こんにちは。
今日は、成人の日でしたね。
言語聴覚士として最初に出会った難聴児さんが、20歳を迎えた時は、本当に感慨深いものがありました。
ライフステージに合わせた支援、これからも継続していきたいと考えています。
今日は、構文の獲得についてのお話です。
ことばの中身は、大きく3つありました。(「ことばの発達:語彙の発達」を参考にしてください。)
そのうち、構文は、統語や文法とも言われる力です。
動詞や形容詞の活用、助詞や接続詞、複雑な文をイメージしてもらえると良いかもしれません。
構文の獲得について
構文の理解と表現の獲得には、順序性があると言われています。
単語→2語文→3語文 と言うのは、ご存知の方も多いと思います。
3語文の先は、文の構造が複雑になります。
一般的に言われている獲得の目安です。
“主語・目的語・動詞の文に並んでいる文(正語順文)” は、5歳より前に。
“目的語・主語・動詞の順に並んでいる文(逆語順文、助詞の理解を伴う文)” は、6歳より前に。
“あげる・もらう/貸す・借りる/教える・教わるなどの文(授受構文)” は、6歳後半くらいに。
“取る・取られるなどの文(受身文)” は、7歳前後くらいに。
さらに複雑な “主語や目的語を修飾する文節が入った文(関係節文※)” は、7歳くらいに。
※関係節文の例:「傘を持っているお母さんが、赤ちゃんを抱いている」、「私は、昨日読んだ本を返却した。」
難聴児さんの構文の獲得の課題
難聴児さんは、構文の獲得が遅れることがある と言われています。
特に、逆語順文や授受構文、受身文の獲得が大きく遅れるという研究結果があります。
さらに、関係節文については、11歳近くになってようやく獲得できた、という例もありました。
構文の獲得のために
構文指導を受ける際には、構文のどの段階まで理解できているのか、確認してもらいましょう。
その上で、遅れがみられる構文や苦手な構文について、取り組みます。
お子さんが小さい頃からできることは、周囲の大人が助詞を用いた正しい文章で伝えることです。
文を単独で伝えるのではなく、意味のある場面の中で、表現豊かに使っていくことがポイントです。
絵本の読み聞かせや歌を楽しむことも良いと思います。
お子さんの発達に合わせた表現や具体的なやりとりについて、言語聴覚士と相談していきましょう。
また、読み書きを通して、構文の獲得を促すこともできます。
(難聴児さんの読み書きについては、またの機会に投稿させてください。)
すでに20歳を過ぎた難聴児さんと、小学生の頃からずっと文通をしていたのですが、だんだんと文章が上手になりました。意味のある文章(自分の想い)を、楽しく書き続けることは、重要ですね。
1月20日(木)公開のクラウドファンディングのページにも応援メッセージを届けてくれています。
いろいろなことを乗り越えて、素敵に生きる難聴児さんに、私の方が、励まされる毎日です。
読んでくださって、ありがとうございました。