外壁の塗装をするとき、「基礎も塗りましょうか」とご相談をいただくことがあります。ところが、基礎の塗装は、外壁よりも難しい場面があります。塗って1〜2年で、塗膜が膨れて、めくれてくる家があるからです。今日は、基礎の塗装で気をつけたい塗料選びと、現場で見てきたことを、正直にお話しします。

■なぜ、基礎の塗膜は傷みやすいのか
基礎の外側(外壁の下の部分)は、雨や湿気の影響を強く受けます。さらに、地面側からも水分が来ます。メーカーの資料でも、基礎の下の部分は、他の部位より塗膜が傷みやすく、ひび割れや膨れが出やすい場所とされています。そのため、外壁と同じ塗料を、そのまま塗ればよいとは限りません。

■基礎に塗る塗料は、ここを確認します
・湿気を逃がす性質(透湿性)があるか。塗膜が湿気を通さないと、内側にたまって、膨れやはがれの原因になります。
・細かいひびに追従する、少し伸びる塗膜(微弾性)か。
・コンクリートを守る機能(中性化の抑制)があるか。
・コケやカビに強い(防藻・防カビ)か。

また、塗る前の下地も大切です。幅0.3mm以上のひび割れは、塗る前に埋める処理が必要です。浮いている部分は取り除き、乾いた、きれいな面にしてから塗ります。

■塗る前に「乾いているか」を確認します
基礎の含水率(中に含む水分の量)が高いと、水分を閉じ込めた塗膜が膨れたり、はがれたりしやすくなります。ある塗料メーカーの資料では、下地の含水率は10%以下とされています。長雨のあとや、基礎が濡れている日は、塗らずに乾かします。基礎の表面に白い粉(白華)が出ているときは、内部の水分が表面へ動いているサインです。

■大阪市は、基礎が湿りやすい土地があります
大阪市は、市街地の9割までが平坦な低地で、自然排水が困難な、浸水しやすい地形とされています。埋め立て地、昔の田んぼや沼地を造成した土地、川の近くは、地下水位が高く、地面に水分が多い傾向があります。コンクリートは、見た目は水を通さないようですが、細かい穴があり、地面の水分が入り込みやすい素材です。そのため、こうした土地の基礎は、含水率が高くなりやすいと考えられます。

■現場で見たこと:塗膜がはがれている家の一画に、水脈がありました
実際に、基礎の塗膜がはがれている家を見たことがあります。その一画には、地下に水の通り道(水脈)がありました。川を埋めた場所などです。もちろん、塗膜がはがれる原因は、土地の水分だけではありません。下地処理、塗料の選び方、塗るときの乾き具合でも変わります。ただ、土地の条件を知らずに、外壁と同じ塗り方をすると、同じことが起きる可能性があります。

■基礎は、塗ってもめくれることがあります
湿りやすい土地の基礎は、塗って1〜2年後に、内側からの湿気で塗膜が膨れ、めくれてくることがあります。私の経験でも、そうした現場が2〜3件あります。そのため、湿りが強い基礎については、塗る前にお施主様に、基礎の内側から湿気が上がっていること、塗っても膨れやめくれが出る可能性があることを、お伝えしています。そのうえで、ご承認をいただいてから塗ります。

■それでも、「聞いていない」となりやすい理由
実際に、お伝えしたうえで塗ったのに、めくれてきたときには、説明を覚えていらっしゃらない方がほとんどです。1〜2年たてば、無理もありません。ですから、後で「言った、言わない」にならないよう、説明を受けたときは、書面や写真でも残してもらうことをおすすめします。基礎の湿り、白い粉、ひび割れの状態を、塗る前に写真で見せてもらうのも、よい方法です。どの業者に頼むときも、同じです。

■塗る前に、できるチェック
・その土地が、もともと川や池、田んぼではなかったか(ご近所の方や、昔の地図で分かることがあります)
・基礎のまわりに、水たまりや、湿った跡がないか
・側溝や雨水ますが、落ち葉やごみでふさがっていないか
・基礎の表面に、白い粉やコケがないか

なお、基礎の塗装は、床下の湿度を下げる工事ではありません。コンクリートの表面を守り、傷みを遅らせる工事です。床下の湿気が気になる場合は、床下の点検を先にしましょう。