14巻9号 

        2024年9月4日発行 

     by 花 墨 汎 潤

-「現代のもののあわれ    

  ー詩篇エチュード」 その(4-2)  

 

A15 2年半経って帰ってくるととうぜん酒豪になっていました。大工だった父親は45℃の焼酎を毎日一升飲むアル中だったので、もともと兄も酒に強かったわけです。その兄が変貌していました。その変化のわけがわかりますか?

Q15 さっぱりわかりません。どういうことでしょう?  

A16 洗脳されて<共産主義の正しさ>を説くようになっていたのです。兄の変貌ぶりがわかっていたので、この詩のなかにその<痛切な体験>が生きているのがわかります。<いわば直角に、折れまがることで、ロシヤは正しいと信じた> なんという生なましい言葉でしょう! <その痛みにおいて、ロシヤの角度をたもつ> これは労働者に味方する<コミュニズム(共産主義)の論理性>を突いていますね。また<ロシヤの痛みが直角であるように、おれの痛みもまた直角なのだ> この行は《科学的唯物論の論理性》をイメージ化していると思いませんか? 

Q16 確かにこの詩は重いですね。<体験の重み>が痛切に感じられます。この<直角の痛み>についてもう少し説明してください。

A17 この詩を単に<洗脳体験>の表現だと読んでは早計です。もっと大きな意味がひそんでいそうですね。そこを現代の状況にあわせて探求してみましょう。最近或る憲法学者が志位和夫議長(元委員長)の本を読んで<目からウロコが落ちた>と書き、感心していました。<ロシアや中国の革命は近代化が遅れた国で起き、共産党一党独裁の専制政治に堕落してしまった。日本のような近代化・民主化した社会で革命に成功したわけではないにもかかわらず同列に扱い日本共産党を攻撃するのは理不尽ではないか>(日刊ゲンダイ、8月6日号、小林節慶大名誉教授)というんですね。一方で日本では公安調査庁が日本共産党を<暴力革命の指定団体からはずさない>扱いを続け、最大労組「連合」は<日本共産党を毛嫌いし、野党共闘を分断>しています。自民党が堕落しきったいま野党政権誕生の大チャンスにありながら、みすみすそれを逃がしています。

 この状況をしっかりと捉え、何が日本共産党にとっていちばん問題なのか? その核心を突くべきではありませんか? 

Q17 その問題を解くポイントがこの詩にあるというわけですね。どこでしょうか? 

A18 それが<直角の痛み><直角の正義直角の思考法>ですよ。例えば政治活動にはカネがかかるということで、どの政党も政治資金法の恩恵に浴しています。それを拒否して受け取っていないのは日本共産党のみです。まさにこれは曲がったことは大嫌いの直角の思考>に違いないでしょう。 

Q18 ロシアが<直角の思考>だったというのはなかなかおもしろい見方ですよ。そこをもう少し説明してもらいたいですね。いかがですか? 

A19 私自身もこの詩を読んで気がついたのです。             

(5-1へ続く)