2024年9月19日発行

 「花の墨通信」14巻9号・号外 

                  (回答)花 墨 汎 潤    

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

            第92回               

オーバー・ツーリズム

            をどうさばくか」 その(5-2)

A24 ではその予測を見てみましょう。ひき続き大前の一文です。これはリクルートの「未来予測2040」によるデータの引用です。(週刊ポスト5月21・28日号、「同歩き方」第822回抜すい)

「2040年までの17年間で1100万人を補充するためには、単純計算で年間平均65万人の労働者を海外から“輸入”しなければならない。しかし、それは特定技能など「条件付き」の外国人労働者だけでは不可能だから、在留資格の条件を大幅に緩和して世界の移民や難民を広く積極的に受け入れていくべきである。

 他の多くの国はそうしている。たとえば、すでに国民の4人に1人が移民のカナダは、2023年に46万5000人、3024年に48万5000人、2025年に50万人の移民受け入れを目指すと

発表した。カナダの人口は昨年、過去最多の105万人増加して約4000万人になったが、増加分の実に96%は移民によるものだ。今後も労働力が不足している分野で必要なスキルや資格を持つ移民を受け入れていくという。

 オーストラリアは17世紀から長く白豪主義(白人最優先主義とそれに基づく非白人排除政策)だったが、労働力を増やすため1970年代に多文化主義に転じて移民の選別における人種的基準を撤廃した。それ以降はアジア系を中心に世界各地から移民がやってくるようになったため、移民に対して英語教育制度を中心とする様々な定住サービスを提供するとともに、市民権取得基準を緩和した。」

 その点フランスは<アメリカ化>していると氏は言います。アメリカでもフランスでも共通しているのは《移民系の若者たちの経済的な不満や人種差別への怒りが爆発》して暴動が頻発(ひんぱつ)している点です。なんと! フランスの移民人口は1世と子ども世代の2世を合わせて約1600万人に達するという。総人口が約6800万ですから、その4分の1に当たるわけですね。前トランプ大統領が今も人気をほこるのはこうした国民のなかにひそむ<複雑な不満>が背景にあります。

 その点ドイツは国民化教育の拡充で比較的成功しています。日本も<フランスのアメリカ化>を反面教師にし、ドイツの<国民化教育の拡充>に学べと氏は言うわけですね。この見方をどう思いますか?

Q25 西欧諸国は植民地の歴史が長いですから、日本とは段違いに深刻です。その点<国民化教育の拡充>にもっと本腰を入れたらきっと成功しますね。

A25 そうなんですよ。なまじ植民地だったアフリカでは英語がしゃべれるので、フランスは<<国民化教育をおろそかに>したという背景があります。日本の今までの技能研修制度も言葉が通ぜず、ついぶんなぐったり罰を与えて結局<逃げだし行方不明になる若者>を増やしたわけですね。もっと国が親身になって<日本語教育を徹底>すべきだったのに、<カネもうけ一辺倒の日本語学校による粗製乱造>に国は依存し過ぎた、ということです。               (明20日ヘ続く)