備国】が、大和朝廷から狙われだした。

※最初の朝廷側からの襲撃は、(温羅族のなかで)最初に吉備にやってきた王から数えて3代目の王が統治していた頃。


※この後、数年にわたり何度か大々的に襲われたものの、温羅族が頑強な武器を作り、吉備国の勇猛な兵士たちが戦線に出て、都度、朝廷軍を追い返していた。
しかし、度重なる攻撃で、次第に吉備国の兵士達の戦力も疲弊していった。

4代目の温羅族の王が統治していた頃、その皇子である少年(=この人物が、私が鬼ノ城で伝言を預かった本人。名前はオグヌ(オウヌ、オギヌ?)らしい)と、阿曽の王族出身の少女が婚姻を結んだ。


※この少女が、吉備津神社で私に色々と教えてくれた阿曽媛で名前はオレア(オエア?)さん。

オグヌオレアの間には、4人の子が出来た。男子が3人と、少し歳が離れて女の子が1人。


※私とオレアさんが話しているときに、彼女の足元にピッタリくっついていた7歳ほどの女の子がその末子で、名前はアギ(アィキ?)ちゃん

※オレアさん(=阿曽媛)にとっては、子が生まれてからしばらくは平穏で幸せな日々が続いたそうです。

ところが……

末子のアギちゃんが4歳になった頃、再び、朝廷軍が吉備国を狙って大々的に攻め込んできた。

※このとき、朝廷軍のトップには皇族の3人(即位する前の孝元天皇(第8代)とその兄弟)がいたそうです。

※度重なる争いで吉備国の兵士達は疲弊したままなので、今度は温羅族も4代目の王様を筆頭に兵士を募って戦線に出たそうです。

やがて、温羅族の王が討たれました。

そこで、温羅族の若皇子であるオグヌと、彼の3人の息子達(まだ未成年だった)も戦場に出ることに。

そのまま、4人ともに戦死。

※このとき、温羅族に伝わる信仰の言い伝え(天空の女神と大地の王は再び、彼の地で出逢う……という内容のもの)に則って、オグヌ皇子の遺骸だけは兵士達によって温羅族の祭祀場である鬼ノ城付近に運ばれたそうです。
→神官達が(オグヌの)復活を祈ったとのこと。

このとき、オレアさんアギちゃんも負傷兵の手当て要員として鬼ノ城にいたそうです。

温羅族は王家が滅亡の危機に至り、
吉備国は最後の抵抗をみせて王族総出で朝廷軍との争いに挑んだ。

その結果、朝廷側の皇族が一人戦死。
もう1人はクニ(=大和?)に帰還。←孝元天皇
残る1人が、指揮をとって争いを続けていました。

この残る一人が、吉備津彦神社に祀られている1代目の吉備津彦だそうです。

※温羅と吉備国のそれぞれの王家の流れを引く立場にあったオレアさんは、女性でしたが、朝廷軍に向けて一旦の停戦と話し合いの場を設けるように打診したそうです。
そして、朝廷軍も同意し、早い段階で談話が実現。

その話し合いの場では、終戦協定が結ばれました。

けれども、決して平和的な解決ではありませんでした。

すべての吉備国民・温羅民族(=蛮族とされた)が朝廷へ従属。


※従属の証として、オレアさんは朝廷軍の長であった吉備津彦と強制的に婚姻。

古代、地方豪族が大和朝廷と争って敗れ従属化する際に、その豪族の王(長)は殺害され、王の妃・皇女は朝廷側の人間に娶られて子をなすか、自害・殺害のどちらかを選ぶという悲惨な状態になることもありました。

オレアさんは、生きて、自分の目で吉備国と温羅族の民達が安全に過ごせるかを見ていたかったそうです。
そのために、吉備津彦に嫁ぐことに決めました。
この時点で、アギちゃんは6歳。
オレアさんは、やがて吉備津彦の子を身篭りました。→この御子が、トゥラさん

しかし、従属化の証はこれだけでは済まなかったそうです。

最後まで朝廷軍に抵抗した吉備国・温羅族の王族男子・兵士数人は殺害。

彼らの首は、現在の鯉喰神社付近に。
この辺りの土地は、元々は"こうべ場"?と呼ばれていたそうです。
(※私が霊視で聞いた話なので、ご由緒とはまったく違います注意)

そして、彼らの胴体は現在の吉備津神社の御竈殿の付近に埋められたそうです。
(※私は以前の記事で御釜の下に遺骸が埋められていると書いていましたが、オレアさんの話では正確には現在の御竈殿の建物の下付近だそうです)

吉備津神社が建つ場所は、もともとは吉備国の祭祀場(里宮)でした。
その神聖な場に、複数の遺骸を埋める。
すなわち、死の穢れを纏わせて聖地としての働きを失わせる、という目的が朝廷側にはあったそうです。
敗れた豪族が祀る土地神の神威を落とし、朝廷側が祀る神とすり替える。

ところが、兵士や王族達の死骸を埋めて間もない頃に、謎の病気が吉備国に残っていた朝廷軍の残党の間で蔓延したそうで、

これを吉備国の者らの怨霊の仕業だと捉えた朝廷側が、吉備津神社の存続を許し、吉備国の民達に怨霊慰撫をさせ続けることにしたそうです。

※この謎の病について、オレアさんは『無知な朝廷軍が、(吉備の)土地を漁る過程で産業廃棄物として出ていた毒(おそらく水銀?)などに触れたせいだ』と仰っていましたガーン
吉備の者らは、その危険性を重々承知していたのでその(産廃の)捨て場付近の土・水は決して触らなかった』そうですキョロキョロ

そして、オレアさんトゥラさん(吉備津神社の御祭神)が生きていた時代には、(現在の)御竈殿などはなく、この場所は原野で、地中に埋めた吉備国・温羅族の人間の怨霊が地上に蘇って来ないようにと大きな岩を置いていたそうです。

古来から伝わる石神(しゃくじん)は、【(朝廷によって殺害され)物言わぬ神として祀り上げられた存在】でもあるので、おそらくそのような形で岩が置かれたのだと私は推測します。

そして、当初は、吉備津彦の妃となったオレアさんの出身地である阿曽地域の巫女にこの怨霊慰撫の役目を担わせていたそうで、それが現在では阿曽女(あぞめ・鳴釜神事で神事を手伝う高齢の女性)へと形を変えて繋がっているそうです。

朝廷が温羅という鬼を退治しに来た事実はなく、

朝廷軍が吉備国を奪うために侵略してきた、というのがオレアさんの言い分でした。

朝廷側が【温羅】という鬼を作り上げ、悪さをするので討伐した……という話は、最初は斬られた首が唸る部分などは書かれていなかったそうです。
(単に、悪い鬼がいたので退治した……という部分だけが史書などに残された)

ところが、敗者として従属させられた吉備国・温羅族の末裔達はこれに納得せず、密かに自分達の子孫には正しい歴史を伝えようとした。

時代がくだり、朝廷側も幕府などに変遷するなかで、末裔達は吉備津神社の一角にあった大岩(石神)をどかし、その場所に神事をおこなうための建物を作った。
それが、現在の御竈殿だそうです。

阿曽女や神職以外にも、せめて吉備の地に生きる人達だけでも、この場に御参り出来るようにするためにはどうしたら良いか。
色々と考えた末に、地域の特産品である鉄器を使った神事を考えついたそうです。

鉄器といえば、もともとは吉備国に製鉄技術をもたらしてくれたのは温羅族でした。
温羅族と吉備国の人達が共存していた事実を、公には出来なくても暗喩として表現出来ないか。
その結果が、あの大釜なのだそうです。

さらに、一般の人達が御参りできる開かれた神事ということで、占卜を取り入れたそうです。
占卜についても、温羅族が豊富な知識と技術を持っており、その名残を暗に示しているのかもしれませんキョロキョロ

そして、この大釜を使った神事を編み出したあと、当時の吉備津神社の神職を中心に、吉備国の末裔達によって、現在まで伝わる【吉備津彦による温羅退治】の伝承説話が作られたらしいびっくり
(そのなかで、阿曽媛という存在が国のために尽力したことも暗喩として残している→夢の中での温羅からのお告げの部分)


――話は戻り、吉備津彦との皇子(=トゥラさん)を出産したオレアさん。
しかし、その皇子の誕生と同時期に、まだ7歳だったアギちゃんが病で帰らぬ人になりました。

アギを亡くした当時は、さすがに後を追おうかと思ったものだ。あの人との唯一の子が居なくなって心の支えを失くし、数ヶ月は立ち上がることも出来なくなった。皆の元に行けたらどれだけ楽かと夢想した。……それでも、トゥラを守ってやらなければならない。トゥラを守り育てることが、引いては吉備国や温羅族の民らを守ることにも繋がった。逃げる訳にはいかぬと、弱気になるのを踏みとどまった

と、オレアさんが語ってくれました。
女性としても母親としても、味わった辛苦は計り知れなかっただろうなと思います。


そうした話を聞きながらご本殿で御参りしたあと、

トゥラさん(御祭神)やオレアさん、アギちゃんとともに、御竈殿にも伺いました。


ご本殿から右の脇道を進み、さらに右手に折れた先に御竈殿はありました。





日本各地に古来からある神社には、怨霊を祀るものもいくつもあります。
その怨霊を祀る神社の特徴の1つとして【参道が直線ではない】というものがあります。

これは、怨霊は直進しか出来ないので、わざと参道を左右に折って怨霊が進めない(=境内から外には出られない)作りにしてあるのだそうです。

吉備津神社では、ご本殿はほぼ参道の直線上にありました。
だけど、御竈殿は右に直角に折れていました。

御竈殿の下に怨霊が祀られている……という説も、信じられるものがあるなと思いました。
(※吉備津神社の公式なご由緒には、こうしたことは書かれていません。私個人のスピ考察です滝汗)

御竈殿へと進む頃には、ずっとオレアさんの足元に隠れて顔だけ出してこちらの様子を伺っていたアギちゃんも、私の隣を歩いてくれるまでになっていました。

さらには、動物が好きなのか、白狼のみよし姐さんやサナちゃんにベッタリくっついて甘えたり、子狐のおう君やチビ龍の瑠璃ちゃん達と追いかけっこなどしておりましたニコニコ

なかでも面白かったのが、双子のウサギのほのちゃん&ののちゃんを見て、

ウサギ、まる焼きにしたら美味しいよね?よだれ

と、真顔で聞いてきたことです笑い泣き

ほのちゃん&ののちゃんは、互いに顔を見合わせ、サッと風のような速さで駆けて、白狼のサナちゃんの足元に2匹揃って隠れて顔だけちょこんと出して、驚愕の眼差しでアギちゃんを凝視してました笑

待って、ウサギの丸焼きとかやめてあげて笑い泣き
アッハッハッハッ!』←オレアさん
待て、食うてはならぬ。あのものらは、しっかりと役目を持った眷属たちだ。食う……フッ……ハハハッ』←最後に笑うの我慢出来なくなったトゥラさんニヤニヤ

しかし、

ウサギ、美味しいよねよだれ』←福ちゃん
背中のとこ、お肉つまってるよねほんわか』←聖真くん
でしょ、でしょ!  焦がしたらダメだけど、ウサギは小さいから火加減難しいよねーニコニコ
火の端のとこでじっくり焼くと上手くいくよおやすみ
足先、ちょっと硬いよね不満
わかるーおねだり

童子達は、普通にウサギを丸焼きで食べたことあるらしい笑い泣き
ウサギの丸焼き談義で盛り上がるちびっ子達であった。

こわっ((( ;゚Д゚)))


――そうこうして御竈殿からご本殿の前に戻り、一旦、社務所で御朱印を頂くことに。

待つ間、社務所の後ろにある池で黄色の親子?の鯉を発見お願い




私がキャッキャっはしゃいでいるのを、アギちゃんが冷めた目で見ておりました真顔
はなちゃん、鯉もみたことないの?真顔』とか言われた( *゚∀゚)・∵ブハッ

御朱印を受け取り、御守り売り場を見て、

あっ! そういえば、こちらで御守りを頂くように言われてた!

と思い出して、いそいそと物色。

誕生花が描かれた小さな絵馬型の御守りなど、可愛いらしいものがたくさん。

どれにしようかな~デレデレ

そっち(右側)だよ』←聖真くん
え?  こっち(右側)?キョロキョロ
一番上!』←福ちゃん

言われた通りに右の棚の一番上を見てみると……

あっ! 鬼の鈴!

なんと、日御碕神社で頂いたものと似た鬼の顔の鈴がありましたびっくり!!


こっち(左)から2つ目を持っていってね!  オウマ(母さん)、トゥラ、これで良いんだよね?』←アギちゃん
そうだ。こちらで選んでおいた』←オレアさん
何かあれば、その鈴を鳴らせばこちらに届く』←トゥラさん

ちょっと怖いけど……ありがとうございまーす! 頂いてきますダッシュ

そうして、無事に御守りも頂けました。

帰る前に、オレアさんに「どうして、阿曽媛がこの吉備津神社にいるのか」と聞いたところ、

我の墓がある。誰も参らぬ場所にだが。アギの墓と並んで、この地に眠っている

と、教えてくれました。

オレアさんとアギちゃんは公には祀られていないけれど、神様としてこちらの神社にいらっしゃるのだそうですハート

そして、なぜ1代目の吉備津彦がこの神社に祀られていないのかと聞くと、

朝廷側の人間は誰より怨霊を恐れている。その怨霊が棲まう(とされる)地に祀られたいものなどおらぬだろう

と、オレアさんが伏し目がちに口にされていました。

あ、そういえば、吉備津彦神社の御祭神からお花をお預かりしてるんですけど

聖真くんに目で合図すると、彼が先ほどの紫の花をオレアさんへと差し出しました。

その花をじっと見つめて手に取ると、オレアさんが小さく息を吐きました。

あの者は、昔から何かあれば花なぞ贈ってこちらの機嫌をとろうとする。囚属の妻相手に要らぬことを
このお花、福山(市)にある吉備津神社の御祭神が渡してくださったんです。もとは茎が2つに分かれていて、その片方を吉備津彦神社の御祭神が持たれています
そうか
吉備津彦神社の御祭神は、とても後悔されてるみたいでした
くだらぬことを
あちらの吉備津彦さまは、どうして後悔されてるんでしょうか?

訊ねると、オレアさんはしばらく口を閉ざしました。

やがて、

あの者には、クニ(=大和国)に妻子があったのだ。その妻子の地位を安全なものにするためには、あやつが皇位を継ぐ必要があった。向こう(=朝廷)の人間らは、あやつらに"吉備国を治めたものに次期帝の位を授ける"とそそのかしたらしい。それで、(天皇の皇子が)3人揃ってこちらに攻め入ってきた
え?ガーン
しかし、最初から後継は決まっていたようだ。だからこそ、戦況が不利になる前に一人だけ戻った者がいる。のちのち、(皇子達の間で)不要な(権力)争いを起こされぬようにと(あとの)2人は戦地に残されたのだろう。争いで死のうと、生き残って蛮族を制圧しようと、どちらも誉れとなる。とにかく2人が中央(=クニ、朝廷)にさえ戻って来なければそれで良かったのだ

マジか……(;;)
だから、吉備津彦さまはクニには帰らず、この地に残ったのか。

あれ?  でも、クニには妻子がいたんですよね?  妻子はこちらに来たんですか?
いや、子は向こう(=大和?)で屠られた。妃は属国に売られたか屠られたか。あやつも、そのことは承知しておる
……
哀れにも、クニに帰ることを許されず、妻子も失くし、挙句の果てにこの土地で蛮族の妻を娶らされ、蛮族の長として担ぎ上げられた。あやつにとって、この地こそがまさに囚獄のようなものであっただろう

――わたしは、生きている間に何も守れなかった

あの時の吉備津彦さまの言葉には、もしかしたらそのことも含まれていたのかもしれない。

とてもやるせない気持ちになりましたショボーン

吉備津神社と吉備津彦神社でのみえない世界の部分には、深い溝があるのかもしれない。

これでは、温羅族の皇子(オグヌさん)と吉備津彦神社の御祭神が手を取り合ってこの地を守るなんて無理なんじゃ……

そう考え出した刹那、オレアさんが『ふっ』と笑いましたびっくり

我ら神は、人の子と同じ視座で物事を見てはおらぬよ
え?
(生前に)受け入れ難い思いも数多に味わった。けれども、神として祀られるなかで恨み辛みはすでにない。何より、あの人がずっとこの土地を浄め続けてきた
あの人って、オグヌさんですか?
そうだ。昔も今も、変わらずにこの土地や人々が好きでたまらぬのだ。だからこそ、死してなお、神として公には祀られておらぬのに、あの人は粛々と、過去の争いで無惨に生命を奪われたものらの御魂を拾い上げ、迷わぬように上(=天国)にあげている

ふと、鬼ノ城でつかみ損ねた大きな手を脳裏に思い浮かべてしまいました。
働き者のゴツゴツとした指先。
大きくて力強いあの手で、オグヌさんはずっと吉備国と温羅族の人達の魂をみえない世界で救い続けている。

だから、鬼ノ城もあれだけ穏やかな空間だったのか真顔

あの人は、長く願ってきた。吉備津彦の無念や後悔を晴らしてやりたいと。そして、生きていた頃には相容れなかったが、今ならば手を取り合ってこの地をより強固に守れると。それが、あの人の望み。あの人が望むことは、そのまま我の望みでもある

晴れ渡る空を見上げ、凛とした面差しで語る阿曽媛の言葉は、私の胸にも深く強く響きました。

これからは、皆様方で力を合わせてどうぞこの地をお守りください

これで、吉備での私の任務も終了。

……のはずが!( ̄□ ̄Ⅲ)

此度はまことに世話になった。そして、これからもこの地のためにそなたの力を貸しておくれ
えっ!?  いやいや、私はもうお役御免で……('ω' ;)」
何を言う。此度のことが始まりである
は……(´°ω°`)
そのうち、そなたの元に使いを寄越す。その時には、またこの場で会うことになるだろう。楽しみにしている
えっ?  また岡山まで来るんですか? いや、当分は無理だと思いますけど……
(^_^)ニコッ

阿曽媛の無言の微笑みで、秒で黙らされました😂

これ以上、何があるのか不安不安不安

そうして、オレアさんやトゥラさん、アギちゃんに別れを告げて帰途につくことに。

参道脇の売店に立ち寄ってアイスを買い、屋外の休憩所のベンチで一休みすることに。



きびだんごソフト、美味しそうよだれ飛び出すハート

みよし姐さん、アイス食べてみない?ニコニコ
どれ、一口

水無神社で数千年も仕えていた白狼のみよし姐さん。
初めてのアイスクリーム、いざキラキラ

どう?
あまい、これは砂糖か
そうそう、砂糖と牛乳で出来てる。神饌には甘いものなかったでしょ。姐さんのお口に合いましたかね?にっこり
まあ、悪くない
あら、良かった。福ちゃんと聖真くんも溶けないうちにどうぞー
アイス~♪ニコニコ
つめたい~ほんわか

ワイワイやっていると、ふらっとアギちゃんがやって来ましたびっくり気づき

あれ、アギちゃん。どうしたの。アイス食べる?
あいす?  ……うん、たべるにっこり

軽くアイスの匂いを嗅いだアギちゃん。
見る間に、頬が紅潮して『おいしい!』と大絶賛でしたニコニコ

それで、アギちゃんはまだ何か御用があったの?
あのね、はなちゃんまた来る?
うん。いつになるかは私には分からないけど、機会を頂いたらまた来るよ
ほんとに?

アギちゃんの目尻に涙が浮かびました。

またお話できる?
出来るよ。アギちゃんに会いに来るよ

ポロポロと大粒の涙を零すアギちゃん。

そうか。アギちゃんのお墓がここにあることを誰も知らないから、寂しかったのもあるかな
うんぐすん
じゃあ、ブログにアギちゃんのことも書いてみようか。アギちゃんに会いに来てくれる人、もしかしたら1人ぐらいいるかもしれない
ほんと?
どうなるかは分からないけど、書いてみることは出来るよ
じゃあ、書いて
わかったよ。アギちゃん、何か伝えたいことある?

手のひらで涙を拭いながら、うーん、と小首を捻るアギちゃん。
やがて、『』と小さく叫びました。

誰かの祈りがおのれを生かし、
   おのれの祈りが誰かを生かす。
   その循環は、人と人だけでなく、
   神と人との間にもまた通ずるもの   
   だ。

   これ、書いてもいいよ。
   あのね、アギのオウア(=お父さん・
   温羅族皇子のオグヌさん)のご先祖さ
  まの言葉だって。
  (古代吉備国の)みんなに伝わってた大
  事な言葉だよ

大切なメッセージを伝えてくれたアギちゃん。
うちのご眷属達とも『また会おうねパー』の約束をして、鳳凰さんの付き添いで神社へと帰って行きました。

もし、これから先、吉備津神社にいらしてアギちゃんやオレアさんにも話しかけてみても良いよ!と仰ってくださる方がいましたら、ぜひ心の中で話しかけて差し上げてくださいニコニコ

なにか不思議なことが起こったら、きっとアギちゃんからの『ありがとう』だと思いますウインクハート



今回、福山市の吉備津神社も含めて3箇所を巡ることが出来ました。
そして、みえない世界では3社の間に深い繋がりがありました。

私が見聞きしたことは、妄想の域を出ないものだと思います。

今回、語り部として阿曽媛達が教えてくれたことを基にして、これから私も世に出ている資料などを漁って自分なりに色々と調べていきたいと思いますニコ
(鬼ノ城での体験と今回の体験では一致しない点もいくつかあるので、そこも調べたい真顔)

そして、吉備の地に伺ったときには神々に向けてどういう祈りを送れば良いのか、自分の答えを見出していきますニコニコ

古代史を学んでいるときに、
歴史とは勝者のみが公に記し残せるもの』だという言葉を何度か目にしました。
ならば、敗者として捨て置かれ、その生き様さえ残されていない人々のことはどうやって学んでいくか。
私はその部分にスピ能力も使っていけたらと思います。
しかし、スピだけでは夢物語にしかならないので、史実などと重ね合わせながら、自分なりに紐解いていく。

史書としては世の中に残らない歴史にも心を向けながら、深く学んでいけたら良いなと思いますクローバー

それでは、今回は前後編と大変長くなってしまいましたが、ここまでご覧くださって本当にありがとうございますお願いキラキラ

お盆を過ぎても、まだまだ暑さが和らぐ気配もありません。
涼しみながら、暑さ対策にもお気をつけてみなさまも素敵な夏をお過ごしくださいハイビスカス

今日も、笑顔溢れる一日でありますようにニコニコ花束