花の墨通信」14巻8号 

        2024年8月2日発行 

            by   墨 汎  

-「ロータス・ワールドへのいざない」

   その(179-1)   

         

A597 

  巨大な潮を溢れさせようというのか

  ひとよ

  エデンの園の樹が切り倒され

  怪鳥が東方の空へとはばたく世紀末に

  あなたが担っている瀕死の肩で

  どんな最後の裁きをひき受けようというのか

  ひとよ

  なぜ眼に棘をためてあなたはゆくのか   

     (詩集『レクイエム・調書』(芸風書院刊)より)

 

Q597 だとしたら、パウロを超える<大いなる幻想>は仏教の考え方ではますます不可能です。それなのにパウロを超えキリスト教を超えようなんてまるで無理ですよ。あり得ないでしょう。それをどう打開するのですか? 

A598 いや唯一の打開できる道があります。 

Q598 ええ、まさか! どんな道ですか?

A599 なんと! 毒をもって毒を制するのです。つまり<イエスその人になる>んですよ。つまり<イエスと同じように貧しい人々に寄り添い、天国はここだ!>と指差すわけです。 

Q599 意味がさっぱりわかりません。どういうことでしょうか? 

A600 すでに鎌倉時代に出現した日蓮にその相似形がみられます。イエスとの共通点は<時代に向きあい時代と戦った>姿勢が似ています。まさにそこに《時代に先駆した革新性》がみられるわけですね。日蓮はみずからせんだらが子>と言い、自分は人に自慢できるような家柄の子ではない、<卑(いや)しい出身だ>というのです。                              

 

 (179-2ヘ続く)