14巻9号 

         2024年9月2日発行 

           by 花 墨 汎 潤

 -「ロータス・ワールドへのいざない」

       その(182-1)     

        

A612 こんなふうに十得は演説し、新たに<国連の二院制>設置を提案したわけですね。この案はいかがですか?

Q612 なかなか興味深い提案です。問題は<核融合国連会議>の動向よりも、超大国が<核融合>を水爆に使う<安易な戦略>から脱却できるかどうか。・・この肝心な<核分裂文明を捨てて核融合文明による平和構築にいかに目覚めるか>が重要ですよね。その点はどうでしょう?

A613 まったくその通りです。まさに和平案の核心を突いていますよ。こうしてもし二院制になれたら素晴らしい! これを実演するには有識者とマスコミの支援、それに関係するエリート指導層の協力が必須(ひっす)ですね。十得がこれまでブログでいくら提案しても有識者もマスコミも関係のエリート指導層もいっさい関心を示さず問題にされなかったのだけれども、ようやく<国連総会演説>で少しは注目されるにいたったのでした。

Q613 わかりました。十得と虎の活躍は充分果たされたという感じですね。それとも<第二章 和平の章>に続く第三章があるのでしょうか?

A614 もちろん、これで終わりでありません。寒山寺に帰着した十得はこんどは<オーバー・ツーリズム(観光めいわく問題>に取り組みます。まさに<行動する僧侶>なんですね。2020年後半に円安のかわせ相場が続いて日本の観光地にインバウンド(外国人の訪問客)が殺到(さっとう)しました。以来20数年この傾向はますます増え続け観光収入はうなぎ上り、各地の観光地はもちろん離島にも外国人専用のしゃれたホテルが林立するありさまとなります。けれどもその分勝手気まま好き放題の客も増え、地方自治体は宿泊税・環境税・ツアーイベント税などを工夫して対応しています。けれどもなお<オーバー・ツーリズム(観光地めいわく)>問題は止みそうにありません。その対策に国も地方も頭を抱えて良策がなかなか見つからないという難題ですね。めいわく行為がいっこうに止みそうにありませんでした。

 ところで寒山寺の境内(けいだい)には3匹のクジャクが飼われていました。近くの小動物園が廃園になり、クジャクと12匹のカメの寄進(きしん)を受けたからでした。その飼育をたまたま十得が担当することになったのです。クジャクのなかで1匹だけ幼稚(ようち)な会話ができるのがいました。あたかも<オウム返し>のように習った単語をぽつぽつと二、三語だけ話せるのでした。

 そのクジャクはあまりにも華麗な翅(はね)を広げるので、十得は気に入り精魂こめて単語の習得ができるように励みました。なんと! 3年後曲りなりにそのクジャクと十得の間では独特の会話が成り立ちました。まさに十得の名のとおり<奇跡の会得>ができたのは、虎となじめるような不思議な<気脈の才>を十得が生来持っていたからに違いありません。が、もちろんその会話を聞いた他の人にはさっぱり意味が通じないのです。それを承知のうえで、十得とクジャクとの会話のなかみを通訳してみましょう。(182-2へ続く)