2024年9月17日発行

 「花の墨通信」14巻9号・号外  

            (回答)花 墨 汎 潤

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

    第92回     

オーバー・ツーリズム

       どうさばくか」  その(3-2)

 

Q15 扶養家族を含めて一人4万円の減税は助かります。が、それを勤務先の<支給明細書に表示せよ>というのにはあきれます。事務処理めいわくも考えず<減税効果で総選挙の支持率アップ>のねらいがミエミエですからね。まるで<国民をナメている>感じですよ。一説には2024年には子ども三人家族の減税が仮に12万円あったとしても物価値上がりで家計は36万円の実質損という試算も新聞に出ています。なぜ総理のそばにいる優秀な官僚たちがこうも<幼稚(ようち)な発想しか思い浮かばない>んでしょうか。変じゃありませんか? 

A15 いや、ここ20数年、アベノミクス以来三代の内閣は<視野が極端に狭くなり、先を見通して打開する政策>がまったく出せていないんですね。いったいどうしたら良いのでしょうか?

Q16 実は現首相の『岸田ビジョンー分断から協調へ』(講談社刊)という新書本を買って読みました。<国民に寄り添おう>という素晴らしい姿勢が見えましたよ。なのにいざ政権をとったら<アベノミクスに寄り添うばかり>で初心を忘れています。どうしたら初心通りの政策ができると思いますか?

A16 誰が総理になっても《眼の覚める発案》は難しいです。自民党の議員たち、・・いや野党も含めてすべての国会議員たちがあまりにも<上級国民たるエリート生活に甘んじ過ぎ>て<世直しを真剣に考えなくなっている>からですよ。けれども自分が総理ならこうしますね。

 官邸のキャリア官僚たちはみな優秀です。その才覚を活かさない手はないのです。ゆえに50数人の彼らに<落ち目の日本をどう立て直すか?> その政策立案の(各自最低10数題の)課題を出します。もちろん良い提案があれば<昇進ルートを大きく確約>します。彼らも必死で考えるでしょう。さて、結果はどうなると思いますか? 

Q17 今までもまったく出ていないわけですから、<斬新(ざんしん)政策立案>などたぶん出てこないでしょう。違いますか? 

A17 その通りですね。それほど<現代資本主義>はマネーゲームによって歪(ゆが)み、<新自由主義経済学>は腐敗(ふはい)し,<巨大フォーマット(GAFAMなどの情報基盤体)>に資金は牛耳られ、にっちもさっちもいかなくなっているわけですね。そこへきて<現代世界を神の眼でみるイデオロギー(根本思想)は死滅>したので、どうにもならないのです。

けれども諦(あきら)めるのはまだ早い。そこでもう一度官僚たちに政策立案の(各自最低10数題の)課題を出すのです。結果はこうでしたと報告し、<再提出>を求めます。今度は自分の頭では良い発案ができないわけですから、<なんでも良いから、世界中から世直し情報を集めてこい!>と探索を指示します。国情は違ってもデジタル化の先進国は半歩先を進んでおり、参考データは必ず出てきます。こうして政策会議を重ねていると、とうぜん<斬新(ざんしん)な政策立案>も少しは出てくるのです。もはや<イデオロギー論争>で時間を浪費している暇などありません。    (明18日へ続く)