兄が初めて1人で買い物したお菓子。
この一年間の最も大きな目標だった。
一年前・・・
脳内出血で全身傷だらけで救急車で運ばれた事
2週間近くICUで目を覚まさなかった事
交代でずっと付きっきりで話していた事
場所や時間、家族や親戚が分からなくなった事
会話が上手くできなかった事
計算ができなかった事
ベッドの上で手足を動かし始めた事
ナースコールの位置が分からず苦労した事
喉から点滴で栄養を摂っていた事
水分を少しだけ口にして喜んだ事
人工肛門の手術
1人で立って歩いた事・・・
改めて一年前の事を思い出すと今の状態は奇跡的な回復にも思える。
今日も病院に着くと一階の売店で1人で商品を手に取って買い物をしている義兄を遠くから見つけた。
少し待って病室に行くと義兄は、
「○○ちゃん、お菓子あるよ」
と言ってくれた。
なので、
「ありがとうございます!頂きます」
とそれをもらった。
病院の中での買い物とはいえ、本当に大きな一歩だ。
ただ何故か、兄がその事をそれ程喜ぶ様子を見せない。
こんなもんじゃないと思ってる?
病識の理解がない?
まだまだ不安に思う事がある?
聞いてみてもやはりまだ満足はできないようだ。
次の目標は、コンビニへの買い物、飲食店での食事、電車、バスでの移動・・・
焦らずゆっくりと、
ひとつずつクリアしていけたら…と思う。