悲しくも美しい物語でした



『博士と彼女のセオリー』に続き、

エディ・レッドメイン祭 第二弾!


ということで、エディがトランスジェンダーを演じて話題になった『リリーのすべて』を鑑賞いたしました

この先、ネタバレを含みます


エディ演じる画家・アイナーには同じく画家であるゲルダという奥さんがいて、画家の集まるパーティーでも互いに惚気けてしまうくらいに仲睦まじい夫婦でした

しかし、ある日ゲルダの絵のモデルが体調不良で来られなくなった代わりとしてアイナーが女性もののタイツとハイヒールを履き、美しいドレスを自身の身体にあてがったことで彼の中の女性『リリー』が目覚めます

夫であるアイナーを求められていると分かりながらもアイナーは本当の自分では無いことに気がついてしまったリリーの葛藤、愛する人が突然女性になったことに苦悩を抱きながらも愛し支え続けたゲルダの献身、

そして絵画、というひとつのテーマにそって展開されるストーリーの画角やバックミュージック、

そのすべてが一体となって、ひたすらに美しい物語でした




エディの、初めてアイナーがモデルとして女装したときの恍惚とした、戸惑いと歓喜と興奮が入り交じった表情や、リリーになった夜のもう男性に戻りきれなくなったアイナーの顔つき、リリーが周りに受け入れられなかったときの痛々しい笑み。

ひとつひとつの表情に深みがあって、演技力に脱帽でした。



またゲルダを演じたアリシアも、煙草をふかしながら筆を動かす男性的な仕草や、夫への愛と悲しみが綯い交ぜになった複雑な、諦念の滲む笑い方、リリーの最期に彼女を抱き締めて涙を流すシーンはどれも魅力的で切なく、魅了されました



ゲルダからのアイナー、その中のリリーへの愛情は行動や言動の節々から感じられました


では、アイナーはどうだったのか

意見が別れるところだと思います


教授のような夫がいたら。

子どもも欲しい。

本当の女のように。


など、リリーに近づき、アイナーから遠ざかっていく彼女はそう言っていました。

しかしその一方で、自分を女性であると認め女性として生きていくと決めたあともリリーは、


でも、あなたを愛してる


と言います

本当のところは、分かりません


でも、私は最後までリリーは、アイナーであった頃と同じ意味合いでゲルダを愛していたと思っています


アイナーはほかの何者である前に女性になりたいと願っていました

だから、夫が欲しい、子どもが欲しい、という願いはそれが彼女にとって女性の象徴であるかのように思えたからなのでは無いかと思います

それを望まなければ女性とは言えないのではないかと。


リリーは、ゲルダを見、ゲルダに手を握られると苦しい手術の中でもひどく安心した顔で微笑み、

また手術の前夜にゲルダに唇にキスをされたときには彼女が出ていった直後、堪えきれなかったかのように泣きだします


私にはその泣いている姿は、女でありたいのに女性であるゲルダに唇へのキス、つまりはアイナーであった頃と同じ愛情の籠ったキスを受けてどうしようもなく嬉しく思ってしまう、幸せだと感じてしまっている自分の心に整理がつかなくなっているように見えました。



あくまでこの真実に関するどんな有力な考察も、結局は考察の域を出ることはなく、真実はリリー本人にしか、あるいはリリー本人にすら知りえなかったことかもしれません


ですが、少なくともアイナーは、『ずっとリリーは自分の中にいた』と言っていて、女性である部分を感じていながらもゲルダに恋をしたのだから、それが失われた、とはどうしても考えられないのです



とにかく、余韻がすごくて醒めてしまわないうちに書きなぐりましたので、随分支離滅裂な文章になってしまいましたが、これにて感想文は締めさせていただきます



いつもの如く、みなさんのおすすめの小説や映画ありましたらぜひ!

コメント欄にて教えてくださいませ!


それではまた!💓💕