「花の墨通信」14巻8号

            2024年8月日発行 

           by 花 墨 汎 潤

-「ロータス・ワールドへのいざない」

        その(180-1)          

         

Q602 するとイエスの言行を描いた『聖書』と日蓮が帰依(きえ)した『法華経』とをモデルにしながら、<未来宗教のイメージ>を捉える《壮大な実験》にこれからとりかかる、というわけですか?

A603 ええ、宗派仏教の次元を超えるので、経文の解釈書でもなく説法書でもありません。強いていえば未だかつてない《仏法を現代風に探求しきわめその真理を解き明かす散文詩》ですね。すでに題名も考えてあります。《天駆(あまが)ける虎》というのですが、自分は寅年生まれなので、麒麟(きりん)ではなく虎にしました。

Q603 それはおもしろい。どんなイメージ展開になるのでしょうか?

A604 ストーリイはまず第一章がこうです。寒山寺にいた十得(じゅうとく)はいつも山野を跋渉(ばっしょう)していたのですが、或る薄明(はくめい)のとき目の前に現れた虎の背中に乗って千里を走ることになります。これが<雷鳴の章>ですね。雲をまきこむ雷鳴のとどろきのなかから虎が飛び出すのです。

  やがて21世紀の現代に現れて米中対立の舞台に立ち会います。そのときはもう無人機が飛び交い、交通管制のレーダーが縦横に空を監視しています。危険極まりない空中を猛然と十得を乗せた虎は走ります。その疾走はレーダー網をかいくぐるほどには速くないのですが、なんと! どんなクォークもかなわない《気の渦まき》に阻(はば)まれてレーダー網が役に立たないのです。この気は後世になって判明したデータでは約10のマイナス2500乗(推定)で、ものすごい極微ですね。

  と言ってもよくわからないでしょうから、ここで<電磁気力>の不思議をちょっと紹介しましょう。宇宙にはプラスとマイナスの電荷(でんか)があり、ほとんどの自然界はこの<陰陽の法則>で仕切られています。ところが<中性子>は電荷を持たないので、容易にこの陰陽の電荷に侵入できます。或るときは<暴力的な連鎖反応>となり、或るときは<情熱のままに燃える融合反応>となります。これが悪魔的な<核分裂>となるか女神の微笑みのごとき<核融合>となるかは、人間の《意思の働き》によります。人間の意思が<欲望に囚われて不透明な凝固体(ぎょうこたい)に変じる>と<マグマが爆発>します。逆に<欲望をうまくコントロールできる>と天空がバラ色に染まり、<ユートピア(幸福境)>が現出します。

 

 

 (180-2へ続く)